● 13階段
2002年に公開された この作品に関しては 私は個人的にいくつかの理由があって興味深い作品だという印象が強い。
まず、原作となった高野和明:著の同名小説は「江戸川乱歩賞」の受賞作であり、乱歩賞を受賞した作品の多くは秀逸なものが多く、この作品も なかなか面白いものだった。
で、それが翌年に映画化されたのが
この作品なのだが…
実は 私はこの作品を つい昨年まで見ずに過ごしてきた。
それは 大抵の場合、乱歩賞受賞作が如何に面白かったからと言っても それが映像化されると 物凄く陳腐な作品になる事が多く、わざわざ映画館まで足を運んだぶん 腹立たしい気持ちで家に帰る事が多いから。
それが何故、見る事になったのかというと ま、ハッキリ言って このブログが今の形になって 特定の俳優を眺める楽しみ等、単にDVDを見て物語を楽しむだけでは無く、いろんな見方をして いろんな楽しみ方をする様になったからだ。
で、まず第1に この作品が興味深い点は 監督が「長澤雅彦」である事。
最近の作品では「夜のピクニック」があるが、この監督は私のハートをキュンとさせる作品が多い。
が、それは青春物だったり、主人公が女の子という特徴が持ち味なわけで、この作品の様にミステリー仕立ての作品を どう料理するのか? そこが楽しみだった。
で、その点に関する結論から言えば
元・刑務官「山崎努」の娘役の「田中麗奈」を 実に巧く使っている。
もう1人の女優さん(後述する)といい 長澤雅彦は女優のキャスティングや使い方が とても私好みなんだな。^^
第2の点としては…
刑務官役の「寺島進」
贔屓目を抜きにして これが実に良いスパイスとなっている。
キャスティング的には
「笑福亭鶴瓶」
「大杉漣」
「宮迫博之」
この3人が 実に渋く秀逸。^^
そして、何気ないキャストだが
「西田尚美」も見逃せない^^
さて、物語的な部分についての感想を少し述べておくと…
この作品の場合 元々、原作のストーリーが御都合主義てんこ盛り状態なので それを映像化すると 余程、うまく構成しないと ただ、その粗が目立つだけとなる。
その為、全体を見通すと 強引な展開が目立ってしまうのは致し方ない。^^;
なので、ストーリー的に この作品を評価する人がいるとすれば「死刑囚の冤罪を晴らす」という部分と「死刑」という刑そのものへの疑問呈示になり、それは同時に被害者家族の感情や 刑を執行する現場の刑務官の葛藤…という部分になるのだろう。
が、私は そういった部分に関して この作品から何かを考えさせられたり、何かを得た…という感想は無い。^^;
それは「死刑」そのものを もし考えるのであれば、この作品で挙げられている要素は部分的な断面であって、根本を考える要素とは思えない。
つまり、ハッキリと言えば「死刑」をアイテムにしているに過ぎない…という事。
もし、「死刑」を真剣に考えるのであれば 宗教的な事や感情的な部分は脇におき、警察の捜査方法や それに付随する法制度、同時に 警察や検察に対する信頼性、そして 刑法における処罰の意味や内容… それらを考えるべきである。
人が人を裁く、その結果「死刑」という名目で加害者を殺す…
こう述べると、多くの死刑反対論者は「宗教」や「人権」を持ち出して是非を問う。
分類分けすると おそらく私も「(安易に)死刑にするのは反対」という考えの持ち主だが、それは死刑という名目で「殺せば良い」と考えるからでは無く 加害者自身が「死にたくなるぐらい」の もっと苦しむ刑を与えろ…という 危ない考えの持ち主だからだ。^^;
現実問題として「冤罪」は起きてはならない事だけど、実際に「冤罪」は少なく無い。
であるが故に「死刑囚が冤罪だったら?」と考えると 腰抜け政治屋が法務大臣であれば「死刑執行」のGOサインは出来ないだろう。
それは裏返せば 警察や検察の捜査、裁判所の判決に対して 信頼性が薄いと考えている表れでもある。
当然、何事にもミスや間違いはあるのだから、「完全」と言い切る事は出来ない…
だからこそ、死刑に関しては 常に同道巡りの悪循環な見解の相違が溢れる事になるのだが、それって逆に 本当に死刑に相当する重罪を犯しながら 巧みに冤罪を唱える事で のうのうと刑務所(拘置所)の中で暮らしている奴もいる…って事でもあるのを「人権」擁護で許していいのか? という疑問が 私は常に抱くのだ。
なので、そういう現状が 本当に それで「充分な処罰」と言えるのか? と思う事がある。
この作品は 映像ももちろん、原作でも「冤罪を晴らす」という事だけに主眼が置かれており、その点では問題提起の様に見せかけていながら 問うているとは程遠い。
ゆえに、私には「死刑」に見えるとしか言えない由縁である。
ただ、単なるサスペンスという意味では 視点が新鮮な事もあり、面白いと言うより、興味深いという意味で楽しめた。
それはおそらく「サスペンス映画」専門の監督では無い長澤雅彦が監督だったからなんじゃないか?と思うのだが…^^
さて、昨年 初めてこの映画を見た時に 最も強く印象に残ったのは…
「木内晶子」が 可愛いい…という事。
木内晶子が演じた役は 役柄にハマっていればいるほど 主人公の心情がよりリアルに説得力を増す。
その点で「木内晶子」のキャスティングは 最高の効果をもたらしているとさえ言えると思う。
なので、私は この作品を酷評する気にはなれないのだ。^^;
さてさて…
今回、この記事をまとめるにあたって 映像を再見し、恒例のエンドロール注目をしたところ…
「小市慢太郎」が 出演している事を発見。^^
これを探すのは ちと難しかったが…
帰省の途中、路上に転がっている怪我人を発見し 119番をしようと実家に行ったら両親を惨殺されていた男…が、「小市慢太郎」
ちなみに、バイク共々 路上に転がっており、後に死刑囚となる男は「宮藤官九郎」が演じている。^^
