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2006年06月03日

● レイクサイドマーダーケース


2004年に公開された映画 原作:東野圭吾 主演:役所広司

【管理人注記】 この記事は原作・映像のネタバレを多く記しています。

未見の方は その点を御留意の上で読み進めるか否かを御判断願います。^^




原作を読んだのは もう、随分前のことで いつだったかを覚えていない。


DVDを借りて来て見たのも 随分前で覚えていない。


「そのうち、ネタの無い時にでも記事にしよう…」


そう思ったままほったらかしていたところ、昨夜 民放で放映されたので


「じゃ、遠慮なく…」


と思い 語ってみる。^^;


表紙

原作は東野圭吾の「レイクサイド」で まず、原作に対する感想を述べようと思う。


映画と原作の大きな違いは 登場する家族が原作では4家族なのに 映画では3家族に減っている…という点。


しかし、これは批判すべき事は私には思えず、むしろ3家族の方がスッキリしてる感がした。


なんとなくなんだけど この本を初めて読んだ時、この本の内容全部がというのでは無く、部分、部分に かなり昔に読んだ他の作家の他の作品の中で見た様な… そんな気分を抱いたものだ。


誤解を招かないように言い添えておくが、「盗作だ」「パクリだ」って事を言いたいのでは無い。


シチュエーションのいくつかに かつて読んだ事のある印象、言い換えれば斬新さが無いって意味にも通じると思う。


「吉村達也」とか「綾辻行人」あたりの小説に かつて出てきたシチュエーションがあまりにも強く感じたんだな。


で、東野圭吾の文章力の為せる技とでも言うのかな 冒頭部からエンディングまで 淀みなく物語が流れる様に運び ラストで「へぇ~」と唸らせる… そんな展開が この「レイクサイド」でも汲み取れるけど 一度、読み終えた後に 再び、この本を手にとって読み直すと この小説は かなり、紙一重の構成だったんだな…と気づく。


例えば、お受験合宿の為に とある湖畔のコテージに…


「まぁ、今時なら そんな事も日本の何処かで行われてるのだろうな」


なんて、別段不思議にも思わなかったが 落ち着いて、よく考えると 巧く言えないのだが なんか「あれ?」って思う。


それは、好意的に東野を読めば 引っ掛かからずに読み流せて受け入れられるシチュエーションも「好意的」という見方を省くと「あれれ」と なんだかザラザラしたものに変わってしまう そこが ひとつめの「紙一重」。


つまり、もし これがミステリーなのだとすれば 事件が起きる経緯や場所、状況に違和感が生じた時点で 作品のクォリテイはその違和感のぶんだけ下がるという事。


とはいえ、これがミステリーなのか?と考えれば 似て非なるもの…という解釈も成り立つ。


つまり、意地悪い言い方をすれば 読者からのツッコミどころ満載に対して 作者として言い訳しどころ満載でもある それが、ふたつめの「紙一重」。


そして、


「ラストの後は どうなるの?」


そこを放ったらかすのが 近年の東野の本に よく見られる傾向なのだが、それが この「レイクサイド」にも見られるわけで


この後、この家族と子供達は お受験に成功するのだろうか?


お受験の後、また 何かの事件が連鎖するんじゃないのか?


好意的に読み終えた後であれば そういう好奇心が沸くのだが、東野は書き放しで それに対するテーゼがあるわけでも 警鐘を鳴らすわけでも無く 悪意的に解釈すると


「読んで つまらなかった?

 面白くは無かったかもしれないけど

 でも、つまらなくは無かったでしょ?

 だったら、それでいいじゃん」


なんか、そんな風に放ったらかされた様な気分になる事が多い。^^;


良く言えば「玉虫色」 悪く言えば「計算ずくしの中途半端」 それが東野圭吾の作風なのだと思えば それはそれでひとつの特色。


ただ、そんなのと 他の作家の純粋なミステリー作品とを並べたり、比較する事は とても場違いな事なんだ…って思うわけで 東野の新作を読む時には 充分、心得た上で注意しなきゃ…と思う次第だ^^;




レイクサイドマーダーケース


さて、次に映像の方を語ってみる


レイクサイドマーダーケース

主演が「役所広司」


レイクサイドマーダーケース

その妻「薬師丸ひろ子」


レイクサイドマーダーケース

もう一組の夫婦が「柄本明」「黒田福美」


レイクサイドマーダーケース

三組目の夫婦が「鶴見辰吾」「杉田かおる」


レイクサイドマーダーケース

合宿の講師「豊川悦司」


レイクサイドマーダーケース

役所広司の愛人役「眞野裕子」




この中で特に興味深いのは

レイクサイドマーダーケース

「鶴見辰吾」「杉田かおる」の夫婦役 金八先生の最初のシーズンをオンタイムで見た世代の者として この二人が夫婦役を演じ、その子供を見ると


「あの時の子供が その子か?」


と、つい妄想してしまう。^^;


それとね、もうひとつ興味深い事を挙げると


レイクサイドマーダーケース

役所広司の愛人役「眞野裕子」


レイクサイドマーダーケースレイクサイドマーダーケース

レイクサイドマーダーケースレイクサイドマーダーケース

こんな哀れな姿になっちゃいますが…


この女優さん、実は 数日前に『僕の生きる道 1~3』と言う記事で触れた


レイクサイドマーダーケースレイクサイドマーダーケース

この看護師さんなんですね^^


なかなか素敵な女優さんです。


さて、率直に感想を述べると この映画はとても残念な仕上がりだ。


その最たる原因の多くは 主役の役所広司にあると思う。


私は 個人的には役所広司という役者は大好きな俳優だ。


だが、彼には ひとつ欠点がある。


それは、感情が激した時の彼の演技、特に台詞がTVや映画では無く 舞台演劇になってしまう…という点。

レイクサイドマーダーケース

舞台での芝居は オーバーアクション気味に動き、喋らないと観客には判り難く伝わり難い…という性質がある。


それは、役所が「仲代達矢」の主宰する「無名塾」の出身である事を考えれば そういう演技を身につけたのは充分に理解が出来るのだが、舞台の演技を TVや映画でやられると 時に、「熱すぎる」という感じの違和感が生じ 視聴者は醒めてしまう事が多い。


話の流れや 全体の構成が そういう演技でも浮かなければ 逆に、それによって良い方向に作用する事もあるのだが、この「レイクサイドマーダーケース」の場合、他の役者達の演技が 皆、TVや映画における演技で しかも、ともすれば それぞれの台詞がボソボソと何を喋ってるのか 時々、聞き取れない様な演出構成の中で ひとりだけ舞台演技の熱さを出されては違和感この上無い。


しかも、役所の扮する役柄の設定を 役所のに限らず、この演出家(監督)も ちと忘れてしまっている感もある。


何故ならば この殺された被害者は「役所扮する男の愛人」なのである。


その愛人の死を探りながら、他の者への追求に口調が荒く(熱く)なるのもいいが、全体の流れの中に妻や子や 他の夫婦達に対して、その不倫関係の後ろめたさみたいな気持ちが どこかに「言いたくても言えない」気持ちが生じるんじゃないか?と思うわけで、ところが役所の演技の熱さで それがかき消されて「俺だけは正しい」みたいな部分を強く感じてしまうのだ。


で、ひとつ思い出すのは この作品の四年前に公開された「EUREKA」という作品。


実は この「レイクサイドマーダーケース」と同じ 監督:青山真治と主演:役所広司であり、「宮崎将」「宮崎あおい」という二人の兄妹役の子役の秀逸な演技も相俟って 現代の親と子のかかわりとか、現代社会の矛盾や奇妙さを描いた作品がある。


この「EUREKA」については 見た後に「興味深い作品だな」と思ったので 実は私はこのブログで一度語ろうとして、語るのを止めた経緯がある。


それは 監督の青山真治という人物が 実は学生運動華やかな頃の、極めてクソ集団だった連合赤軍に憧れる様な思想の持ち主だと知ったから。


たしかに、そんな視点で見た物事は 私の持ち合わせている視点とは異質なので そんな人物の描く世界観は 時に目新しく感じるのは素直に認めたい。


でも、その根本にある青山真治の思想はクソ。


となれば、こんな人物の評価を上げる様な記事を書く気にはなれないからだ。


と言うわけで、


この記事の冒頭で


原作を読んだのは もう、随分前のことで いつだったかを覚えていない。


DVDを借りて来て見たのも 随分前で覚えていない。


「そのうち、ネタの無い時にでも記事にしよう…」


そう思ったままほったらかしていたところ、昨夜 民放で放映されたので


「じゃ、遠慮なく…」


と思い 語ってみる。^^;


と、述べたが 何故、「ほったらかしていたのか」その理由は 無意識に忌避していたからなんだな…と この記事を記述していて気づいた次第だ^^;



お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

 ずっと気になっていた本作、ようやく観てみました。

 薬師丸ひろ子の演技がスルーされていたのは寂しいですね~。
正直、彼女がここまで恐い演技ができるとは想像もしてませんでした。

 役所は愛人の亡骸を見て、腰を抜かし、取り乱すべきでした。仮にも
よく知る人間の撲殺死体を目の前にして、なぜ、誰が殺したなんて、
すぐに詰問できるとは思えません。
 彼が本当に義理の娘の「父親」になるのは、死体が発見され、全て
の罪を一人でかぶる時なんでしょうね。それを予感させるエンディング
でした。

★ FORREST さん

ども、お久しぶりです。^^

>薬師丸ひろ子の演技がスルーされていたのは寂しいですね~

すいません。^^;

全体に対しての不満で 目が行き届きませんでした。


【※注意!!】

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