● 短小説「北斗星」 22
現在 3時半少し前、北斗星は青森県を出て 岩手県に入ったばかりだった。(東京までの 残り 約8時間弱)
【冒頭にあたり、管理人注記】
この物語は1話完結の様に見えて そうでは無い部分があります。
(たぶん…、きっと… あ・あるハズです。^^;)
なので、途中から読み始めた方は どうか
・第1話『短小説「北斗星」』
・前 回『短小説「北斗星」 21』
上記URLを御参考に、御一読願います。
【今日のウンチク】
前回のウンチクで述べた「座敷わらしで有名な金田一温泉」は 青森と岩手の県境近くの 岩手側にある。
この辺りの山間部は岩手県に限らず、青森、秋田、山形、宮城なども 総じて物珍しい温泉が多いところでもある。
最近は どうやら死語になったようだが、「温泉に行く」というのを「湯治に出かける」と言う表現を 私の祖父の年代の人達は普通に使っていた。
でね、この「湯治」 見て字の通り、温泉で身体を治しに行く…という意味であり、温泉地に観光に出かけるのでは無く、神経痛や痛風、リュウマチ等の持病を治すのに 温泉場でのんびり治す…という意味合いで 現代における「一泊二日」の温泉旅行で 旅館で豪勢な飯を食べ…というモノでは無い。
ともすれば、自分で食料どころか 鍋釜まで持参して 最低でも1週間、下手すると1ヶ月や2ヶ月篭もったのである。
で、この東北の山間部の温泉では その「湯治場」としての雰囲気が今でも残っているところがいくつか有り、部屋は6畳間ぐらいの一部屋で 食事は自炊… その代わり、一日の宿泊費は驚くほど安い…というシステムが現存しているところがある。
スキーやスケート等のウィンター・スポーツの選手が 土地柄もあって北海道には多く、年齢的に今では 皆、悉く引退して指導者や協会の役員をしている…という知人が私には多いのだが、かつて彼らが現役の頃 大抵の者が腰や膝などに故障を抱えていて、オフシーズンになると「湯治場」で治療を兼ねながらリハビリしていたものだ。
ところがね、北海道内にも 温泉地は多いのだが、どの温泉も明治以降 特に、昭和になって繁盛した地ばかりなので「湯治場」では無く、最初から「温泉観光地」となってしまっていて「湯治場」の雰囲気が薄い。
ゆえに、結構、この東北の湯治場でひと夏を過ごした経験のある者が多いという話なのである。
最近は スポーツ選手のリハビリ…という利用のされ方は激減したそうだが、その代わり、レポートや卒論を書かせるのが大好きな教授の薦めで 半月間、湯治場に篭もって卒論を書く…という大学生が 少しづつ増えているのだそうだ。
それを聞いて、「そうか その手があったか…」と私は酷く後悔したものだった。
ほんの一瞬だったけど 通過する際に「金田一温泉」という駅のプレートが目に入った。
ダンディの言う通り、そこは「金田一」だったのだ。
偶然と言ってしまえばそれまでだけど、ちょっと肌寒いような でも、なんか説得力を帯びた様な偶然だった。
ダンディは その後も何か話したそうにしてたけど、「とっとと寝よう」そんな気持ちが強くなり、私は トランク男に「おやすみ」を告げると 自分のコンパートメントに戻った。
さすがに午前3時を過ぎると 他のコンパートメントからは話し声が聞こえず、可愛いい寝息や、腹立たしいイビキが入り混じったサウンドを奏でている。
戻ってみると パンドラは自分の寝台のサイドカーテンを閉め切っており、寝息やイビキが聞こえない分 起きている気配も無い。
私は 自分の寝台に入ると とっとと横になり 眠りにつく前に外した腕時計は3時半ちょい過ぎを示していた。
現在 3時半ちょい過ぎ(東京までの 残り 約7時間半とちょっと)
To be continued … ( さぁ、寝ましょ^^; )


