● 真説 金田一耕助
『真説 金田一耕助』という本について語ってみたい。
著:横溝正史 刊:毎日新聞社 初版:昭和52年11月25日
ISDN:0095-500427-7904
表紙絵:和田誠
この本は ちょうど角川書店の「横溝正史フェア」として「犬神家の一族」が映画化されて 横溝ブームが生じたおりに 毎日新聞の日曜版に全部で51回掲載されたエッセイ集である。
横溝正史ファンにとっては 横溝自身のエッセイであるがゆえに 作者本人を知る上ではバイブルとなる1冊である。
これを読むと「おどろおどろしい」作風と言われる横溝文学の作者が 実に飄々とした人物だったかが垣間見え 私は、そこにも大いに魅力を感じたものだ。^^
この画像は この本の帯で 抜粋された文章であり、この本の目次を書き出してみると
・金田一耕助恐縮す
・人気とは不可解なもの
・映画初出演の弁
・映画になった金田一耕助
・金田一耕助最後の事件1,2,3
・「犬神家の一族」の思い出
・金田一耕助、山を下る
・最高と最低
・タレント業失格
・本名と筆名
・小説と映画1,2
・勲章を貰う話
・金田一耕助の収入
・騒がしかりきこの1年
・終戦後の初正月
・私のベスト10
・一人の金田一耕助の死
・屁をかぞえる人びと
・腰砕け
・ディクソン・カー1,2
・カゼをひくの弁
・「本陣殺人事件」由来1,2
・カーの死
・バレンタイン・デーの恐怖
・Whodunitの映画化
・昭和52年4月2日
・横溝正史シリーズ
・人形佐七捕物帖1,2
・「蝶々殺人事件」縁起1,2
・三本指の男
・蝶々失踪事件
・ブームやつれ
・「獄門島」懐古1,2
・「八つ墓村」考1,2,3
・「陰獣」の試写を見る
・病院坂の首縊りの家
・怪奇探偵作家
・モウロクもまた愉し
・Yの悲劇
・悪魔が来たりて笛を吹く
・さらば金田一耕助
・あとがき
それと、文中には
『付・昭和51年8月22日~昭和52年8月20日の日記抄』
として 横溝正史の日記が挿入されている。
この本の中に記されている横溝正史の言葉は ファンにとっては実に興味深いものの宝庫。
特に、横溝正史が「推理小説」ではなく「探偵小説」に拘ったかのごとき作風の理由が汲み取れる。
海外の作品を 実に多く読破し、時には それらに挑戦する様に記された作品…など、著名な自身の作品の裏話を臆面無くさらけ出している様は 横溝氏御本人が裏表も腹蔵も無い人物だった事の表れでもある。
●『幻影城』
という記事を御参照頂けるとありがたいが、横溝は自身の手による随筆本や寄稿をした本や雑誌が 他にもいくつかあるのだが、この『真説 金田一耕助』が注目に値するのは 角川書店による大ブームの最中にあって 実に飄々と、時には他人事のようにブームの事とか、映画化された作品についてとかを御自身で語っている部分。
同時に 挿入されている日記抄のに その頃の事件や時事話題がメモされているのだが、
・「ミグ25亡命事件」
・「太平洋x近鉄」
など、その時代を過ごした者としては 懐かしい名前を見つけるし、ちょうど「病院坂の首縊りの家」が「野生時代」に連載されている頃で 横溝氏が如何に悪先苦闘しながら出筆されておられたのか?が 拝察され、舞台裏を垣間見れる喜びも抱いた本だからだ。
同好の士でおられる『葉月亭』のHAZUKIさんも よく、横溝を述べる時に この本を引用されておられるが、その気持ちが 私には充分に理解出来る。
だって、いろんな作家の随筆や日記を読んだけど この本の横溝正史御本人ほど謙虚で真摯に述べられた書は他に無い。
もうね、これだけでも「横溝ファン」を充分に堪能できる一冊だからだ。
最近、ありがたい事に Google等の検索で「横溝正史」や「犬神家の一族」というキーワードで このブログに御来訪頂く方が多いのだが、そんな中の数人から、
「横溝正史御本人を知るのに 良い本はありますか?」
という御質問を数回頂戴し 私は その都度、この本を御推薦申し上げている。
もし、アナタが横溝ファンであり、この本を未見なのであれば 是が非でも読むべきと強くお奨めする次第だ。^^


