● 雑感(10月4日)
数日前に『雑感(10月2日)』という記事を掲示した。
これから述べる事は その後日談でもあり、プラスαでもある。
朝、と言っても 限りなく正午に近い時間だが、目が醒めて ベッドを起き抜けて居間に行き、目覚まし代わりのコーヒーを飲もうと思っていた。
で、いつもの調子で居間に入り、毎朝 多めに嫁がコーヒーを煎れてくれているポットから マイ・マグカップにコーヒーを注ぎ、ソファに座って新聞を読み始めた時だった。
すると、不意に
「あら? ようやく起きたのね?」と嫁の声
「あれ? オマエ、今日 出かけたんじゃないの?」と私。
「あの娘達なら もう、出かけたわよ…
ところで、アナタ 今日は何か予定が入ってるの?」
「へ? 天気が良ければガソリンスタンドに行こうかと思ってたぐらいで…」
「あ、そう? ガソリンスタンドなんて 別に明日でもいいんでしょ?
じゃ、出かけるから とっとと着替えて頂戴」
「えぇ? 何処行くの?」
「何、言ってるのよ 映画を見に行くのに決まってるじゃない」
「え? 映画館まで送れってか?」
「アナタ 何、言ってるの?
一緒に映画を見に行くから 着替えなさい…って言ってるの」
「エ・え・えぇ?! 俺、だって、映画館は…」
「ちょっと!!、アナタ 発作起こして 少し、自分を見失ってるんじゃないの?」
「へ?」
「もしも、今 たった今、アナタが発作が起きて ポックリ死んだとするじゃない?
そしたら、”見たいのに見れなかった映画”が何本かあるわけよね?
それって 凄い、心残りになるでしょ?
そんなツマラナイ心残りをされて逝かれたら こっちも困るから
一緒に見に行ってあげる…って 言ってるのよ 文句あるの?
だいたい、本来のアナタってさ、心残りになるぐらいなら
やって、クタバった方がマシだ!!!って人じゃ無かったの?」
「いや、だって もし、万が一 発作がさ…」
「その時は その時で、私が最期を見届けてあげるわよ
ホラ、グズグズしてないで 着替えて!!」
嫁に促され パジャマから外出用の服に着替えながら…
嫁の言葉を反芻していた。
確かになぁ…
「クタバったら その時だべ」
それが、今までの私だった。
「ちょっと弱気になってたかもしれないなぁ…」
そう思うと いつしか反省で心が一杯だった。
映画館に向かって車を走らせながら
「オマエ、昨日、娘達と一緒に見に行ったんじゃなかったの?」
と 私が聞くと
「だって、一番見たいの”夜のピクニック”だったんだけど、あの娘達 見たって言うから他のを見たのよ
それに、アナタだって 何だかんだ言って、一番見たいのが”夜のピクニック”なんでしょ?」
「え? よく判ったね」
「そりゃそうよ アナタが前に買って、読み終わっていた原作 私も読んだもの」
「え? あ、そうだったの? そかそか…」
と言うわけで…
「夜のピクニック」を映画館で見た。
やっぱ「長澤雅彦」は 良い仕事するね
なんか、漂う雰囲気が とても良い。^^
ただ、物語の内容も悪くは無いのだが、映画の中の1シーンから 記憶の中の想い出がスコーンと呼び起こされ、そんなノスタルジィが とても心地良い。
だから、この映画のストーリーの様に「延々と歩く」なんて経験は学生時代には無かったし そんなリアルな記憶は無い。
が、例えば
こんな風に 夜空を見上げて話した事が 何度かある。
北海道の洞爺湖の畔に有珠山という山があり、私の記憶の中で2度 大きな噴火を起こした事がある。
その2度の噴火の前に 中学生だった私は、通っていた中学校の行事で有珠山の麓にある廃校を利用した宿泊施設に 宿泊研修で出かけた事があり、その時に 今、私の嫁になった彼女と二人で 夜中に抜け出して、グランドの横のブランコで揺れながら見上げたら 空は満天の星空で しかも、その日は流れ星やら人工衛星やらが よく見えるぐらい澄んだ星空で…
その時に二人で どんな話をしたかは どうでも良い話なので触れないが…
それは私達夫婦には 特別な想い出で…
そんな事を思い出しながら ふと、隣で映画を見ている嫁の横顔を見たら なんか、目尻がキラッと濡れていて…
「コイツ~」
なんて感じで 愛おしくなって、嫁の手を握ったら… 力一杯、ツネられました(ToT)
それにしても…
楽しみにしていた「私」については 映画版でもハッキリと明確にはしていなかったけど、高見光一郎役の 柄本佑が想像以上に物凄く良かった。^^
TV版「世界の…」のボウズ役以来、パッとした役に恵まれてなかったが、この「高見光一郎」は ホント、とても良かったよ。
彼が「よし、じゃぁ俺が…」のシーンは ちょっとジンとくるぐらい感動した。
内容的には ずば抜けて素晴らしい…という程では無かったけど、見終わった後に 嫁と思い出話のネタを探すのには とてもネタ豊富な構成だった。
「あの高見クンって まさに”気の弱い弁護士”そのもののキャラね」
とか、
「忍は 腕力だけが取り柄の歯科医かなぁ…」
とか、
「親父の妾に子供が…ってところは まさに二代目開業医だし…」
とか、晩御飯を食べながらの会話が弾んだだけでも 充分に観賞料の価値はあった。^^
さて、「夜のピクニック」を見終えた 我々、夫婦は 同じ映画館で「UDON」も見た。
こちらも 期待通り、なかなか良い作品だった。
ユースケ・サンタマリアが演じる主人公もさることながら
「小日向文世」と「鈴木京香」の夫婦が良く、それ以上に
この親父が最高に良く、終盤に 一気にブワッと泣かされた。^^
また、個人的にではあるが
久しぶりに「小西真奈美」の真面目な演技を見たわけだが ラストの笑顔は実にチャーミングに感じ「やっぱ、この娘 良いなぁ…」と再確認するに至る。
それと、この映画のパンフが
映画内に出てくるタウン誌のスタイルなのが 実に奇抜で良い。^^
で、この「UDON」を見終わって 映画館のある札幌駅のビルの地下に降り、そこにある なかなか美味い「さぬきうどん」を食べさせてくれる店に 嫁と行ったのは言うまでも無い。^^
やはり、良い食べ物の映画を見ると その映画に出てきた食べ物を食べたくなるのは 私も嫁も習性なんだな。^^
で、うどんをすすりながら 映画の感想というか、まぁ、話になるわけで…
「どう? 心臓の調子は?」
「うん、別に悪くないと思う」
「じゃぁ、良かったじゃん
ウダウダ言ってないで とっとと、見に来れば良かったのよ」
「そうだな…
でも、二代目が映画館は統計データー上 行かない方が良い…って言うからさ…」
「確かに 医学的根拠はあるのかもしれないわよ?
でも、それに縛られて 逆にストレスためてたら世話無いわよ」
「ま、たしかに それもそうなんだよな」
「って言うか、アナタ そんなの今まで考える人じゃ無かったじゃない?」
「うん、今日 オマエに言われて ちと、胸に刺さったな その指摘」
「ハッキリ言っておくとね
アナタが今 死んでも、数年後に死んでも そんなに変わりは無いのよ
入ってくる保険金の額が変わるわけじゃ無いし、会社からは役員報酬以外に株式配当だってあるし…
それに、もっとハッキリ言っちゃえば 去年の発作もそうだけど
アナタは今までに”あの時、死んでてもおかしくないよな”って場面をいくつも経験してるでしょ?
と言う事は、アナタは とっくの昔に死んでいても不思議じゃないわけだから、今 生きてるのはオマケみたいなものよ
そんなオマケの人生に”医学的統計データー”が… なんて言ってるのっておかしくない?
”医学的統計データー”から言えば アナタはとっくの昔に死んでるはずの人なんだもの」
嫁の言ってることは 他人が聞けば無茶苦茶な論理に聞こえるかもしれない^^;
けど、私には 物凄く、説得力のある言葉だった。^^
なんかね、うどんすすってるんだか 鼻水すすってるんだか 判らなくなりつつ、
「オマエ、やっぱ 良い奴だな」
と、私が言うと
「何、言ってるの? ”良い奴”じゃないでしょ? ”佳い女”でしょ?」
と、怒る嫁。
私は思わず苦笑いしながら「悪かった、言葉間違えたよ」と言うと 嫁は澄ました顔で
「見たい映画も見ずにポックリ死んじゃってさ、49日を前にして
”俺、夜のピクニック見たかったんだよぉ…”
なんて化けて出られる身になって考えてみてよね?
どうせなら、スッキリと成仏して貰わないと 鬱陶しくて未亡人なんかやってられないわよ」
とまで、言い切る嫁。^^
そんな嫁の顔を うどんをすすりながら見ていたら
「あぁ、コイツと結婚して良かった」
実に久しぶりに そう実感した私だった。^^;
