● ブタネコの「香典」
まぁ、お盆という事で…
先日、ある友人が 突然、我が家に訪れた。
その友人は 私が、これまで このブログに書き記した喫茶「職安」のバイト仲間達では無いけれど、同じ高校で3年間を共に学んだ仲ではある。
彼の父親は 私達が高校生の時、一部上場企業の札幌支店長という肩書きを持っていながら 定年よりも数年前に依願退職し、本屋を始めた人だった。
我々が通った高校から そんなに遠い場所では無く、個人経営の割には 当時として売り場面積も狭くなかったから品揃えも悪く無く、読書好きの私などには とてもありがたい本屋だったから よく利用させて貰ったものだった。
その後、景気の動向もあるが 本屋が大型チェーン店化や、中古売買のチェーン店の普及により、その本屋は潰れ 以後、その本屋の親父さんは近在でも有名なボランティア活動家として 近在の公園の美化などに専念し、好々爺として晩年を過ごしていたわけだが、今年の春に 老齢と持病の悪化が重なり、二代目開業医の病院で安らかに永眠された。
その報せを聞き、私自身は療養中ということもあって やはり学生の頃に その本屋によく通った一人であるウチの嫁が通夜に行くと言う事もあり、不祝儀を連名にしてくれと頼んで 嫁だけが出席したのだが…
ハッキリ言って、高校時代のウチの嫁は「亡き友」の件もあって、私なんか問題にならないほどの「変わり者」だった為^^; 変な言い方だが、友人が極めて少ない。
ゆえに、そんな高校時代の付き合いの場に顔を出す事など滅多に無いのだが… その日、彼女は自ら出席すると言い 出かけて行ったのには 正直、物珍しさを感じてはいた。
ま、結論から言えば そんな嫁だったから、その通夜の出席者達から注目を浴びる事も無く、殆どの出席者達から気づかれずに帰宅したわけで…
しかも、後で聞いた話によると 香典袋の名義を嫁の名前だけで 私の名前を書き忘れたから、結婚して私の姓になっているのに誰も気づかず、住所も書かずに出したから余計に その香典の差出人が どこの誰か判らないままになっていたそうだ。^^;
で、ある時 その喪主である友人(元・本屋の息子:同級生)が風邪をひき、二代目開業医のところに行った際 何気ない会話の中で私の話になり、その中で ウチの嫁の話になり
「アッ!!」
と、初めて 差出人不明の香典の事に気がついたのでそうで…
香典返しを持って 我が家を訪ねた… というのが その時の顛末だった。
私は 以前から、個人的にだけど「香典返し」とか、入院中の見舞いに対する「快気祝い」とか、結婚祝いに対するモノとか…
いわゆる、「お返し」というモノに対して私見を持っている。
誤解の無い様に言っておくが ケチで言いたいのでは無い。
それに、私は基本的に そういう形で何かを頂戴した時には 余程の事が無い限り、必ず「お返し」を実行してきた。
(「仕返し」じゃないぞ > taku 先に言っておく^^; )
で、私が疑問に思うのは 私が出したモノに対して届けられた「お返し」を受け取った時なのだ。
例えば「結婚」「出産」「進学」… そういう「お祝い」の場合
新郎新婦が夫婦となって 新しい家庭を作るにあたり、何かと物入りだろうから ささやかながら足しにして頂ければ…
そういう気持ちで届けたのだ。
なのに、それに対する「お返し」を わざわざ買って寄越されるのは ある意味、私としては ちと不本意なんだな。^^
(偏屈者ですから^^;)
「お祝いを1万円貰ったから お返しは3千円ぐらいの品で良いかなぁ…」
その結果、差し引き7000円が残り 私のもとに3千円分のお菓子が届く…
率直に言って そう言う場合に届く3千円のお菓子って あまり有り難いと感じるお菓子では無く、とりあえず無難だろう…って感じのクッキーの詰め合わせとか その程度のモノ 実際に、「それを味わいたくて3000円出して自分の為に買うか?」と聞かれたら 自分のためには誰も絶対に買わないだろうなぁ… なんてモノの場合が殆どなのだ。
だったら、そんな「お返し」なんかせず、気持ちよく一万円 まるまる何かの費用に使ってくれた方が 私としては有り難いし、気持ち良い。
けどね、そんな風に考える私みたいなのは「偏屈」と言われてしまうほど 少数勢力で、一般的には
「一万円もお祝いを出したのに お返しが この程度?」
なんて考える方が多いらしい。
だったら、最初から御祝儀袋に七千円だけ入れて
「お返し分を 天引きにしておいたから」
と、「税込み・税抜き」ならぬ「お返し込み・お返し抜き」で渡した方が 余程、後腐れが無くて良い…
なんて思う私を偏屈者と呼びたきゃ呼べ。^^;
だから、私は 親戚などの結婚式に招かれた際「お祝い」は 受付では無く、新郎・新婦の暇そうな時を見計らって 直接に渡し、その時に必ず
「間違っても お返しなんかしなくて良い。
その代わり、もし 間違ってオマエ達が離婚する時は
それぞれが別個で良いから これと同額を持って来いよ(つまり、倍返し^^)」
と、冗談めかして本気で言う。^^
出産や進学に関しても そんな倍返しは要求しないけど、無駄なお返しは必要無い…と、念を押す。
本来は「気持ち」に対する「気持ち」として 日本古来からの美習だと思う。
しかし、今の人々に その美習の「気持ち」があるのかね?
そこが どうにも引っ掛かる時の方が多いのだ 先に挙げた
「一万円もお祝いを出したのに お返しが この程度?」
って感じの話が多すぎてね。
さて、葬式など いわゆる「不祝儀」の場合について あくまでも個人的な私見を述べれば
「葬式代の足しにして下さい」
という気持ちで差し出すのが筋だと 下手すれば「冠婚葬祭」のマニュアル本にも書いてあるのを目にした事があるけど、まぁ、それも一理と言えるのかもしれない。
しかし、私は… と言うより、我が家では私の親父や祖父から
「お祝いの時は 出来るだけ はり込め(多く出せ)、その代わり 不祝儀は はり込むな(見栄はって多く出す必要なんか無い)」
と、言い伝えられている。
で、不祝儀の場合、
「恩義のある人に対しては その恩義に見合う分の”気持ち”を届けろ」
とも、言われている。
つまり、
「この方には 大変、御世話になったから…」
と言って 通常は3万のところ 5万や10万の金額を不祝儀袋に入れても その金を使うのは故人ではないのだぞ…って事
「じゃぁ、どうするの?」
近所であれば 年に一度、もしくは 数年に一度でも良いから 墓参りに行き、墓を掃除してあげろ… とか、故人の奥さんや 遺された家族の相談にのったり、親しく付き合い続けて行く事…
つまり、「恩返し」と「お返し」をゴッチャにするな…という風に言い伝えられているのだ。
それが正しい解釈なのか否かは定かでは無いが、ウチの親父や祖父は 自ら、そういう姿勢で臨んでいた。
だから、私も そうしてる。
さて、さて… 話を戻す。
元・本屋の息子は 香典返しが遅れた事を私と嫁に深々と謝り おそらく、「お菓子」とか「海苔」とか「お茶」の包みを それも3つも4つも差し出した。
普通は 包みが一つだけあれば充分のはずなのに…
まず、そこに不審を抱く私。
その後、本屋の息子の話を聞いてたら…
「いやぁ… やっぱ、二代目は医者だけあって持ってる(金持ち)なぁ…
あいつ、10万も香典をくれたんだ…
とは言え、オマエも 知らない間に儲けたんだなぁ…
香典袋に5万も入ってたもんだから ビックリしたよ」
(「え? 5万?」)と ビックリしたのは私も同じ。^^;
もし、私が自分でやってたら おそらく1万円が良いトコだったはず。^^;
嫁を見ると 平然とした顔でコーヒーを飲んでいる。
「それにしても、A(仮名:我々と同じ同級生)はセコイよ
通夜に汚ぇ作業服で来て 香典だって5千円だぜ…」
なんて話をし始めたモンだから 私はブチ切れた。
「オマエ、いったい何しに来たの?
俺、心臓壊れててさ、あまり血圧上げんなって 二代目に言われてんの聞いてない?
あ、もしかしてアレか? オマエ、俺の血圧上げて殺そうって気か?
ま、もういいから とっとと、そのどうでも良い紙包み抱えて出てけ
で、二度と俺に オマエのバカ面見せるなよ
同級生だった…なんて 記憶はすっかり消してくれな
俺のは もう消えてるから…
ただ、最後のお別れに 一言だけ言っておくぞ
確かにAが 高校の時、オマエの親父の本屋で万引きして
それを内緒にして貰ったおかげで事件にならなかった…って話は事実だろうよ
でも、それをオマエが言いふらしたばかりに 親父の善意は水の泡
しかもだ、奴は 勤めていた生保が倒産して以降 子供はグレるわ、
嫁には離婚されるわの不幸続きで 国立大学を出ておきながら 年下のお兄ちゃん達に
アゴでこき使われて下水工事の土方してんのも有名な話。
そんな奴がだぞ、ブッ飛んで オマエの親父さんの通夜に行ったのは
たぶん、万引きの件での感謝の気持ちなんじゃないか?
おそらく、今のAには5千円でも相当な大金のはずなんじゃないか?
そんな事 オマエ、考えてもやれないのか?
と言うわけで、そんなAはセコイなんて わざわざ言いに来る様なバカは
俺の知り合いにはイラナイから とっとと消えてくれ」
元・本屋の息子は 怒って帰って行った。^^
腹立たしさが納まらない私は嫁に
「オマエもオマエじゃん
なんで、あんなバカのとこに 5万も香典包んじゃうわけ?」
と、問い詰めたが 嫁は平然としたまま。
「だって、あの本屋のオジサン
息子と同級生の女の子が可哀相に…って
入院していた”亡き友”に頼まれて買いに行った本のお金を
時々、受け取ってくれなくて…
”これはオジサンからの御見舞だ”って言ってくれた人だったのよ…
ちょっとだけ私も迷ったのよ アナタのヤリ方知ってるから…
でも、結果論だけど 5万入れて正解だったわ
だって、亡くなった本屋のオジサンには 物凄く感謝してるけど
あの馬鹿な跡継ぎにまで恩着せがましい事言われるかもしれないと思ったら
”亡き友”も そして”亡き友のお父さん”の面子にかかわるところだったわ」
そう言われると、怒るに怒れず、「あ、そうなの…」としか言えない私。
それ以後、私は何も言えず、嫁は何も言わず…
平然としたまま 嫁はコーヒーを飲み干すと 電話の子機を取り上げてピポパと電話
「あ、二代目君?
どうも、ブタネコの嫁です…
で、挨拶はともかく ちょっと聞きたい事あるんだけど…
アンタ、あの元・本屋のお父さんの葬式に 香典を10万も包んだんですって?
なに、アンタ 今度の選挙に立候補でもする気なわけ?
そんな無駄金使う奴、ロクな政治家になれないわよ…
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って、ウチのブタネコが言う前に私が言っておくわよ ガチャッ!! ツー・ツー・ツー」
( 結局、俺のせいかよ… (ToT) )
平然と電話を切り、やはり、そのまま平然と
「こんな感じで 良かったのよね? アナタ」
と、私に聞く嫁。(やっぱ、かなり怒ってるよ嫁の方が…^^;)
それに対して、
「お疲れさまでした。」
と、頭と血圧を下げる事しか出来なかった私だった。 orz


