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2006年05月21日

● 真説 金田一耕助


『真説 金田一耕助』という本について語ってみたい。




画像

著:横溝正史 刊:毎日新聞社 初版:昭和52年11月25日

ISDN:0095-500427-7904

表紙絵:和田誠


この本は ちょうど角川書店の「横溝正史フェア」として「犬神家の一族」が映画化されて 横溝ブームが生じたおりに 毎日新聞の日曜版に全部で51回掲載されたエッセイ集である。


横溝正史ファンにとっては 横溝自身のエッセイであるがゆえに 作者本人を知る上ではバイブルとなる1冊である。


これを読むと「おどろおどろしい」作風と言われる横溝文学の作者が 実に飄々とした人物だったかが垣間見え 私は、そこにも大いに魅力を感じたものだ。^^


画像

この画像は この本の帯で 抜粋された文章であり、この本の目次を書き出してみると


  ・金田一耕助恐縮す

  ・人気とは不可解なもの

  ・映画初出演の弁

  ・映画になった金田一耕助

  ・金田一耕助最後の事件1,2,3

  ・「犬神家の一族」の思い出

  ・金田一耕助、山を下る

  ・最高と最低

  ・タレント業失格

  ・本名と筆名

  ・小説と映画1,2

  ・勲章を貰う話

  ・金田一耕助の収入

  ・騒がしかりきこの1年

  ・終戦後の初正月

  ・私のベスト10

  ・一人の金田一耕助の死

  ・屁をかぞえる人びと

  ・腰砕け

  ・ディクソン・カー1,2

  ・カゼをひくの弁

  ・「本陣殺人事件」由来1,2

  ・カーの死

  ・バレンタイン・デーの恐怖

  ・Whodunitの映画化

  ・昭和52年4月2日

  ・横溝正史シリーズ

  ・人形佐七捕物帖1,2

  ・「蝶々殺人事件」縁起1,2

  ・三本指の男

  ・蝶々失踪事件

  ・ブームやつれ

  ・「獄門島」懐古1,2

  ・「八つ墓村」考1,2,3

  ・「陰獣」の試写を見る

  ・病院坂の首縊りの家

  ・怪奇探偵作家

  ・モウロクもまた愉し

  ・Yの悲劇

  ・悪魔が来たりて笛を吹く

  ・さらば金田一耕助

  ・あとがき


それと、文中には

『付・昭和51年8月22日~昭和52年8月20日の日記抄』

として 横溝正史の日記が挿入されている。


この本の中に記されている横溝正史の言葉は ファンにとっては実に興味深いものの宝庫。


特に、横溝正史が「推理小説」ではなく「探偵小説」に拘ったかのごとき作風の理由が汲み取れる。


海外の作品を 実に多く読破し、時には それらに挑戦する様に記された作品…など、著名な自身の作品の裏話を臆面無くさらけ出している様は 横溝氏御本人が裏表も腹蔵も無い人物だった事の表れでもある。


  ●『幻影城


という記事を御参照頂けるとありがたいが、横溝は自身の手による随筆本や寄稿をした本や雑誌が 他にもいくつかあるのだが、この『真説 金田一耕助』が注目に値するのは 角川書店による大ブームの最中にあって 実に飄々と、時には他人事のようにブームの事とか、映画化された作品についてとかを御自身で語っている部分。


同時に 挿入されている日記抄のに その頃の事件や時事話題がメモされているのだが、


・「ミグ25亡命事件」

・「太平洋x近鉄」


など、その時代を過ごした者としては 懐かしい名前を見つけるし、ちょうど「病院坂の首縊りの家」が「野生時代」に連載されている頃で 横溝氏が如何に悪先苦闘しながら出筆されておられたのか?が 拝察され、舞台裏を垣間見れる喜びも抱いた本だからだ。


同好の士でおられる『葉月亭』のHAZUKIさんも よく、横溝を述べる時に この本を引用されておられるが、その気持ちが 私には充分に理解出来る。


だって、いろんな作家の随筆や日記を読んだけど この本の横溝正史御本人ほど謙虚で真摯に述べられた書は他に無い。


もうね、これだけでも「横溝ファン」を充分に堪能できる一冊だからだ。


最近、ありがたい事に Google等の検索で「横溝正史」や「犬神家の一族」というキーワードで このブログに御来訪頂く方が多いのだが、そんな中の数人から、


「横溝正史御本人を知るのに 良い本はありますか?」


という御質問を数回頂戴し 私は その都度、この本を御推薦申し上げている。


もし、アナタが横溝ファンであり、この本を未見なのであれば 是が非でも読むべきと強くお奨めする次第だ。^^


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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『横溝正史』関連の記事

コメント

>著名な自身の作品の裏話を臆面無くさらけ出している様は 横溝氏御本人が裏表も腹蔵も無い人物だった事の表れでもある。
 まったくです。横溝正史という人は、本当に、裏表のない人でした。

エッセイ、随筆というものは、その書き手の人となりが実に率直に伝わってくるものです。

あの著名人であった横溝正史が、いかに庶民的な人で心根の優しい人であったか、彼のエッセイを読めば、そのことが本当によくわかります。

ブタネコさんがおっしゃるとおり、『真説 金田一耕助』は横溝ファン必読の書であります。
金田一耕助に魅了された方には是非とも読んでいただきたい一冊です。
(ブタネコさん。拙ブログを紹介いただき、恐縮です。「同好の士」と呼んでいただき、大変嬉しく思っております)

★ HAZUKI さん

「士」という文字が女性に対し適切なのか?が 個人的に ちと引っ掛かってますが^^

HAZUKIさんは 間違いなく「同好の友」と私は思わせて頂いております^^

こんばんは。
ブタネコさん、HAZUKIさま、ご両人さまがよく引用されるのが、この『真説 金田一耕助』だと思います。
この、表紙のイラストがとても可愛らしいですよね。帯の横溝先生の似顔絵も、氏のキュートさや穏やかさや面白さを端的に表現していてとてもよいと思います。

確か横溝先生が映画「犬神家の一族」に出演されたときのエピソードで、自分は緊張していて縮んでいたが、一緒に出演した妻がとても無邪気に堂々としていて面食らったというようなものがあったと思います。
それらから垣間見る横溝夫妻のカップルとしての可愛らしさが、私はとても好きです。

この本、実際、読みたいんですが、書店では見つからないんですよねえ・・・。

★ しき さん

>この本、実際、読みたいんですが、書店では見つからないんですよねえ・・・。

当初は 毎日新聞社からハードカバーで出版されてましたが 後に、角川文庫から再販されてます

ただ、角川文庫のは毎日新聞と比べてページ数が薄いので 若干、内容が削られているのかもしれませんが、表紙絵は同じモノをつかっているので 同じ本と思われます。

ブタネコ様、初めまして。
横溝正史関係をいろいろ検索していてこちらに伺いました。
映像作品などを詳しく紹介されていて、とても興味深いです。じっくりと読ませていただきたいと思います。

今、横溝正史が何度目かのマイブームになっておりまして、原典や映像作品を楽しんでおります。
昔は有名どころ中心に読んでいたのですが、今回はあまり有名でない短編などを読んでいたりします。
そこで気になるのが、原文の表現が改変されていやしないかということです。
実際「金田一耕助ファイル」と題して再販されている角川文庫版は巻末に一部改変している旨が記載されています。
こういうのは本当になんとかしてほしいものです。文学作品を何だと思っているのでしょうか。
しかし、角川文庫版も比較的最近に出版されたものは底本通りとしているそうです。今後もこの姿勢を貫き通してほしいですね。

さて、この『真説 金田一耕助』は私も好きな本で、文庫の初版が手元にあります。
和田誠氏のイラストも相まって、横溝正史氏の人柄に触れ、ほのぼのとした気分になれますね。
すでに絶版になって久しいでしょうが、再販が望まれるものではないかと思います。
それにしても、薄い本だってこともありますが、定価が180円っていうのが時代を感じるなあ・・・。

なお、変なHNですが、ネット上ではこのHNで通しておりますので、なにとぞご容赦くださいませ。
長文失礼いたしました。

★ お? さん

こちらこそ はじめまして

コメントありがとうございます。^^

>実際「金田一耕助ファイル」と題して再販されている角川文庫版は巻末に一部改変している旨が記載されています。

へぇ、私は 最初に買った本を 今でも愛読しているので 最近の再刊については知りませんでした。^^;


>こういうのは本当になんとかしてほしいものです。文学作品を何だと思っているのでしょうか。

たしかに^^;

筒井康隆が断筆宣言した気持ちが よく判ります^^

今後も よろしく御願いします。^^

初めまして、めとろんと申します。
気まぐれに「横溝正史」で検索致しましたら、当ブログにたどり着いた次第です。

もう、buta_neko様のご意見に、全面的に賛成で、思わず(酔った勢いで?)コメントさせていただきます。
「真説 金田一耕助」こそ、私を真の横溝ファンにした一書であります!昭和50年代当時、小学生だった私は、たまたまTVでおっかなびっくり観た「獄門島」(毎年夏に訪れる田舎の親戚の家の、きれいなお姉ちゃんの本棚に横溝やら、エラリイ・クイーンやらが所狭しと並べられていて、そこから興味を持ったのだと思う)から、どう見てもR指定の表紙にもめげず、同書を購入したのが出会いの最初。

そして、大変面白く読み終えたものの、何やら”あっちの世界の人”という印象で、そのままならば、その場限りの出会いだったかも知れません。でも・・・出会ってしまったのです、「真説 金田一耕助」に!

これを読んでから、正史は「ぼくの優しいおじいちゃん」であり、「読者を愛してやまない誠実な大人」であり、「探偵小説道をいつまでも突き進む、真摯な求道者」であると感じ、心底心酔したのでした。はっきり言って、もう他人とは思えません(笑)でも、それ位大好きで、和田誠氏のイラストとともに、紐解くとほんわか気持ちがあたたかくなる、そんな本です。

ぼくは、何よりもまず、「横溝正史」その人が好きなんだな~。だから、映画"Ranpo"の香川照之さんの正史には納得いかなかったです。彼らの関係は、あんなのじゃない!…と思ってしまいました。あれ、脱線しましたね。

それでは、また来ます!頑張って下さいね!

こんばんは。ブタネコさんのお導きにより、無事に「真説金田一耕介」を手に入れ、読了いたしました。

・・・面白かった。氏の実直かつ飄々としたキャラクターが垣間見れて、とてつもない贅沢をした気持ちになりました。読みながら、ホントに声を出して笑っていましたし。これは、描写力の優れた方の文章に触れない限りできない行動です^^;
持病である結核との闘病や加齢に伴う身体の変化の記述はとてもリアルで、思わず「先生、頑張って!(でも無理はしないで・・・)」と応援してしまいそうでした。
本当に、横溝先生は寛大でキュートな方ですね。あの年代の方には珍しく、奥様に対して素直に感謝の気持ちを表現していらっしゃるところも素敵です。奥様も、横溝先生を大切にしてらっしゃるなあ・・・と、ほのぼのとした気持ちになりました。

とてもいいエッセイ集です。絶版なのが惜しいくらい。横溝先生の素の様子に触れたい方は是非!(宣伝口調^^;)

★ めとろん さん

はじめまして コメントありがとうございました。^^

で、リンクを御記入して頂けておりましたので、さっそく めとろんさんのブログを拝読に伺いましたところ いやぁ、興味深い記事がいっぱい

しかも、「犬神家の一族」の英語版ですか^^

めとろんさんのブログへのコメントにも書かせて頂きましたが、早速 その英語版を取り寄せて読んでみたいと思っております。

楽しい情報をありがとうございます。

今後とも よろしく御願い申し上げます。^^


追伸、

RANPOの香川照之は 私も納得出来ませんでした^^;


★ しき さん

無事、御入手出来て良かったですね^^

私やHAZUKIさんが その本に 如何に感銘を受けたか 御理解頂けたようで それも嬉しい限りです。

今まで、いろんな人のエッセイを読みましたが、この横溝正史ほど 心が温まる人はいないと 私は感動したんです。

おかげで、今ではバイブルなんです。^^

温かいお返事ありがとうございます、めとろんです。

当ブログでは「思いつき悪魔の手毬唄考」という駄文も掲載しております。
結構前に書きましたので、山に埋もれているかと・・・横溝正史先生への愛情あふれるブタネコさまに読んで頂けたら幸いと思い、蛇足でも参上しました。
直接リンクできますので、よろしければ・・・。
すみません!

★ めとろん さん

早速、「思いつき悪魔の手毬唄考」拝読させて頂きました。

私の愚見は 後ほど、あらためて めとろんさんのブログにコメントさせて頂こうと思っております。^^

【※注意!!】

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