● ホンカン雪の陣&ホンカン仰天す
倉本聰が描いた「うちのホンカン」シリーズ全6話の第5話として1981年3月22日の放送されたのが「ホンカン雪の陣」
第6話として1981年12月27日の放送されたのが「ホンカン仰天す」の回である。
まず、第5回「ホンカン雪の陣」のあらすじに触れると…
今回は前回までの駐在地「北海道千歳市支笏湖温泉」から
「北海道石狩郡厚田村(現:北海道石狩市厚田区厚田)」に転勤となるところから始まる。
真冬で猛吹雪の天候の中
荷物の片付けも ままならないうちから歓迎会だ… 暴風雪による国道の通行止めだ…と ホンカンはてんやわんや
そんな中で、翌日の大学入試に なんとしても閉鎖された国道を行きたい学生や…
札幌から乗せてきた乗客が消えてしまったと狼狽えるタクシー運転手や
無理矢理、閉鎖中の国道に進入し 雪に閉じこめられる車…
で、この話のキモは 国道閉鎖中に
電話ボックスの中で電話をしている女を目撃するホンカン
しかし、ちょっと目を離したすきに その女はいなくなり…
今度はバス停に立っている女を目撃し、話しかけると女はバスを待っていると言う。
しかし、時間的にも 天候的にもすぐにバスが来るはずもなく…
再び、女は ちょっと目を離したすきにいなくなる。
不審に思ったホンカンが電話ボックスを確認しようとすると 折からの雪で電話ボックスの戸は雪で埋まり、開ける事が出来ない…
なんて話で構成されている。
で、次の第6回「ホンカン仰天す」のあらすじに触れると…
厚田に赴任して 町の人々とも馴染んできたホンカン
ある日の巡回中
トラックが落としたタコをミニパトで轢いてしまい、そのタコを漁協に届けると 漁協の人達は「拾ったモンなんだから ホンカンが食べちゃえ」と取りあわない。
しかし、頑固で生真面目なホンカンは 収賄や隠匿になるとマズイと意地を張る。
そんなある日
ホンカンが書いた記事が警察の機関誌に掲載され、その記事には 厚田にある 兄妹(上条恒彦、藤谷美和子)が経営する寿司屋が 月に一度「心の日」として 町の人々に破格の値段で寿司を提供し、
町はずれに住む 生活保護を受けて生活している老人(加藤嘉)に タダで寿司を届けている話を美談として書かれていたが…
その記事が町で話題になり、一躍人気者になったホンカンだったが…
辱められたと怒った老人は 寿司屋に怒鳴り込み…
その老人と話したホンカンは…
ってな感じ。
この第5話と第6話は 単発モノのドラマとしてはなかなか良い出来だと思う。
だが、ホンカン・シリーズとしては 私は前回の『冬のホンカン』という記事の中で
この第4話が ホンカン・シリーズの中でも最も傑作であり、この後に5話、6話と2作あるけど 私に言わせれば事実上の最終回だったと思う作品だ。
(その理由は 次回を語る時に述べる)
と述べたので、その理由を語ろうと思う。
それは 第1話から前回の第4話までは ホンカン・シリーズの根底に流れるドラマの柱には 駐在としてのホンカンの日常という物語と共に 一人娘に対するホンカンの愛情というものもあった。
で、私の記憶に間違いが無ければ(記憶違いだったら ホントにごめんなさい)
第4話「冬のホンカン」が1977年3月13日に放送された後、そんなに期間をおかずに 第5話が製作開始されたのだが、娘役の仁科明子が 松方弘樹と不倫騒動を起こし…(その後、結婚、そして離婚) 仁科の旦那役となった室田日出男が大麻所持で逮捕…といったスキャンダルが立て続けに起こり、第5話はお蔵入りになった… そんな記憶がある。
で、今回紹介した第5話は それから4年の後の1981年に「ホンカン・シリーズ」の続編を希望する声が多かった事もあって お蔵入りした作品とは別に制作された(と、私は記憶している)のだが、話の流れ的に 結婚した娘に関する描写は その第5話や第6話には無い。
つまり、この第5話と第6話では 本来の話の柱だった「娘」が欠けている。
だから、私には シリーズの作品ではあっても 第4話が最終回だったと感じてならないのだ。
昔、私の親父は この「ホンカン・シリーズ」を食い入るように見つめていた。
当時の私には その意味が判らなかったけど、今なら判ると述べたのは 今の私は年頃の娘や姪がいる。
当時の私の親父には 年頃前の私の妹という存在がいた。
そうなんだ…
この頑固親父ホンカンの姿に 我が身を投影して見入ったんだ私の親父は…
そして、今 私は同じ様に 我が身を投影してホンカンを見入る。
私が倉本聰が大好きなのは この頑固親父の心の機微を 実に綿密に脚本で表す作家だからだ。
第5話と第6話は 頑固者を描いたという点では 相変わらず秀逸な作ではある。
けど、それは「頑固者」であって「頑固親父」では無い。
だから、私は分け隔てる。
それが理由なのだ。^^;
さて、この「ホンカン・シリーズ」は もうひとつ別の視点で見たとき 特異なドラマだったと言える。
それは このドラマを制作したのが
「北海道放送(HBC)」という TBS系の北海道のローカル局だった事。
ローカルネタで申し訳無いけど、かねがね私は 北海道のローカル放送局に対しては このHBCに限らずUHBやSTVも含めて、不満が多々ある。^^;
それは自分達を「立派な独立した放送局」と言いながら、結局は関東キー局の電波中継の役にしかたってない…という事。
電波中継なら それだけに専念すれば良いし、それなら それで理解出来る。
ところが、「地場のニュースを」なんていきがって 結局はクソの役にも立たないノイズの様な地域ワイドを垂れ流すだけしか出来ていない。
「立派な独立した放送局」と言うのなら この昔の「ホンカン・シリーズ」の様に 全国的に認められるようなドラマのひとつでも作ってみせろ、もしくは 作る気概を持て…と言いたい。
で、何故 この様な事を今回述べるかと言えば この「ホンカン・シリーズ」の第5・6話の演出を担当した人物が 実は現在の「北海道放送(HBC)」の代表取締役社長だからだ。
この男は この「ホンカン・シリーズ」を担当していたのが自慢でならず、それは判らなくも無い。
にも関わらず、彼が現在 社長として行っている事はキー局からの放送比率を削減し、自社製作番組の比率を高め、キー局に支払うネット料を節減している…と言いながら、同じ様に 経費節減・人員削減と称し番組制作の人材を確保・育成を怠り 地域番組の偏向もあって営業的に苦戦が続いている…という まさに悪循環を続けている。
我が故郷を悪く言いたくは無いけれど 北海道の人間は 他の地域の人々に比べ、とかく「景気が悪い」「不景気だ…」と口にする。
北海道から全国を相手に…と気概をみせる経営者も少なく無いが、多くは国からの補助や公共事業で恩恵を受けようと願う者が多く、自らで生み出そうという気概に欠けるところがある。
であれば、素直に内地に従おう…という従順さを見せるのも ひとつの姿勢であるのだが、プライドだけは人一倍で「地場活性化が優先」なんてカッコ良い言葉ばかりを使いたがり、実際には 本州企業がせっせと道内で儲けていくのを助ける事しか出来ていない。^^;
こんな「ホンカン・シリーズ」なんて秀作を世に送り出しておきながら、その後に活かせず、現在の体たらくを見せるHBCにおいて 過去の栄光とやらに酔いしれながら、言ってる事とやってる事の違う社長…
それに対して「オマエはアホか!!!」 そう私は言いたいのだ。
