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2006年05月29日

● ブタネコの「蒐集家」


世の中には いろんな「コレクター」がいる。




「コレクター」日本語にすれば「蒐集家」って事。


コレクターとして 古くから有名なのは「切手」 「見返り美人」とか「ビードロを吹く女」などは 単純に切手としてだけではなく、芸術としても価値が高い。


もっと、古くを遡れば 戦国時代の武将には「茶器」を愛でるのが ひとつのセレブ…みたいなところがあった様で 松永秀久が所蔵していた「平蜘蛛の茶釜」を差し出せば 謀反を赦すと信長に言われ その茶釜に火薬を仕込んで 信貴山城の天守閣で自爆した…という話を聞いた事がある。


その話が嘘か真かはともかくとして 高価な茶器を 茶道具として求めるのでは無く、高価な収集品として求める…という様は 現代に置き換えれば 似合いもしないヴィトンやグッチのバックとか カルティエの時計を買い求めるセレブ崩れのオバチャン達と 相通じるものがあるのかもしれない。


スナック菓子にオマケでカードが付いている… 私の記憶の中で その最も古いモノと言えば 仮面ライダーのカード


それが流行った頃には もう、子供という年齢ではなくなりつつあったので、しかも 私は「ウルトラマン」派で「仮面ライダー」派では無かったから興味が無かったが、親から小遣いを貰っては 駄菓子屋に買いに行き


「あ~ このカード、もう3枚目だよ」


なんて嘆く子供の声が よく聞こえたものだ。^^;


近年、「WTMワールド・タンク・ミュージアム」という 戦車のオモチャがオマケなのか 俵型のガムがメインなのか よく判らないものに興味が惹かれ、ちまちま小箱を買って揃えるのでは無く、10個入りのカートンを まとめて4箱買う… そんな真似を平気でやってた。^^


それを指して「大人買い」と呼ぶ…なんて言葉も知らずにね。^^;




今思えば、私が最初にコレクトしようと熱心になったのは 1/700のウォーターラインシリーズ(以下、WLシリーズと呼ぶ)と呼ばれた 太平洋戦争時の海軍艦艇のプラモデル。


最初は 友人達が 皆熱心に戦車やジープを造っているのに 私は持ち前のへそ曲がりが顔を出し、「俺は海軍だ」と思った事と 我が家の父や祖父、曾祖父や叔父達ほとんどが 海軍軍人として従軍していたという 我が家の伝統の海軍魂が発揮されたせいもある。^^;


で、ある時 私が「長門」という戦艦のプラモデルを造っていた時の事。


私の祖父の弟になる人物が 法事で我が家に訪れ、たまたま私が造っていたプラモデルを見て


「おい、これは”長門”か? それとも”陸奥”か?」


と聞いた。

(ちなみに、長門と陸奥は同型艦である)


私は その問いに「長門だよ」と応えたら その人物は


「そうか、長門か

 で、オマエは その長門が どんな艦で、

 どんな歴史を持ってるか知って造ってるのか?」


そう、重ねて聞く


私は 何も知らず 内心では


「本当は大和を造りたかったんだけど 高くて買えなかったんだ

 だから、小遣いの中で買えた長門にしたんだ」


と、思いつつ 正直に


「歴史なんか知らない、なんかカッコ良かったから」


そう応えると


「そっか、他の家なら あぁ、そうか…と言うんだろうけど

 オマエの爺さんが生きてたら さぞ、嘆くか

 さもなくば大激怒して 今頃、この模型は木っ端微塵だったな」


顔は優しそうな微笑みなんだけど 物凄く辛辣な事を言われ


「よし、じゃぁ ちょっと付き合え…」


そう言って 私を家から連れ出すと「札幌で一番大きな模型屋に連れて行け」と言う。


当時、札幌市内で著名な模型店と言えば 狸小路の「中川ライター店」


そこに連れて行くと WLシリーズの「戦艦”陸奥”」と「戦艦”長門”」を買い、「プラカラー」と呼ばれた模型用の塗料のセットや パテなどの本格的な用具一式を買い 今度は「この近くに 大きな本屋はあるか?」と言うから「紀伊国屋」に連れて行くと「軍艦長門の生涯」と 他に数冊の本を買った。


そして、家に戻ると 作りかけだった長門の模型を「丁重に捨てろ」と言い…


「いいか? まず、この本を全部読め

 学校の宿題なんかやらなくていいから

 何日かかっても必ず この本を隅から隅までキッチリ読め

 そして、全部、読むまでは 絶対に模型を造るなよ


 で、全部 読んだら俺に一度 電話を寄越せ

 必ず、模型を造る前に電話を寄越すんだぞ」


そう言って、その日の買い物を全部置いて帰って行った。


私は 本を読むのが好きだったし、慣れてもいたから 数日で、置いていった数冊の本は読了した。


その中でも「軍艦長門の生涯」は 極めて凄い本だった。


なんとなくだけど、祖父の弟である人物が 私の作りかけの長門を見て思った事が理解出来た様な気がした。


だから、約束通りに その人物に電話をかけて話したのも その理解度の確認だったに過ぎない。


つまり、軍艦と聞くと 現代の幻想平和主義者達には 忌まわしい響きとなって アレルギー反応を示すキッカケに過ぎないが、太平洋戦争時に 帝国海軍艦艇として活躍した軍艦達には 1艦毎に歴史や背景がある。


しかも、帝国海軍艦艇の殆どは 乗員もろとも海の藻屑となったのだ。


そう、乗員達にとっては墓標であり、棺桶となってしまったのだ。


「たかがプラモデル」


そう思ってしまうのは容易いし、いちいち深い部分まで日本国民全員が思いを馳せる必要は無い。


けどね、我が家は それじゃ絶対にイケナイのだ。


だって、祖父の弟の別のもう一人は 戦艦「陸奥」と共に 原因不明とされた爆発により広島県の柱島沖に沈んでいるのだ。


祖父の子供、私の父の兄、私の叔父にあたる 別な一人は長門に長い事乗り組んだ後、開戦前に「蒼龍」という空母に移り、ミッドウェイで没している。


そう、たとえプラモデルとは言えども、御先祖様の墓標を粗末に造ってはいけないのである。


祖父の弟が「もし、オマエの爺さんが生きてたら…」と 代わりに言いたかったのは まさに、その事だったのだ。


それ以降、私は WLシリーズに惹きこまれ パッケージや説明書に書かれた その艦の由来はもとより、戦記小説を読み漁り、その艦を それなり知ってからじゃないと造るのを止め、買ったままの状態で保管したし、それが ある程度の数 貯まってくると だんだんシリーズ全部を揃えたくなって、特に 最近では 模型メーカーの金型が古くなって廃盤になるまえに買った…とか、特別に限定のダイキャスト版が出た…と聞いたら買って造らずに倉庫に保管する…という風に完全にコレクターと化した。^^;




さて、前置きはともかくとして…


ブランド品の収集…という分野だけには私は いまだに同一視出来ない気持ちが強いけど、いわゆる 一般的に「蒐集マニア」として 他人からは「何でそんなものを?」と思われる様なものでも コレクティングする…という行為や気持ちは よく判る。


それとは別に「この一点だけは 何としても手に入れたい」 他人から見たらゴミの様なものでも その人にとっては かけがえの無いモノを探す… そんな気持ちも 痛いほど判る。


例えば、判りやすい例えを用いると ある学者が自分の研究分野の参考文献を探していたとする。


まぁ、参考文献と言っても 単純に「昔の本」だという事は よくある。


その本は その学者にとっては どうしても手に入れたい一品でも、その研究に無関心な多くの人々には ただの古本でしか無い。


だから、昔は神田の神保町など古本屋街を一軒ずつまわって歩き、その念願の本を見つけた時には 涙が出るほど嬉しい… そういう経験も私にはある。


先日、「真説 金田一耕助」という本について語ったところ「読んでみたい」と思った人からメールを貰い「どうやったら手に入るだろうか?」と聞かれた。


この本は 実は既に絶版となり、おそらく再刊の可能性も薄いのだ…^^;


で、たまたまヤフオクを覗いてみたら1冊、出品されていたので 取り急ぎ、メールでお知らせしたところ 運良く、落札出来たという。


とても便利な世の中になったもんだ… そう思う。


昔の様に 一軒一軒、古本屋を回らずとも 運さえ良ければキーボードをパタパタするだけで手に入る時代なんだな…と。


でね、私は思うんだけど 例えば「真説 金田一耕助」なんて本は 横溝ファンにこそ所有して貰うのが その本にとっても幸せな事だと思う。


で、あらためて自分の書斎の書棚を見回すと「もう絶対に買わないし 読まない」と私が公言している作家の本が随分と並んでいる。


これって、この本にとっても実に不幸な話かもしれないな… 


なので、明日から先 暇を見て書棚を整理して 嫌いな作家の本は どんどん売り払おう… そんな風に思った今日この頃だ。^^



お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

私もウォーターラインシリーズのスタート当時にハマって20隻ほど作りました。メーカーごとにクオリティーに差があったのが辛かったですね。田宮、ハセガワは良い出来でしたが、アオシマのはトホホでした。今はどうなのでしょうか?
艦艇それぞれにドラマがありますよね。雪風のように大戦を無事に生き抜いた船もあれば、処女航海で沈んでしまった船も。興味深いです。
ちなみにWTM、置き場所が無いぐらい大量にあります。

★ samurai-kyousuke さん

>田宮、ハセガワは良い出来でしたが、アオシマのはトホホでした

それ、物凄く同感でした^^

プラモも作りかけや作らずにストックしてあるもの、結構あります。
中には米国駐在時の荷物と一緒に、太平洋を往復してしまったものも・・・
いずれ作ろう、と思い続けてそのまんまです。
拙ブログですが、新館に移設しました。今後もご愛顧の程お願いします。

★ mac さん

>いずれ作ろう、と思い続けてそのまんまです。

macさんもですか^^

似たもの世代ですね^^;

>新館に移設しました。今後もご愛顧の程お願いします。

早速、リンクとBlogPeopleを修正させて頂きました。

今後とも 今まで同様 よろしく御願いします^^

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