● カムバックには遅くない
「カムバックには遅くない」著:喜多嶋隆 を語ってみる。
喜多嶋隆のCFギャング・シリーズの1冊である。
私は 個人的に、この本がシリーズの中で最高傑作だと個人的に思っている。
その理由は あくまでも私の個人的嗜好が理由。
私が学生の頃、自家用車の数は少なくは無かったが、学生が自分の車を乗り回す…と言うのは けっして一般的では無く、父親の車を頼み込んで貸して貰う…というのが一般的だった。
で、高度経済成長と言われた時期を経て 暮らしに少しづつゆとりを持てる様になった頃でもあり、そんな時に「箱スカ」と呼ばれるスカイラインがポルシェに勝ったレースは その頃の若者達を感動させたものだ。
「箱スカ」そして GT-Rと言えば 私の世代の連中には憧れの車だった。
もし、社会人になって 金銭的に余裕が出来たら… 買う車は「スカイライン」
そう心に決めていた若者は多く、私も その一人だったのだ。
その後、消費文化が変な方向へと加速し 次々と車はモデルチェンジされ、訳の判らない兄弟車(マーク2、クレスタ、チェイサーの様に)など 車種がどんどん増え、今日に至る中で いろんな車に乗ったけど、自分で買って自分で運転した車の中で どの車が一番、お気に入りですか?と聞かれたら 私は迷わず スカイラインの「ジャパン」 それもツードアのハードトップと応える。
それぐらい、スカイラインという車への愛着は強かった。
カルロス・ゴーンの経営手腕は認めるが 所詮は外国人で日本の魂が判っていない。
それ以上に 日産という自動車会社には信念というか 確固たるポリシーが いつの間にか無くなってしまったんだな…
私は いつしか、今の新車と言われて世に出てくる国産車を眺めていて そのデザインに辟易した気持ちが拭い去れない。
たとえば、フラッグシップカー等と銘打って 高級車として、いろんな装備を積んでいるのもいいけれど どことなくベンツやBMWのパクリですか?と聞きたくなるシルエットは どういう事なのだろう?
フルモデルチェンジに対して マイナーチェンジ等と言う小賢しい真似を行い、せっかくの新車も アッという間にモデルダウンさせるのは どういう事だ?
愛着の篭もった車を 10年以上乗り回すには 故障も事故も無いのに新車以上の経費がかかるのは何故だ?
次々と新しい車に乗り換えさせて それによって消費を促進し、経済が順調に回っている様に見せかけなきゃならんのは何故だ?
落ち着いて考えたら 実におかしな、くだらない話ばかりなのである。
でね、思うんだけど 昔の名車と呼ばれたモデルを現代の技術を使って 内部的にはモデルチェンジを施してるけど外見は 昔の名車のまま… そういう一種のリストア・モデルを どこの自動車会社も出さないのは何故なんだろう?
数モデル前で 永年のスカイライン・オーナーから足を洗った私だが、スカイラインの「箱スカ」「ケンメリ」「ジャパン」等の現代版が出たら 私は直ぐ買うぞ。
そういう思いが強い。
さて、この「カムバックには遅くない」では ハッキリと名前は出していないが 誰が見ても「箱スカ」と判る車のリストアモデルを新発売する…という企画で広告制作が行われる…という筋立てである。
もうね、それだけで 私は涙腺が緩む。
あぁ、ここに似たような事を考えた人がいた… それだけで嬉しい。
そこへ ジャズピアニストと娘の話がからみ もう、泣かされっぱなしの一冊なのだ。
だから、個人的に「傑作」と称し「ブラボー」と叫んで スタンディングオベィションを喜多嶋隆に贈りたい。
