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2006年04月06日

● 短小説「北斗星」 16


現在 0時半過ぎ、北斗星は青函トンネルに進入しようとしていた。

(東京までの 残り 約11時間弱)




【冒頭にあたり、管理人注記】


この物語は1話完結の様に見えて そうでは無い部分があります。

(たぶん…、きっと… あ・あるハズです。^^;)


なので、途中から読み始めた方は どうか


   ・第1話『短小説「北斗星」


   ・前 回『短小説「北斗星」 15


上記URLを御参考に、御一読願います。






【今日のウンチク】


画像


上の画は御覧の通り 津軽海峡の地図である。


いろんな人と話していると 津軽海峡の幅に関して随分と誤解されているようなので、今回は その辺をウンチクとして語っておこうと思う。


地図中に


(A)本州側:三厩(みんまや)村-北海道側:福島町


(B)本州側:大間町-北海道側:戸井町


と 2本の赤線を記入してみた。


これは 津軽海峡における、北海道と本州の最も接近している地点で どちらも、距離は大きく違わず、ほぼ20kmである。


つまり、約5時間歩けば渡れる距離、オリンピックのマラソン選手なら 2時間ちょっとで往復する距離なのである。^^;


青函トンネルは 当初(B)のルートで建設される計画だったのだが、水深や地質の調査結果により(B)よりも(A)のルート方が いくつかの点で勝ると判断された。


実際のトンネルは最短部を通っているのでは無く、(A)の赤線よりも若干右寄りに建設されトンネルの海底部は約23kmの長さとなっている。







車掌室に行ってみると、年配の車掌が難しそうな顔をしていて私を待っていた。


私が「どうしました?」と声をかけると


「あぁ、御足労を願って申し訳ありません…」


と、丁寧に詫び 私に椅子を勧めた。


「実はですねぇ…

 先程の”子供”の件なんですが…

 すいませんが、もう一度 詳しく、

 どんな子供だったかを教えて下さいませんか?」


言葉は丁寧なのだが、どこか緊迫感の漂う年配の車掌…


まるで、事件の目撃者が供述を迫られる様な錯覚に陥りながら、私は記憶を辿り 思い出すがままを述べていく


「歳から言えば、小学校の5・6年生ぐらいで…

 10歳ちょっとって感じで、あれは中学生では無いですね…

 服装は さっきも言ったように

 上はネル生地っぽい開襟シャツで赤と緑のチェック柄で ズボンはジーンズ

 薄汚れた感じは全く無く、小ざっぱりとしていて栄養状態も悪く無さそう…

 ちょっと肉付きが良い感じだったけど、デブでは無い

 子供にしては”骨太”って感じかな…

 背は目立つほど高すぎず、気持ち ちょっと低めかな…

 銀縁眼鏡をかけていて 一見、理屈っぽそうな顔…」


そんな私の言うことを 細かくメモをしながら


「そうですか…」


と、車掌。


「何か、あったんですか?」


と、聞くと


「いやぁ…

 実は 先日から いろんな列車に不思議な子供が現れてるんです。」


 と、話し出す車掌


「最初は半月ほど前だったんです。

 青森と大阪の間を走っている「日本海」という寝台車で

 子供がね… 一人で乗っていたんです。


 乗り合わせた あるお客さんが、その子供と話していて

 寝台券を持ってなくて 普通の300円ぐらいの切符だけ持っていたそうで…


 で、その列車の車掌のところに 子供を連れてきたんです。


 事情を聞くと 子供が言うには…

 祖父が突然、事故に遭って危篤になったしまったので

 どうしても、直ぐに会いに行きたい…

 要約すればそういう話だったそうです。


 で、本来は 最寄りの駅の鉄道公安官に連絡して…

 というのが手順なんですけど その時の車掌は黙って見逃したんです。」


「良い話ですねぇ…」と私。


「ところがね、その時に同乗していた別の若い車掌が

 その話を美談だと思って 我々、車掌が乗車前に待機している部屋で

 その話を喋っちゃったんです。」


「ほぅ、すると その車掌さんが問題になった?」


「いえ、違うんです。

 ”え? 実は俺も…”とか”この前 ~で…”って

 いろんな所の車両で同じ様な事が起きてるのが判ったんです。」


「え? と言う事は キセル(無賃乗車)って事?」


「いや、それが…

 単純に そうとも言い切れないんです。」


「と言うと?」


「いくつかのケースでは 忽然と その子供が消えてしまっているんです…

 こう言うとね、非科学的な話しになってしまうんですけどね…

 例えば、あるケースでは 空いている座席を子供に使わせて

 終着駅である上野まで行き、そのままだと子供は切符を持ってませんから

 車掌が同行して改札を通してやろうと思ったんですね

 ところが、座席に行ってみたら子供がいない…

 車両内を探しても もちろんいない…

 終着駅の一つ前の駅である「大宮」を過ぎた時に

 その子供が乗っているのを確認してますから

 いない筈が無いのに、でも、いない…」


「って事は オバケ?」


「何人もが その子供と話してるんですよ?

 そんなオバケって います?」


「う~ん」


「で、いろんな車両で現れた それぞれの子供には共通点がありまして…

 小学校の高学年ぐらいの年頃の男の子、銀縁眼鏡をかけていて、小太り…

 まさかとは思うんですけど、とうとう 私の乗務してる車両に現れたか…

 そんな気分なんですね、いや、複雑ですよ…」


「と言う事は、もし 仮に、それが同じ子供の仕業とすると

 その子供は 日本国内、いろんな路線に出没してるんですか?」


「そうなりますね、東京-熊本間を走ってる「はやぶさ」や

 東京-出雲間の「出雲」にも同様の話があったそうですから…」


「それって寝台列車のみ?」


「新幹線や、在来の特急までは正直言って判りません。

 今はJRも分割されてますし、それでも寝台の車掌同士…

 と言う事では横の繋がりはありますけど、他の車種ではね…」


「へぇ… 少なくとも さっき、私が喋った子供は

 頭は良さそうだったけど 悪賢い…って感じではありませんでしたねぇ…」


「これから、もう一度 全車両を見まわしてみようと思ってはいるんですけど…」


「そうですか…」


「実は、青函トンネルを抜けて青森側に出たら

 そこで、乗務員(車掌)が交代するんです。


 私は そこで、本州側(JR東日本)の乗務員と引き継いで

 この車両を降りるものですから このままだと心残りなんですよねぇ…」


「なんとなく、お気持ちはお察ししますよ」


「交代者には この件も引き継ぎますので

 もし、また見かけたら 直ぐに教えて下さいね」


「判りました」


私は車掌室を後にして 自席のコンパートメントに戻ろうとした。


しかし… 自席のコンパートメントに戻るには

あのロビー・カーを再び通り抜けねばならないのだ…


それが、非常に 気が重かった。




現在 1時ちょっと前 北斗星は青函トンネルに進入し吉岡海底駅を通過したばかりだった。(東京までの 残り 約10時間半)



      To be continued …  

( オバケ? キセルか? … )


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