● ビッグマネー 第2話
「ビッグマネー ~浮世の沙汰は株しだい」第2話について語ってみる。
この物語は 「株取引」がひとつの大きなテーマだが、もうひとつの大きなテーマが銀行の裏側に視点をあてていることで 物語中に登場するのは「まつば銀行」という名の架空の銀行。
この「まつば銀行」はバブル期に「相続保険」なるものを商品として売り出し、バブル破綻以降、担保不動産の価値下落に伴って加入者には 救済の為の保険では無く、高金利負担を強いる足枷になってしまったモノの後始末という部分の描き方の中で 本来、公共性が高く 人の味方となるべき銀行が、実は 最悪の営利企業である事を如実に描いている。
そんな銀行のエリート行員として登場する 原田泰造は
国内の銀行としては本来、行ってはいけないとされる株取引だが、法の抜け穴的手法として銀行の子会社である海外法人の部下である金子さやかを指示して大々的に行い、営利を追求する男でもあり、そこであげた大きな収益もあって 銀行内でも それなりのポジションを得ている男として 銀行の悪い面の代表的存在を巧く演じている。
特に、この「ビッグマネー」が秀作と言えるのは その背景描写を含めて脚本の優秀さにあると私は思うのが
毎回のエピソードの中で 悪役銀行マン原田は国内での部下である長谷川京子に 時々、はさりげない一言の様な台詞として、実に銀行の現実的裏側部分を表現する台詞や行動を巧みに描いている事にある。
つまり、それは表面上は甘い笑顔なのに 実は、その仮面の下で ドス黒い陰謀めいた考えが渦巻いている… そんな部分をである。
しかも対照的に
本来は一般的に忌み嫌われるはずの「総会屋」「相場師」「ヤクザ」である人物達が…
コミカルに かつ、まともな人間として描かれている構成も実に巧い。
要は 公共性の高さから一般にとって信頼が高いはずの銀行が 当時は「護送船団方式」として 経営が悪化すれば簡単に国から救済措置として税金の注入を簡単に与えられながら 現実的には「貸し剥がし」を行ったり、大企業や担保資産を持つ者ばかりを優遇し、ギリギリのところで必死な中小企業には 冷酷とも思える二面性を有していた姿を 今までの数多のドラマの中では わりとリアルに描く事に成功していると感じたのだ。
「ビッグマネー」第2話も 全体的の12話構成から言えば、まだまだ導入部であり、株取引に無知な主人公を伝説の相場師「小塚(植木等)」が指導し育て上げる過程として 主人公と同じ様に株取引の実態に無知な一般視聴者にレクチャーする志向となっているところにも好感が持てる。
大雑把ではあるが 株取引には「株を買って値上がったところで利益を得る」だけでは無く、「空売って値下がったところで買い戻し利益を出す」手法や「信用取引」という手法などがあり、そのカラクリをレクチャーするという意味だ。
まぁ、その株売買の描写に関しては ドラマとしての劇的効果を生み出すために 現実的と言うよりは ちと、非現実的なアラも目に付くけど それは私としては許容範囲と感じられたので あえてケチはつけない。
むしろ、制作サイドが 安易に「株は儲かりますよ」を描くのでは無く、「素人が株に手を出す」と どういうリスクが どのように怖いのか?を描く方に力を注いだと受け止められるからケチをつける気にならないのだ。
そんなわけで、この第2話は 第1話の人物・設定紹介という趣向に続く部分として 下手をするとタルミがちな危険のある話の中、エピソードの効果的な描き方もあって 導入部の役割を見事に成功させた回だと思った次第だ。


