● 悪魔が来たりて笛を吹く(稲垣版)
2007年1月5日にフジ系で放映された「悪魔が来たりて笛を吹く(稲垣版)」について語ってみる。
稲垣吾郎が金田一耕助を演じるのは これで4作目
・『犬神家の一族』
・『八つ墓村』
・『女王蜂』
過去3作は それぞれ既に記事で述べたわけだが…
所々、「ふざけんな」と腹立たしい部分もあったけど 概ねは いち横溝ヲタとして好意的に受け止めている部分の方が どちらかというと多い。
であるがゆえに、今回の「悪魔が来たりて笛を吹く」に関して 期待する気持ちもあったのだが…
先に申し上げるけど、つい先日 石坂版金田一の映画「犬神家の一族」のリメイク版を劇場で見てきたばかりなので 稲垣ファンには申し訳無いが、やっぱ 金田一耕助は石坂浩二 監督は市川崑という組み合わせが絶品なんだな
だから、比較するなんて次元の話では無く、
「稲垣吾郎が金田一? あ、そうなの そりゃ良かったね」
という程度の受け取り方しか出来ないな^^;
ただ、先の3作とは決定的に違うのは「悪魔が来たりて笛を吹く」は 残念ながら石坂・市川版が無い。
映画版として 唯一、まとも風に制作されたのが『悪魔が来たりて笛を吹く(西田版)』だが、記事でも述べている様に この映画の監督は映画の冒頭で大ネタバレなんて論外なアホの為、私に言わせれば テーマ曲となった音楽のみ評価できるが作品としては論外に近く、映像作品として 唯一評価できるのは『悪魔が来りて笛を吹く(古谷版)』という 古谷一行のTVシリーズのみだという事で 石坂・市川版が無いぶん新鮮味は大きい。^^
さて、主な出演者は…
椿英輔 「榎木孝明」
椿あき子 「秋吉久美子」
椿美禰子 「国仲涼子」
目賀博士 「伊武雅刀」
玉虫 元・伯爵 「浜田晃」
菊江 「野波麻帆」
玉虫利彦 「螢雪次朗」
玉虫一彦 「渡部豪太」
三島東太郎 「成宮寛貴」
お種 「浜丘麻矢」
河村駒子(妙海) 「銀粉蝶」
河村小夜子 「高橋真唯」
ってな感じなのだが…
横溝フリークなら「あれ?」と すぐ気づくのは原作では「新宮利彦 元・子爵」だった人物が 何故か「玉虫」になっており、息子の一彦も同様。^^;
ま、その辺は どうでも良いと言われるかもしれないけどね^^;
その他には 定番の
横溝正史 「小日向文世」
橘 署長 「塩見三省」
という二人。
物語は 天銀堂事件が世間を賑わせ
と 新聞が報道する中
不可解な遺書を遺して
椿英輔 元・子爵と思われる人物が
死体で発見される。
しかし、椿の屋敷に
死んだはずの元・子爵と思しき人物が現れるなど怪異な事件が相次ぎ…
一人娘の美禰子は 真相を解明するべく探偵・金田一に依頼する。
椿家で関係者が揃って占いをやるという招きに応じて金田一が訪れてみると…
占いの最中に 部屋が一瞬暗くなり、間も無く灯りがつくと
占い番には奇妙な模様が描かれており、それを見た関係者が 意味ありげに驚く中、二階から椿 元・子爵が作曲したとされるフルートの音が…
というのが導入部のあらすじ^^
戦後の焼け跡にたたずむ椿邸
須磨の玉虫別荘跡
石灯籠
淡路島の庵
さて、見終えた感想を述べると…
なかなか、原作の雰囲気が醸し出されてはいると思う。
けど、「なんだかなぁ…」って部分が やっぱり少なく無い。^^;
横溝作品については 常に言わざるを得ないのは、2時間ちょっとの尺の中で映像化するのなら きっちりと計算して構成を考えろ…って事。
例えば、
あき子は 妖艶でなくちゃぁ説得力に欠ける。
目賀博士や 玉虫(新宮)利彦は ギラつくぐらいのスケベでなくちゃダメ
同様に、菊江は したたかな女性像があってこそ…
つまり、シチュエーションは悪くないのだが、個々のキャラが「え?」って感じで原作のキャラ像には 程遠い。
そう言うと制作者側は 尺に合わせるためにいくつものエピソードを省いた為、こういう人物像でも充分…なんて言い訳をするのだろうけど 何故、「悪魔」という表現が 何度も何ヶ所にも用いられるのか? そこを よく考え直してみろ…と 指摘したい。
個人的な好みを置いた上で 唯一、原作のキャラ像を活かしていたのは
河村小夜子「高橋真唯」と
椿 元・子爵「榎木孝明」ぐらいのものだった^^
だから、原作を知っている私みたいなモノには それなりに楽しめる映像だったとは思うけど、原作を知らない視聴者には 充分に作品の面白さが伝わったのだろうか?と考えた場合、「否」と言う他無く、そんな状態を「素晴らしい」と誉めるわけにはいかないな… というのが私の感想の結論。
でもね、西田敏行の映画版よりは はるかにマシだと思う。
それは フルートに込められた意味が ちゃんと盛り込まれていたからね。^^
もし、また稲垣版として続作が制作されるのだとしたら 悪い事は言わないから、著名な長編では無く、著名な短編を じっくりと肉付けして制作する事をお奨めする。
なんとなく順番から言って「獄門島」とか「悪魔の手毬唄」に手を伸ばしそうな気がするだけに あえて、そう申し上げておきたい。


