● 雨と夢のあとに ブタネコ的総論
この記事の内容には ネタバレが沢山含まれています。
このドラマは とても面白い作品なので 未見の方は願わくば、この記事を読む前にDVDを御覧になる事を強くお奨めします。
さて… 昨年(2006年)の9月に「雨と夢のあとに」のDVDを入手し感想記事を掲示した。
参考記事:『「雨と夢のあとに」カテゴリー』
その際に、実は この記事を最初に書き上げたのだが、このドラマはとても秀逸であるにも関わらず、放送がテレ朝系であったり、放送時間が夜中で変則だったこともあり、見ている人が少なかったであろう事を思うと 是非、ネタバレ無しでDVDをまずは楽しんで貰いたいと思い掲示するのをひかえたのだ。
人には それぞれ好みという物がある。
それは もちろんドラマや映画にも言える事で どんなに私が感動して素晴らしいと思っても 同じドラマを見て「ツマンネ」という人は沢山いる。
強く「見た方が良いよ」と薦めれば薦めるほど 引いてしまう人もいる。
( へそ曲がりの私なんかは 特にそう^^; )
ま、そんな訳なんで… 見たく無い奴は見なければ良い^^
私は かねてより、「いつ死んでもいいや」と腹を括って生きてきた。
喫茶「職安」の常連達の生き様を見て いろんなものを教わったし、高校の時に ひと足先に旅立った「亡き友」の生き様も見て 人間ってのは いつコロッと逝っても不思議では無いのだと思っている。
そのお陰か 普通じゃ味わえないような経験も いろいろと味わったし、常に楽しむ事を心がけてきたから 今までの人生には充分、満足もしている。
紆余曲折はあったけど、20代から30代にかけての20年間は 人の倍や3倍を間違い無く働いたと自負も有るし、それに応じた収入も得た。
けっして、そのせいとは言えないが ある事情により、体調を崩し ついには心臓が壊れ…
元々は 稼げるうちに稼いだら 老後はまったりと過ごそう… そう思っていたので まだ、老後と言うには早いなんてもんじゃ無いけど、会社を部下に任せて隠居する事にし、数年前より札幌に戻ったわけで、今の私は ある意味、想い描いた人生設計通りに上手くいった結果だから、強がりでも見栄でも無く いつ死んでも不思議では無いし、悔いは無いとも思っていたわけで…。
一昨年の事、心臓が本格的に壊れ、三途の川まで遠足に出かけ 残念ながら運良く、川を渡らずに戻ってきた時は 最初は何が起きたのか判らなかったが、嫁や二代目開業医から しばしの時間、我が心臓が停まっていた…なんて聞かされると 思った事がひとつある。
それは、御存じの方も多い事だが 私には娘と 娘同様の姪がおり、その二人の行く末、出来れば旦那になる男の顔ぐらいは見ておきたいな…って事。
まぁ、それが叶わなくても 心残りになるほどの問題では無いが、日頃「死んでも悔い無し」なんて思っていながら そんな事を思う私もいるんだと気づいたテレ臭さには 何とも言えないものがあった。^^;
まぁ、それ以来 今でも「いつ死んでも悔い無し」という気持ちと「この先、娘達は どうなるのかなぁ?」という興味は 相反するようだけど共存した形で私の心の中にあり続けている。
さて、そういう前提条件で療養生活の暇潰しに「何か面白いDVDが無いだろうか?」と物色していたところ 馴染みのレンタル屋の店長がお薦めで持って来たうちのひとつに「雨と夢のあとに」があり、なんの予備知識も無しに見たら…^^;
私は「神様」の存在は信じない。
もし、本当に神様がいるのだとしたら 地獄に落とされても構わないから、激しく憎悪する。^^;
で、霊の存在は…というと 条件付で信じている。
が、信じている…と言っても、安易に「私は 時々、霊が見えるんです」なんて事は言わないよ だって、見たくて見た事なんか無いし、TVに出てくる霊能者のように
「今、お父さんの霊が アナタの横にいます」
なんて風に見えた事は一度も無いからね。^^;
でも、「霊は存在する」としか思えない経験をいくつもしているから 霊は存在すると思っている。
まぁ、「もし、霊がいるのなら」という前提で考えた場合 自分なりに納得のいかない事もある…って事だけは述べておき、霊云々に関してはの思いは別の機会に述べるとして…
娘を遺して逝くのが気がかりで父親が成仏出来ずに霊となって娘のそばにいる…
この設定に 私はとても説得力を感じる。
もし、ウチの娘が「雨」と同じ中学生ぐらいの年頃だったら…
私も同じ様に 霊となって漂うだろう^^;
だから、「雨と夢のあとに」の物語序盤の導入部は いがいとスンナリ受け入れる事が出来たし、父親の娘への想い…って部分は感情移入も出来る。
で、この作品の物語の場合に 父親である朝晴が「実は霊でした」と言う事を周囲の人達が知った時 どうなるか…という部分が ひとつのキモと言えるのだが…
そこで、まず
第3話で その事を知ったトムの演技は実に秀逸。
この一連の部分で第1話から見通していて 時々、細々と見え隠れしていた物語の粗が どうでも良い物に感じてしまう様になった。
要は 細々した部分に拘るのが馬鹿らしくなるほど、ドップリと作品の世界観の中に沈んでしまおうと思ったんだな^^
さて… 「細々とした粗(アラ)」に関して トムとは別に、物語が破綻せず、逆に面白味を深める存在となっているのが
「木村多江」が演じている 隣室の女性「小柳暁子」という存在。
朝晴が霊である事がバレそうでバレない… そこに整合性と説得力を醸し出す存在として とても効果的なキャラ設定であると同時に、もう一つ 重要な存在と私には思えて仕方が無い。
というのは、この物語の場合 朝晴は娘の事が気がかり、つまり、「娘への想い」が 霊としての存在意義と描かれているが…
「想い」には 良い意味と悪い意味と 両極端の想いがある。
それは「愛しい」と「憎しみ」という両極端
娘や妻や恋人が愛しい… そんな想いで霊となり見守るのが成立するならば、何かの理由で恨み、憎しむ想いで霊となるのもアリなんじゃないのか? いや、無ければおかしいとすら 私は考えるわけだけど、この「雨と夢のあとに」が視聴者を怖がらせるだけを目的としたホラーだったならば、登場する霊は全て「恨み」や「憎しみ」の霊ばかりになったのであろうけど、物語中に そういう霊の登場は数少ない。
だから油断していた… というか、演出・構成の巧さに良い意味でヤラレて油断させられていたんだな^^;
第9話において、暁子も実は幽霊で… となった時には「うわぁ… ヤラレた」と 演出・構成・脚本 そして木村多江の演技に唸らされた。
私は「木村多江」ヒャッホイを自認する。
だから、そんな私が 言葉の限りを尽くして誉め称えても単なるヒャッホイにしか聞こえないだろう…^^;
でもね、それを承知で言うならば この「雨と夢のあとに」の「小柳暁子」という役は「木村多江」以外の女優では絶対に成立しないと断言する。^^
「愛しい」と
「憎しみ」
そして、「悔しさ」
静止画像では伝えきれない演じ分けの見事さは絶品だ。
バイ・プレイヤーにここまで良い仕事をされると もう、文句のつけようが無い。^^;
だからこそ、暁子が消えるシーンは とてつもない喪失感さえ覚え、私は ただ泣くばかり(ToT)
その上で、
不意を突いて 再び、それだけで嬉し泣きの私 (ToT)
これはヤラレた、本当に 心底ヤラレタよ…
そう、見事なバイ・プレイヤーと言えば もう1人。
それは 朝晴の両親役を演じた
「沢田亜矢子」と「山田明郷」
特に「山田明郷」は巧い。
終盤の締めくくりには 見事すぎる。
敢えて、難点をひとつあげるならば キャスティングにというよりも、
「杏子」のキャラ設定や構成に 時々「?」と感じる部分はあったけど、終わってみれば どうでも良い。^^
トムにトドメを刺され…
駄目押しに「木村多江」かよ… (ToT) と。
DVD5巻を一気見するには約7時間かかる。
その間に 何度、しかも どれだけ泣かされた事か…
そして、この笑顔で どんなに救われた気持ちになれたか…
ついでに、ベタ誉めする もうひとつの理由を挙げるなら…
それは、演出・構成の巧みさと 丁寧さ、そして希にみる真剣さだ。
DVDの各巻に
「1巻」
「2巻」
「3巻」
「4巻」
「5巻」
という風に「特典映像」があり、その中の「必見!未公開シーン」に注目すると それが、よく判る。
もし、興味を惹かれて見る方のために 一言、余計な御世話を申し上げておくと…
その「未公開シーン」は 普通に考えれば、放送時間の尺の問題でカットしたシーンと捉えてしまうと思うのだが、これ よく見るとそれだけの意味じゃ無い。
で、ブタネコ的見方で言えば
「そのシーンが もしカットされずに放映されていたら全体の話の流れは どうなっていただろうか?」
って事に留意してみると良い。
「朝晴が実は霊である」という事、そして「暁子も実は霊である」という事
この二つの事実を 知る者、知らない者 その流れを矛盾させず、疑問に思わせず、しかも視聴者に説得力を与え 違和感を生じさせない為…
あくまでも全体像の中で その点に考慮しての編集結果が「カット」に繋がったんじゃないか?と私には感じられるわけで、これを言い換えるならば それだけ真剣に編集された証に思えるのだ。
で、なんで こんな事を言うのかと言えば、番組改編期となり 私の大好きな俳優(特に若手女優)が出演するドラマがあれば 当然、私は それを見る。
その場合、俳優に対するヒャッホイとは別に ドラマそのものが真剣に のめり込めれば込められるほど楽しめるドラマを見たい…と願う。
でも、時々 回を重ねて見ているうちに ドラマそのものは全く楽しめず、あくまでも出演している「お気に入り俳優」のPV(プロモーションビデオ)扱いにせざるを得ない物がある。
その時に「こりゃ、ドラマとしてはクソだな」と 最も強く感じる事が多いのが演出や構成の部分なのだ。
具体的に言えば 作品としてのオリジナリティはどうなっているのか? という部分。
これは原作本があるか否か?って事も大きな要因だが、近年 特に感じるのは 原作のヒットにおんぶだっこ状態で制作するだけで、
「原作そのものを本当に面白いと感じた上で映像を作っているのか?」
と、問い詰めたくなる脚本・演出・構成のものが多く見受ける…という事。
それと同時に
「最初からストーリーに ビシッとした背骨の様な物があり、
仮に全10話なら10話全体のバランスや起承転結を考慮した上での
伏線や背景などを ちゃんと考えているのか?」
と、問い詰めたくなる様な 中盤でのタルみや話の急転回をみせる物も少なく無い。
つまり、モノを作る…という意味で どれだけ精魂込めてますか?って事になるのだろうと思うのだが、大げさに前宣伝を行い、「金をかけました」「これだけの役者を集めました」と 風呂敷を広げるのも結構だけど、原作の評判や 役者の人気に頼るばかりで 中身に精魂込めてなければ、そんなものを誉めるほど 私はお人好しでは無い…って事を言いたいわけだ、^^;
と言うわけで…
「精魂の込められた珠玉の一品、しかと 腰を据えて承った次第」
と、制作者 及び 出演者の方々に感謝を込めて申し上げ、今回の記事を終える。^^;
