● 金田一耕助と役者魂
かねがね 私は横溝正史、金田一耕助の熱狂的なファンだ…と申し上げている。
たまたま、数日前にTVで見かけた映像に つい、思った事があり ちょっと思いのままを述べてみたいと思う。
まずは この表紙絵を御覧頂きたい。^^
角川文庫『金田一耕助の冒険』1976年発行初版
往年の横溝ファンが揃って認める「杉本一文」氏の表紙絵
そう、これが横溝正史が記述した金田一耕助のイメージなのである。
この顔が ハマっているか否かはともかく 記述から考えれば 着物、もじゃもじゃ頭、際だった美男子とか 見るからに知的な容貌というものでは無く、個人的に思うには 横溝正史の親友であり、ライバルでもあった江戸川乱歩が描いた ハンサムで知的でスーツを着こなす明智小五郎と 実に対照的な姿、それが金田一耕助のはずだった。
ところが、日本映画のバカタレどもは

1975年「本陣殺人事件」中尾彬
という風に それまで、金田一シリーズを原作に用いて制作した映画の金田一は いたって洋風な格好だった。
これは 私のあくまでも勝手な憶測・妄想なんだけど…
当時の角川文庫の横溝正史の表紙絵を描いていた杉本一史は 氏自身が相当、金田一シリーズの愛読者だと 私は思い込んでいる。
●参考記事『横溝小説の表紙絵』
で、そんな杉本氏が1976年に描いた『金田一耕助の冒険』の表紙絵は
「金田一耕助は こういう姿の筈だ」
そんな気合いを勝手に感じてしまうんだなぁ…
だからなのか偶然なのか、それ以降…

石坂浩二「病院坂の首縊りの家」より
西田敏行「悪魔が来たりて笛を吹く」より

鹿賀丈史「悪霊島」より

豊川悦司「八つ墓村」より
稲垣吾郎「女王蜂」より
石坂浩二版「犬神家の一族」以降 金田一耕助は 本来の姿で描かれる様になった。
私の知る限り、唯一の例外は

1977年「八つ墓村」渥美清
いかに野村芳太郎が大監督であろうとも、そして 渥美清が大好きな役者であろうとも、こればかりは看過するわけにはいかないのが、判っていただけると思う。
さて、先日『「犬神家の一族」30年ぶりリメーク』という記事で述べた様に 久しぶりに市川版横溝映画が観れるのは嬉しい限りなのだが…
数日前に とある番組で久しぶりに石坂浩二を見ると
明らかに 金田一耕助の役作りのために伸ばしているとしか思えない頭髪…
私は そこにひとつの役者間魂を垣間見た思いがした。
つい数年前に

(「白い巨塔」より )
こんな姿を見せていた役者が、時間をかけて、役作りをする
天下の石坂浩二をして、そうさせてしまう…
そうなんだよ、横溝正史の金田一耕助は それぐらいやって貰わなきゃ困る…というのはファン心理。^^;
それにもまして、嬉々として そんな姿を自然に見せる石坂浩二という役者に 私は自然と頭が下がる。
「金田一耕助を大事にしてくれて ありがとう」と。
