● タイガー&ドラゴン 7話再考
「小日向文世」で「瑠璃の島」「優しい時間」ときて「そう言えば?」と思い出したのは「タイガー&ドラゴン 第7話」なのである。
この第7話「猫の皿」は 冒頭から
と、柳亭小しん(小日向文世)の出端で始まる。
このタイガー&ドラゴンは 落語家の話をベースにした人情コメディなのだが、ここでの小日向が演じる設定は
古典の人情噺(泣ける噺)が 笑える噺より上だと頑なに信じる頑固者の落語協会の会長。
かつて、「林亭どん平」とはライバルの関係にあり、落語協会の会長の座を争った。
いつも小難しい顔をして
まさに「協会の会長」という雰囲気を醸している。
この話のキモは ラストに
柳亭小しんが笑って「今度、時間のある時、うちにおいで ”子別れ”教えてやるから」と言うところ
小日向は最後まで頑固な会長のまま…
さて、良い機会なんで 何故、私が「小日向文世」に拘るのか…を申し上げてみたい。
ま、簡単に言えば 彼は 真の役者だ…と ある時、物凄く感動させられたから。
それ以来、「小日向文世」のファンを自認している。^^
私の言う「役者」とは 与えられた設定の役柄をキッチリと演じてみせる俳優の事。
言い方は ちと悪いかもしれないが、最近のTVドラマや映画の場合 主役には真の役者というよりも 歌やビジュアルで人気が高い者を抜擢し 役の設定も、そのタレントの雰囲気などに合わせてストーリーまで微妙に変える始末だが、そのぶん ワキを固める役者達が キッチリと良い味を出して その結果、良作と仕上がる事が少なく無い。
そんな脇役も 最近ではハマリ役の度合いが重視され、「踊る大捜査線」のシリーズで「スリー・アミーゴズ」と評判になった「北村、斉藤、小野」達は わりとコミカル路線ばかりを求められたり、同じ「踊る大捜査線」のシリーズ 警視庁や警察庁のキャリアの部長や局長を演じている中丸新将、大河内浩、津嘉山正種、辻萬長、並樹史朗といった人々も わりと役設定が固定されている。
そんな中にあって この「小日向文世」は 実に広い役幅をもった俳優なのだ。
例えば この「タイガー&ドラゴン」では
頑固な落語協会会長
ところが、このドラマと同じクールに放送されていた
「瑠璃の島」で ちょっとイカれたオッサン^^;
「HERO」では 検察事務官
「救命病棟24時」では一度開業に失敗した医者
一番最近では
「アテンションプリーズ」のベテラン機長
判るかな… この違い^^
ポッと思い出すまま小日向の出演していたTVドラマを思い出すまま書き出してみると
・「木更津キャッツアイ」では主人公の父親で床屋
・「さよなら小津先生」では主人公と対立する教師
・「六番目の小夜子」では 不明
・「僕の生きる道」では 主人公の主治医
・「ウォーターボーイズ2」では 石原さとみの父親役
・「がんばっていきまっしょい」では お好み焼き屋の親父
他に、映画の方でも
・「上海バンスキング」(1988年)を皮切りに…
・「銀のエンゼル」(2004年)
・「スウィングガールズ」(2004年)
・「いま、会いにゆきます」(2004年)
・「タッチ」(2005年)
・「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)
・「深紅」(2005年)
などがある。
でね、何が凄いかと言うと…
このように羅列しようとしても 実はなかなか思い出せなくて…
で、思い出すと「あぁ、そうそう あのドラマの あの役の…」と 役柄は直ぐ思い出せる。
これって、ドラマに溶け込んで目立ってはいないんだけど ちゃんと印象には残る…って事の証拠じゃなかろうか?なんて思うのだ。
わりと ニコニコ笑ってる役が多いんだけど 実に渋い役もキッチリと良い仕事をしている。
で、私が個人的に「小日向文世」で最も印象深く記憶しているのは
長瀬智也が主演の「ビッグマネー」で見せた総会屋役。
ず~っと ニコニコ・ヘラヘラしてた男が 終盤で突然スィッチが切り替わったかの如くギラッと凄みのある目の表情になる…
その様子を見ていて
「うわぁ… この俳優、凄ぇ~」
と、それまで名前すら知らなかった「小日向文世」が忘れられなくなったのだ。


