● 最終案内
本格的に札幌も積雪期を迎えた様で…
数日前より、みぞれ混じりの雪がアラレになり 数cmではあるが庭に積もった雪が昼間の陽射しで解けきらず、積もったまま白一色になっている。
嫁から、
「今のうちに 暖房設備や温室の点検をしておいてね」
と命じられ、場合によっては業者を呼んで 日中、そんな作業をしながら 腰に携帯ラジオをぶら下げて 久しぶりにコミュニティFMの放送を聴いていたところ…
いろんな懐かしい曲が リスナーのリクエストで流れ、覚えている曲ならば 一緒に歌いながら温室の隙間にコーキングをしていたら 不意に、
『最終案内』
という、私には特に思い出深い曲が流れてきた。
これは1977年にリリースされた『風見鶏(かざみどり)』というタイトルの「さだまさし」によるアルバムの1曲目
空港で別れる男女、飛行機に乗って 何処かへ行っちゃう女に対して男が飛行場で思いを綴る歌詞。
表示板が君の飛行機を示す、もう25分で君は舞い上がる引き止めるのならば、今しかないよと
壁のデジタル時計が、また一コマ進む…
あの頃は 止まれとさえ思った時間を知らず知らずのうちに 君は持て余している
手荷物は ベルトコンベアーに流れて思っていたより確かに、風は止まろうとしている…
人込みのロビー ざわめきの中で 君は静かに時計を外す
最終案内が応えを告げる 穏やかな声がロビーに響く君の淡い肩が心なしか振るえ
チケットにすがるように背中を向ける
君は今スポット浴びたスターのように滑走路というステージに飲み込まれてゆく…
君を乗せた鳥がやがて翼はためかせて赤や緑のランプを飛び越えてゆく
人込みのデッキ ざわめきの中で 僕は最後の風を一人受け止める…
おぼろげな記憶なんで間違っていたら御免なさい^^;
率直に言うと 私は「さだまさし」が嫌いである。^^;
当時 コンサートの会場警備などのアルバイトをしていた私は 何度か、さだまさしのコンサートの警備についた事があり、曲間の さだの喋りを聴いていて
「気障な野郎だなぁ…^^;」
と、いつも反感を抱いていた。^^
けどね、この当時の「さだまさし」の曲には 好きな曲がいくつかある。^^;
たとえば、「風見鶏」の中の曲だと「吸殻の風景」なんかも 好きな一曲。
ちょうどこのアルバムが出た直ぐ前に「雨やどり」がヒットして毎日の様に いろんなラジオ番組で流れていたから「最終案内」などは マニアックな曲になってしまったけど、私は この「最終案内」という曲が耳に焼き付いて離れない^^;
結婚して数年後、嫁が妊娠し それをキッカケに東京を離れて実家に戻り、そこで子供を産む…と言い出した時に 羽田まで嫁を車で送り、嫁の乗った飛行機が無事に離陸していくのを 昔の羽田空港の屋上で眺め後、帰りの車の中で偶然 流れたのを聴いたのが、たぶん耳に焼き付く原因なのだと思う。^^
その日の夜 札幌から
「無事に着いたわよ」
と、電話を寄越した嫁に
「いやぁ、羽田の帰りにラジオから さだまさしの”最終案内”って曲が流れてさ…
それ、一緒に歌ってたら 何故か泣けちゃって…」
と、私が 素直に話したところ 嫁は たった一言
「馬鹿じゃないの?」
それに対して、
「馬鹿って言い方は無いべ?
それじゃぁ、あんまりだべ?
したっけ、何か?
あ~ 嫁がいなくなって せいせいした… って、言えば良いのか?」
半泣きで怒る私に 嫁は苦笑混じりに
「だって、最終案内って 別れの歌詞でしょ?
別に、アナタと離婚したわけじゃ無いんだから…」
と、大笑いの嫁
…なんて昔話を 思い出した。^^;
そう言えば、「空港」と「最終案内」で もうひとつ思い出した昔話がある。
以前、何かの記事で述べた事だが…
私は ある時期、キャバクラの経営に携わっていた事がある。
その時に、キャバ嬢になりたいと応募広告を見て訪ねて来た ある女の子がいた。
とびきりの美人ってわけでは無いけれど ポチャッとした愛嬌のある可愛いい女の子で、たまたま その子を私が面接する事になったのだ。
で、その娘の履歴書を見てビックリした。
と言うのは その娘は現役の女子大生で それも、かなり偏差値の高い女子大の3年生
家庭的にも経済的にも恵まれており、けっして キャバクラに務めなきゃならない様な理由が見つからない。
なので、「なんで? 働きたいの?」と聴いたところ
「アダシ(私)、スチュワーデスになりたいんだっけどぉ
訛ってるのを直さないとぉだんめ(ダメ)だぁって言われてぇ…」
確かに、凄まじい茨城弁だった^^;
つまり、いろんな人に相談したところ「訛を直すには とにかく会話をする事」と言われ、「スッチーもキャバ嬢も 同じ接客業」と誰かがアドバイスしたのだそうだ。
(私には 説得力はあるが無茶苦茶なアドバイスに聞こえたが^^;)
私は その子の志望理由と愛嬌が気に入り、即 採用したのだ。
数ヶ月後、私は その店の管理を部下に任せてしまい 店にも殆ど行かなくなったのだが…
数年後の ある時、出張の途中で仙台空港のロビーにいた時に
「あら? もしかしてブタネコさんじゃないですか?」
と、話しかけてきたキャビンアテンダントは 紛れもなく、彼女だった。
「おぉ? ホントにCAになったのか? 頑張ったなぁ~
で? 茨城弁は直ったのか?」
彼女はニッコリ笑い
「お陰様で^^」
すっかり大人びて綺麗になった彼女を見た時 場所が空港だった事もあって
君は今スポット浴びたスターのように
滑走路というステージに飲み込まれてゆく…
という「最終案内」の歌詞の一部だけが 脳裏に甦った
先日、再掲示した「JR東海クリスマスエクスプレス」のCMが 多くの人の心に残っているのも 空港とか、駅とか、フェリー埠頭って場所は 待ち合わせや見送りや、出会いや別れの いっぱい詰まった場所で、多くの人の心の中に そんな想い出のひとつやふたつある所だから いろんな人にいろんな想い出の曲があるのだろうと思うわけで 私にとっての曲のひとつが「最終案内」だった…
ま、そんなわけだ。^^
ちなみに、その女の子はCAを退職し 結婚して2児に恵まれ 今は塾で英語講師をしているそうだ。^^
律儀なその子が 毎年送ってくれる年賀状を見る度に その年賀状から彼女の幸せが漂ってくる様で微笑ましく思うのだ。
あぁ、もう そんな季節なんだな^^


