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2007年01月26日

● 雪印の青カップ


リクエストが寄せられたので ちょいと ある猫にまつわる話を述べてみようと思う。




我が家には 平均して常に3匹の猫が居る。


私だけではなく、私の両親や妹も猫好きで、物覚えがついた頃には既に 我が家には猫が暮らしていた。


中学以降、我が家の猫は その殆どが「二代目開業医」と呼んでいる悪友から里子にやってきた猫達ばかり、なので 我が家なんか比べようも無い血統の持ち主ばかりだ。^^;


なので、気位が高い…というか 自我が強いのは そんな血統のせいか?なんて最初の頃は思ったものだが、永年 何匹もの猫達と寝食を共にすると まず、猫じたいがそういう生き物であり、その中でもシャムは特に そういう性質の持ち主だと判った。


が、まぁ そんな事は どうでも良い。^^;


私が結婚し 娘が生まれて数年経った頃、3匹のうち、年長だった猫が寿命を全うして他界した事もあって 生まれて間も無い子猫が 我が家にやってきた事がある。


通常、子猫を貰う場合は その子猫が母猫から乳離れし、親猫の食事を少し柔らかめにした餌を食べる様になったら里子に貰うのがベストだと二代目開業医は言う。


ところが、その時は 母猫が育児ノイローゼ気味だったのか 子猫の世話を放たらかす傾向があり、少し早めではあったが我が家に引き取る事にしたのだ。


子猫は まだ、餌を自分で食べる事が充分に出来なかったので、私は知り合いの獣医を通じて子猫に使用できる哺乳瓶と 子猫用の粉ミルクを入手し、子猫を抱き抱えて 哺乳瓶でミルクを与えたものだ。


その後 子猫は順調に成長し、ちゃんと餌を自分で食べる様になったが… 哺乳瓶の記憶からか 今まで我が家で暮らした猫達の中で最も私になついた猫となった。

(以降、その猫を”K”と呼ぶ)




ある夏の日の事だった。


嫁がカップに入ったアイスクリームを買ってきて 私と娘と姪と4人で 何かのテレビを見ながら 私がソファに座って そのアイスを食べていると、Kもソファに上がって来て私の太股に手をかけ 私が手にしているアイスのカップに顔を近づける。


なので、私は 手にしていたスプーンでアイスを掬い Kの鼻先に差し出して


「ん? オマエもアイスを食べるか?」


と言うと Kは静かにスプーンのアイスを舐め始め、全部舐めると「もっと、くれ」とせがむように私の顔を見つめながら「ナァ」と鳴く。


スプーンで掬ってはKに舐めさせ… 繰り返し、そんな真似をしていたらアッという間にカップ半分をたいらげ、Kは満足そうに顔を前足で撫でつけ、やがて 私の横で丸くなって寝た。


それ以後、ソファで私がアイスを食べているとKは 必ず、私の傍に来て「俺にもくれ」とせがみ、いつしか我が家では 私のアイスはKと半分こ… それが不文律となる。


しかも、Kは味に五月蠅い奴で^^; アイスとは言っても 明治やグリコのアイスでは不機嫌そうになり、彼の好みは雪印の青カップで だから嫁は娘や姪にはハーゲンダッツを買ってきても 私には必ず雪印の青カップを買ってきたもので それを私とKが いつも半分こにして食べたものだ。


さて…、Kが初めてアイスを食べた日の夜の事。


Kは いつもの様に私がベッドに横たわり、夏だったからタオルケットを羽織ると Kは そのタオルケットに上がり、ちょうど横向きに寝た私の懐のあたり転がって、私に寄りかかるようにして彼も寝たのだが…


いつもの様に、その格好で私はKの頭を撫でたり、首や腹をさすって Kが寝込むまで遊んでいると 不意にKは私の右手の人差し指をくわえると チュパチュパと まるで母猫のオッパイを吸う様な仕草を始めたのだ。


多分、アイスを食べた時に 少し、手に付いたままだったのか それともバニラの香りが残っていたのか… まぁ、理由は判らないけれど それ以降、Kは時々寝る時に 私の指にチュパチュパと吸い付く事があった。


ある時の事、夢中になった様にチュパチュパするKが面白く 自分でも私は判らないのだが、おもむろにパジャマの上を脱ぎ、上半身裸になって 私の乳首をKの鼻先にくっつけたらチュパチュパするだろうか? ついつい、試してみたくなったのだ。


で、実際に Kの鼻先に私の乳首を近づけたところ… Kはつまらなそうな顔で「フン!!」と鼻息一発 ^^;


私は、呆気にとられながらも ふと気づいて前を見たら 横で寝ていたはずの嫁が 目をパッチリと開けて私を見ている。


その嫁の目と私の目が合った瞬間


「馬ッ鹿じゃないの? ブヒャヒャヒャヒャ・・・・・」


大爆笑の嫁。


しかも、ヒィヒィ笑いながら


「アナタ、御願いだから あの子達(娘と姪)の見てるところで そんな真似しないでよね」


なんて言いながら のたうち回って笑っていた。


それからしばらくの間… 嫁は私の顔を見る度に その時の情景を思い出すのか「クククッ」と忍び笑いしたものだ。




さて… Kは我が家に来て15年家族として過ごした。


猫で15歳と言えば充分に長生きの部類に入る。


猫を飼った人なら判ってくれると思うけど、猫は 寝ていて夢を見るし、寝言も言う。


老齢に入った頃、Kは 私の懐より 私の腕を枕にして寝る事が好きだったが、そんな格好で寝ながら Kは時々、「フニャァ」とひと鳴きして飛び起きたり、寝ながら「ワニャニャニャ」とブツブツ言う事が度々あった。


その度に 私と嫁は顔を見合わせ


「またコイツ夢見てるよ」とか「寝惚けてるぞ」なんて言い合い、笑ったのが懐かしい。


そのKが老衰で いよいよ危ない…という時の事を 私は今でも覚えている。


彼はフラフラで 歩く事もままならず、私のベッドの横に猫用のバスケットを用意して その中で寝ていたのだが、その日の夜 しがみつくよう必死で私のベッドに這い上がり、私の懐に寄りかかったのだ。


私は 15年間 いつもしてきたようにKの首や腹を撫でていたら Kは力無く、でも間違い無く 私の指に口をつけチュパチュパしようとしていた。


その仕草を見ていたら「あぁ、これでKともお別れかなぁ…」という気持ちになり、同時にK自身も私に「お別れ」を言うと同時に 最期にもういちど甘えたくなったんだろうなぁ…とも思った。


ふと時計を見ると 午前3時を少し過ぎた頃、私は思い立ってKをベッドの上にそのままにして パジャマの上にウィンドブレーカーを羽織り、車庫から車を出してコンビニに行き「雪印の青カップ」を買ってきて ベッドの上に丸まっていたKにスプーンで掬い食べさせた。


その日は 珍しいほどの土砂降りで、ウィンドブレーカーを羽織り 車だったにも関わらず、私はズブ濡れだったけど、そんなのはどうでも良かった。


Kは 元気な頃ならカップの半分を食べたのに、その日はスプーン2杯が やっと。


でも、2杯目を舐め終わると 半分食べた時と同じ様に満足そうな仕草をみせ、そのまま丸くなり 二度と起きる事は無かった。


その後、Kの命日は 私にとっての年に一度の「雪印の青カップの日」となり、Kを偲んでアイスを食べたものだが… その雪印も御存じの通り。^^;


お陰で、Kとの想い出は封印されてしまって今日に至ったのだが… 昨夕、姪が


「なんか、妙にアイスが食べたくて買ってきたんだ~」


と、ハーゲンダッツのカップを数種類 それも20個ぐらい買ってきて 風呂上がりに、それをひとつ貰って食べてたら 久しぶりにKの事を思い出したので、書き留めておこうと思った次第だ。^^;




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コメント

うちの猫は子供の時から何故か節分が嫌いでした。
小さな豆が一粒落ちているだけで 本当に怖い物に出逢ったみたいに硬直して すがる様な顔で鳴くんです。理由はとうとう判らなかったけど・・3年前の節分の日 21歳で天国に行ってしまいました。
だから節分が嫌いだったんだ  最初から判ってたんだって思いました。
この時期のスーパーは節分コーナーがあって辛いです。

★ yacco さん

私は バレンタイン・デーが辛いです

ねこちゃんのお話、ありがとうございました。いっしょに食べた雪印の青カップ-素敵な思い出ですね。

うちにも猫が二匹いるんですが、そのうち一匹はけいちゃんというんです。けいちゃんがいなくなったら、私はこの子とすごした時間の中で何を覚えてるだろうか、と考えてみたんですが・・・ほかほかカーペットの上を引っ張りまわして「静電気製造機~」ごっこをしたこと・・・でしょうか。

う~ん、もっといい思い出を作ろう、と決意を新たにしました。

★ カンザスのオズ さん

>もっといい思い出を作ろう、と決意を新たにしました。

たぶん、お気づきになってないだけで 良い思い出は既に沢山あるもんですよ^^


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