● HANA-BI
1997年公開、「北野武」が監督・脚本 「久石譲」が音楽を担当した映画
監督、脚本、音楽が「ソナチネ」と同じで バイオレンス調の作品である事も同じ
「ソナチネ」を見て この「HANA-BI」を見ると(逆も同じ^^) どうしても同じ様な作品に見えてしまうのは否めない。^^;
けど、興味深いのは 双方を見た人に「どっちの方が面白い?」と聞くと 「ソナチネが面白い」という人と「HANA-BIが面白い」という人と分かれるところ。
どんな理由で意見の違いになるのかを考えているのだが、なかなか私の中で考えがまとまらずにいるのだけれど…
部分的に思うのは、「HANA-BI」の方が 物語の前提を示すシーンが入っているぶん判りやすいのと、「ヤクザ」という部分について 一般的に知られていない、というか「理解されていない」部分の描写が「ソナチネ」には多く含まれていて それが為に難解にしていると思うんだな。
少し、具体的な事を述べれば…
判らなくて当たり前なのだが、ヤクザの世界とか ヤクザの人柄というのか そういった物を 多くの人はVシネマのヤクザ物をはじめとする映画やドラマで描かれた描写に影響されすぎている…という事。
「ソナチネ」と「HANA-BI」 双方にヤクザが登場するが、それぞれの描き方は似て非なるもので おそらくVシネマ的ヤクザ像をイメージして見るには「HANA-BI」の方が判りやすいし、受け入れやすいんじゃなかろうか?
けど、リアル感から言えば「HANA-BI」も悪くは無いが、「ソナチネ」の方がリアリティが高いと私は感じる。
つまり、ヤクザのリアルに関する認識が薄い(当たり前の一般)人には シチュエーションが伝わり難いぶん 「ソナチネ」は難解なんだろうな…と。^^;
ちなみに、もっと具体的な事を言えば「ソナチネ」の場合
「何故、途中で沖縄から戻ろう(逃げよう)とせず、留まったのか?」
という部分の理由。
そこのシチュエーションが理解出来ると ラストシーンの意味も違ったものになるのだが、普通の人には 判らないのが当たり前でもある。^^;
まぁ、そんな事は ともかくとして…
「ビートたけし」と「大杉漣」のコンビはなかなか渋い^^
実を言うと 私なんぞはこの組み合わせを見るだけで料金分の価値がある…とさえ思っている。
その上、
「寺島進」まで見れると もう何も言う事は無い。
まぁ、「ソナチネ」のヤクザと「HANA-BI」の刑事 ヤクザと刑事と言えば紙一重みたいな人種だから大杉漣も寺島進も どちらの役も よく似合い…
「津田寛治」も 相変わらずのチョイ役だが ちゃんと映っているのが嬉しい。
もちろん「渡辺哲」も^^
さて、この「HANA-BI」では シーンの合間に何枚かの絵が映し出される。
物語的には 負傷退職した大杉漣が「暇潰し」にはじめた絵という事だが…
私は絵の専門家では無いズブの素人なので 専門的なウンチクを述べる資格も、つもりも無い。
だが、そんな素人ながら この絵のタッチに見覚えがある。
上の画は映画「バトルロワイアル」において 教師「キタノ」が描いた絵
メイキングによると 実際に北野武が描いた絵とされている。
まぁ、「バトルロワイアル」においては ストーリーの設定的に残虐な絵の中に ”天使”というか”女神”の様に1人の女の子が描かれ、全体的に意味深な雰囲気が漂う。
なので、先に挙げた「夜空を見上げる人(親子?)」の絵や「灯台の横で海を眺める女性」の絵とは雰囲気が違うけど…
もうひとつ「HANA-BI」で描かれている
上の絵には 何か相通じるイメージを私は感じる。
私の場合、点描画というのは 今まで何度も見かけた事があるけれど、点の代わりに漢字を使う手法は斬新に映ったのだが、最終的にカメラが引いて全体像を写した時、「自殺願望」みたいなイメージを感じたのは「HANA-BI」における「大杉漣」の設定を考えれば なかなかマッチしているなぁ…と思うのだが
素人感想を重ねて述べれば…
こういうイメージを描けるってのは 描く人の「死生観」や「人生観」の深さと関係があると思うのね。
御承知の通り、「ビートたけし」は 昔、事故により死線を彷徨った経験を持つ。
変な自慢みたいに聞こえると嫌なのだが、私も 心臓が停まって三途の川までハイキングに行った経験がある。
「だから、判る」というのは 甚だ僭越と承知の上で申し上げれば、人間 そんな経験をすると「何か」が変わる…という事。
「北野武」が描くバイオレンスが ひと味違う大きな理由も そこにあると私は思うのね。
が、最近 北野映画の最新作を報じるスポーツ新聞の記事を読んでいたら
「北野武は 脱・バイオレンス宣言をし、得意のバイオレンス路線は封印…」
との事。
その記事で初めて知ったので ちょっと残念に思ったけれど、北野武の心境が変わったのだとすれば それはそれで歓迎したいと思うばかりだ。^^
