● 県庁の星
映画「県庁の星」を見た。
かなり以前に原作(桂望実:著)を読んだ時、着眼点や設定は とても面白いと感じたが、ラストが尻窄みに感じ残念に思っていた。
今回、それが映画化となり
「織田裕二」が主役の エリート県役人というキャスティングに「ほぅ」と思ったが、
その指導役でパート主婦に「柴咲コウ」というのは「え?」と思った。
と言うのは 原作のイメージでは柴崎の役は40前後の疲れたオバチャンって感じだったからだし、誤解の無い様に申し添えれば「柴咲コウ」の演技力などを疑っているわけでも、低く評している訳でも無くて
こんな歳の子供を持つ母親役…というのに「?」と違和感を覚えたからだ。
映画を見終えた今、「織田裕二」も そして「柴咲コウ」も 良い演技だったと思う。
けれども、原作を読み終えた後に感じた「違和感」より もっと大きな「違和感」を映画を見終えた後に覚えた…と言うのが 正直な気持ちだ。
このストーリーは 役所の中の物事が、社会における一般常識と勘違いしている多くの小役人共に対する警鐘になれば とても良いな…と思ったのだが、どうも それにはインパクトに欠けている。
とある県庁内で出世街道を驀進中だったエリートが 転げ落ちて挫折し立ち直る… と言う部分だけが強調されすぎのわりに ハッピーエンドでも無く、問題提起にしては主旨がボケてしまっており、まったくもって残念の極みだ。
この物語の本線は 公務員、中でも自衛隊とか消防とかではなく 市町村や都道府県の職員や 果ては省庁の小役人共の偏った考え方と、民間で逞しく生きる市井の人々との感覚のズレをコメディと言う名で皮肉って描いたもの
消防や保健所などの検査に引っ掛かり、営業停止処分を受けると それでなくとも営業不振で本部からリストラや店舗閉鎖を命じられる可能性が高いという瀬戸際に追い込まれたスーパーを舞台に
県庁から結果的に島流しにされた元エリートが
スーパーの改革を指揮し…
整理整頓をし 物事を簡易化し、無駄を省き その結果、防火管理に引っ掛かることは無くなり、店内の雰囲気や効率が変わり、営業収支も良い結果へと繋がっていく…
実は それって、市町村や都道府県の職員や 果ては省庁の小役人共に 最も今望まれている事なわけで…
この物語の骨幹には その風刺があるはずなんだけど その風刺は多くの視聴者には判り難い
だから、いち元エリートの挫折と復活…だけしか感じられないんだよねぇ…
ま、そんな話はともかく…^^;
県議会議長役で
石坂浩二が出演していたわけだが…
かなり昔、某自称国営放送で「元禄太平記」という大河ドラマの時に「柳沢吉保」を演じた時の事を思い出す。
理知的で ちょいと小狡い… そんな姿を好演していたのだが、私の世代であれば ウルトラQやウルトラマンの渋いナレーションあたりから始まって 若い頃は好青年役が多かったのだが、歳をかさみ わりとヒール(悪役)系の役柄を演じるのを見て なんと良い役者なんだろうと ますます、好きになったものだ。^^
後年になって、同じ忠臣蔵モノで 吉良上野介を演じた時も、クソ意地の悪い「ニヤリ」を連発する見事な演技で 巧い役者さんが悪役を見事にこなすと ドラマ全体のクォリティが数段上がることを目の当たりにした。
この「県庁の星」においても その巧さも序盤は活きてはいたのだが…
終盤の尻窄み感により せっかくの石坂も活かされきれずに終わった様に思えたのが 全く惜しい。^^;
が、久しぶりに
憧れの「酒井和歌子」の姿を見れただけで まぁ、良しとしよう…
と言うのが 私の個人的感想だ。


