● 弁護士 灰島秀樹
弁護士 灰島秀樹を観た。
まず、この作品が「踊る大捜査線」シリーズのスピンオフという事は棚に上げ、あくまでも単体ドラマとしての個人感を語ってみる。
つまり、2時間枠の単発ワイドドラマとして見た場合、冒頭の導入部にダルさが少しあったけど 出来損ないの「~殺人事件」とか「~事件簿」なんてものに比べたらはるかに面白かった。
ただ、物語の冒頭でストーリーの主軸の部分に 簡単にラストのオチが読める部分があったのが とても悲しい。^^;
上のシーンが その最悪の場面
灰島に弁護を断られた瀬藤が 帰りがけに何処かへ電話をかける… この場面は必要なかったなぁ^^;
しかしながら、煎餅をポリポリ囓りながら気楽にまったりと見れた事はたしかで とても楽しめたのは事実。
では、「踊る大捜査線」というシリーズの1作…という観点で見ると 率直に言って、全体のクォリティが下がっている感が否めないところに 新作がこれじゃぁ ちとガッカリだ。^^
例えば、「交渉人 真下正義」では「真犯人は どうなった?」という謎が残ったまま
「容疑者 室井慎次」では「警視庁と警察庁 その上層部に暗躍する派閥抗争の部分」がきちんと描き切れておらず、「何故、室井が詰め腹を切らされたのか?」が まだ意味不明
その隙間を「逃亡者 木島丈一郎」は 見事に埋めて、スピンオフの面白さを実感させてくれたけど、今回の「弁護士 灰島秀樹」は それらの話とは全く別の世界の話で 本線を埋め合わせる意味合いが殆ど無い。
大きなリンクと言えば
視察の帰りの車内で「容疑者 室井慎次」における話が 少し出たのと
「沖田」が登場したのと…
「9年前の警察官ストーカー」「ピンクサファイア」と言えば すみれ(深津絵理)を襲った野口(伊集院光)
ってな感じだけだし…^^;
で、この程度のスピンオフという膨らまし方で 先にも述べたように 通常の2時間ドラマよりもはるかに面白く楽しめる作品となるのだから、いっそのこと「松重豊」主演の「爆発物処理班」モノや 「高杉亘」主演の「SAT」モノや 「内田有紀」主演の「婦警」モノの続編を作って欲しいと切に願う次第。
まぁ、「踊る…」ファンの私としては ほんとはボロクソにこき下ろしたい気分も少しだけ抱いたのだが、
大好物の「佐藤めぐみ」が出演して スナップの利いたビンタを見舞ってくれたから 良しとする^^
(ちなみに「吹越満」も 私はわりと好物です^^)
で、もうひとつだけ最期に 個人感を述べれば…
依頼人に母親の面影を見て
「訴訟パラノイア」と呼ばれ「裁判はゲームだ」と語る歪な弁護士が
人間味を見せたからと仲間から見捨てられるぐらい
人情味を見せる…
「八嶋智人」が演じる「灰島秀樹」というキャラクターは「容疑者 室井慎次」で その姿を現したわけだけど 私は個人的に そのユニークさは気に入っている。
弁護士として こんな人物が実在し得るか否かは多いに意見の分かれるところかもしれないが、「正義じゃ金にならない」と言い切る弁護士を 少なくとも私の友人に一人いる。
しかも、彼は このストーリーにおける「反対派地元住民」側の弁護士か「博覧会実施」を画策する自治体側の弁護士 その相反する両者の いずれの弁護士にも成り得る奴である。
あくまでも私の知る限りだが、弁護士とは依頼人の代理人である。
ゆえに、依頼人が悪人でも 法律というルールの中で そのルールに適っているか否かを問うものであり、「反対派地元住民」側の弁護士となれば 環境保護を訴える高潔な人物を演じるし、「博覧会実施」を画策する自治体側の弁護士となれば 現実論をもって説き伏せる役を演じる。
つまり、言い方は悪いが 弁護士とは依頼人のスタイルに自分を合わせる人でもある。
だからこそ、灰島の様に 裁判の結果=自分に支払われる報酬の額 という算盤で弁護を引き受けるかどうかを決める弁護士ってのは 現実にはとても多い。
と、同時に、それらの弁護士とは対照的な存在として そんな金の問題は度外視して「人権」というものに拘る弁護士というのも少なく無い。
で、あくまでも私(ブタネコ)のこれまでの人生観で申し上げれば「人権弁護士」と呼ばれようとする弁護士ほど必要悪は無いとさえ思っている。
それは 最近、ようやく問題視されるようになってきた「被害者の人権」「被害者家族の人権」という問題を冷静に客観的に見れば判る。
試しに、落ち着いて考えてみて下さいね
「何故、被害者や被害者家族の”人権”が踏みにじられてきたのか?」
その原因のひとつは 加害者側の弁護士が「加害者の人権」のみを護ろうとしてきた事。
「加害者は少年だから…」
「加害者は 心神を喪失しており…」
特に刑事事件の場合 加害者には弁護士がつくけど、被害者には弁護士はつかず、検察が その任にあたる。
つまりは、「人権弁護士」達は 加害者庇護しかしてこなかっただけの話でもあるからだ。
確かに ロクでも無い検察官や警察官のせいで冤罪事件が生じている事実も少なく無いから 加害者とされている人物が 本当に加害者か否か その認定に際して弁護人は絶対に必要ではある。
けれども、その弁護士が正しいのか否かも含めて どうもバランスが崩れているんだよね現状は^^;
故に、「弁護士 灰島秀樹」は 中途半端にシリアス調になんかせず、徹底的に風刺の効いたシリアスにするか さもなくば、グチャグチャなコメディにしてくれた方が もっと「踊る…」シリーズっぽくて楽しめたのにな…
そんな風に思った。


