« 短小説「北斗星」 8 | TOPページへ | 短小説「北斗星」 10 »

2006年04月02日

● 短小説「北斗星」 9


22時08分 定刻通り、北斗星4号は長万部駅を出発した。

(東京までの 残り時間 約13時間ちょい)




【冒頭にあたり、管理人注記】


この物語は1話完結の様に見えて そうでは無い部分があります。

(たぶん…、きっと… あ・あるハズです。^^;)


なので、途中から読み始めた方は どうか


   ・第1話『短小説「北斗星」


   ・前 回『短小説「北斗星」 8


上記URLを御参考に、御一読願います。






【今日のウンチク】


北海道と言えば、「カニ」を連想される方は多いと思う。


で、貴方は「カニ」と言えば「毛蟹」「タラバ」「ズワイ」「花咲」 この北海道で代表的な4種類の どのカニを連想しますか?


というか、どのカニを食べるのが好きですか? と聞いた方が選びやすいかもしれないね。^^;


さて、ここで「花咲カニ」というのを挙げたが


画像


実は、このカニは本州方面の人には知名度が薄いらしい。

関東圏に居住していた頃、他のカニに比べて「え? 何、それ?」と聞かれる事がしょっちゅうだったのだ。

このカニは タラバガニと同系のカニで タラバより小型だが、味は濃いと言われおり、根室や釧路の住人には「カニと言えば花咲だ」と花咲ガニ好きが多い。

いろんなカニで作った鉄砲汁を食べ比べてみたが、鉄砲汁はこのカニで作った物が一番美味しいと私は思う。

嘘か真かは定かでないが、このカニの甲羅からも良い出汁が出るのが その理由との事である。

ちなみに名前の「花咲」とは 昔、根室半島の事を花咲半島と呼んでいた時代に、その周辺で収穫されていた事による。




画像


次に「タラバカニ」について触れておくと 本州方面では これを好きだ…という人が多く、その理由は脚が太く大きいので食べ応えがある…という理由らしい。

たしかに、その意見も頷けなくも無いが、面白い物で 北海道では本州人ほどタラバの人気は高くない。

それは後述するが、道産子の場合のカニに対する嗜好と 本州人の嗜好とでは大きく異なる事があるからだ。


で、この「タラバカニ」 数年前に一般的にネタバレして問題となったのだが、


画像


「アブラカニ」というソックリさんがある。

率直に言って、アブラとタラバの味の違いをハッキリ感じ取れるのは 獲れたてを直ぐ茹でた物を食べ比べて(もちろん刺身も含む)初めて明確に出来るだけと言って良いと私は思う。

足を炭焼きにしたり、鍋物にしたり等、料理(加工)して食べるのなら判らないよ違いなんて^^ しかしながら、タラバを本タラバと呼び、アブラカニとはブランド分けして アブラはタラバに対して相場的に25%~30%値段が安い。


さて、上記した「花咲」「タラバ」「アブラ」は 一般的には「カニ」と呼んでるけど学術的には「ヤドカリ」である。


しかしながら、近年 生物学者の間では この区分けを見直そうとする動きもあるらしいが、カニとヤドカリを区分けする根拠は 学術的に存在している以上、現時点ではウンチクとして押さえておきたい。^^


画像


次に「ズワイカニ」に触れておく。

このカニは 北陸で獲れるのを「越前カニ」 山陰で獲れるのを「松葉カニ」と呼ぶ…と、ウンチクを語る人がいるが それは間違いでは無いが100点満点中60点ぐらいの解答で、どうせウンチクを語るなら…

ズワイカニには「オピリオ種」「バルダイ種」等 系統種があり、越前、松葉は「オピリオ種」で 道産の殆どは「バルダイ種」 だから、微妙に大きさや味が違う。

特に「松葉カニ」は基本的に雄だけを指し、雌は「親ガニ」と呼んだり、境港の松葉カニは、ブランド扱いで「夕張メロン」や「魚沼産こしひかり」の様に特別扱いされる傾向がある。


画像


で、「毛蟹」だが…

毛蟹は 概ね6月~8月にかけて脱皮し、産卵をする。

産卵直後のカニは甲羅が薄く、いわゆる「ミソ」と呼ばれる部分が無かったり薄かったりするし、身も痩せてしまって5月のカニと7月のカニでは 全く別物となってしまう。

にも関わらず、真夏の北海道に旅行で来て「獲れたてのカニ最高!!」等と言うのは 可哀相としか言えないので よく覚えておいた方が良い。

最近は冷凍技術の発達のおかげで 獲って直ぐ急速冷凍して… それを夏場に食べる…という手段もあるが 「ミソ」は冷凍してしまうと 風味がおちる。

なので、毛蟹のミソの最高なのを食べたければ 4~5月と思った方が良いが、各漁場により禁漁期間の設定が様々に異なるため 行く場所によってあらかじめ調べる事を奨めておく。

たとえば、昔は長万部を中心とした噴火湾産の毛蟹…と言えば美味いので有名だったが、近年は獲り過ぎによる漁獲量減少のため 2月~6月が禁漁となっている。

しかしながら、6月に解禁だ~と 喜んで行っても、脱皮明けの最低ガニなわけで 直ぐ行けば良いってもんじゃない。^^;




さて、道産子の場合のカニに対する嗜好と 本州人の嗜好とでは大きく異なる…と述べたが、その辺について触れておく。


つまり、本州人に対しては「どのカニが好きですか?」という聞き方になるが、道産子の場合「カニの何処の身が好きですか?」と聞かないと 話が成立しない…という違いである。


要するに 大別するとカニには 足、頭(甲羅の中)、爪(ハサミの部分)、ミソ…という風に4箇所の味がある。

ちなみに私は頭の肉が好きなので、好んで食べるのは「毛蟹」か「ズワイ」 足が好きな人でも「毛蟹の足」と「タラバの足」と「ズワイの足」という風に好みは それぞれ違う。

中には「ハサミは 必ず俺にくれ、その代わり、他の部分はいらない」とまで言う「ハサミ好き」も存在する。^^


また、仕方が無いと言えば それまでだが、カニは獲ってから食べるまでの間、時間を置けば置くほど身が痩せて味が落ちる。

活きたままのカニを放置しておくと泡を吹くが 泡を吹いてるカニはそれだけ身が痩せている…と見る魚市場の仲買人も多い。

また、「この店は生け簀で ちゃんと活かして保存してますから…」という料理屋も多いが、基本的にカニは水深の深い海底で生息しており、当然、高い水圧下であり、生け簀の海水とも濃度が必ずしも一致しない。

ゆえに、生け簀にいるからといって それが新鮮なのか?と言えるほど 身は痩せてしまっているのが実状なのだ。

だから、産地直送を「お取り寄せ」する場合は 出来るだけ鮮度の良いうちに浜茹でしたものを完全冷凍ではなく、クール便で取り寄せて 届いたら即、食べる…という姿勢にすべきであり、冷凍を取り寄せて二度茹でとか 蒸して…というのは購入価格に対しての味わい方としては あまり、誉められる話では無い。

尚、活きてないカニは 冷凍で無ければ、冷蔵庫内であっても(常温ならもっと) わりと短時間で腐る。

しかも、カニによる食中毒は非常に危険なので「冷蔵庫に置いといて後で食べよ」という真似は絶対に止めるべき。

取り寄せたら直ぐ食べる… さもなくば風味が落ちるのを覚悟して 完全に冷凍して保存にする… その、いずれかを とるべきだ。


ちなみに、今まで 私が食べた中では、カニ漁師が漁場でカニ篭を上げて獲ったばかりのカニを 港に帰ってくる最中に 船の上で海水を煮立てた大釜で茹でたもの。


知り合いの漁師に頼んで 友人達が年に2回ほどお金を出し合い、それを行うのだが これが一番美味い。







小学生の頃、友達と「早口言葉を どれだけ早く言えるか」という競争に興じた時、


「バス、ガス爆発」


と言う言葉を 出来るだけ早く3回言うのにトチって「ブス、バス爆発」と言ってしまい、女の子達から顰蹙をかった苦い思い出が私にはある。


北斗星のコンパートメント内で パンドラのスカしっ屁をくらった私は ふと、それを思い出した。

( 実に、イタイ過去だ(ToT))


もしかしたら、その時の私は 断末魔に喘いで過去を走馬燈の様に見てしまったのかもしれない。


普通だったら、苦笑のひとつでも浮かべて その場を笑って済ませるのだが、その時の臭気と言ったらアンタ… 文章で表現するなら凄かったとしか言えないのが口惜しい。


私は貴重品やタバコの入ったセカンドバッグと 読みかけの本を持って、コンパートメントを出て、一目散にロビー・カーに逃げた。


ロビー・カーと言うのは 食堂車のような作りで 4人掛けのソファなどがいくつかあり、


(イメージ画像です。 ちなみに、この画は現在の北斗星のロビーカーです。)


自動販売機などもあって まぁ、寝台車の旅をゴージャス(死語ですか?)に満喫できる場所でもある。


夕暮れ時などだったら、さぞ、良い景色を眺められるのだろうけど その時は、もう既に22時を過ぎた真夜中である。


車内はトンネルの中を走っているのと景色は変わらない。


私は自動販売機でコーヒーを買い 誰もいないロビー・カーの中の もっとも手頃なソファに腰を下ろして読書に勤しむ事にした。


さて… 札幌を17時12分に発車する北斗星2号の場合、長万部を出た後「八雲」と「森」に停車して「函館」に至るのだが、北斗星4号の場合は その二つの駅を通過して「函館」に至る。


従って、これまでは ほぼ30分に1箇所の割合で駅に停車してきたが、例えば 長万部から次の函館までは1時間40分ノン・ストップとなる。


特に、この北斗星4号の場合は北海道内の駅では乗る人ばかりで 降りる人は殆どいないが、大抵の乗客は普通の「特急」と違って大きなキャスター付のトランクを引きずるなど、大荷物の人が多いので 駅に停まるたびに、案外と騒がしいのだ。


だから、実際には この長万部駅の前後で早い人だと眠りにつきはじめ 逆に、それまでは寝ようとしても なかなか寝付けなかったりする。


なので、長万部を過ぎると


「これより先は お休み(寝る)のお客様が多いので、

 しばらくの間(朝になるまで)、車内放送は致しません。

 従いまして、下車駅の到着時間を寝過ごしになられませんよう

 お気をつけください…」


なんて車内放送が流れ、車内の雰囲気はガラリと変わる。


列車に揺られながら 缶コーヒーを片手に小説を読んで過ごす。


もちろん、この日のために札幌駅の本屋で買い求めたのはアガサクリスティの「オリエント急行殺人事件」(前に読んだ事あるのに^^;) けっして、西村京太郎の「寝台特急「北斗星」(ロイヤル・トレイン)殺人事件」では無い。

(だって、西村だと2時間で事件が終わっちゃうんだもん)


ところが、本を読み始めて数分もしないうちに ふと、気配を感じて横を見ると さっき、パンドラと仲良く話していた子供が ロビーの一角にいるのが目に入った。


「おい、少年 眠れないのか?」


私は声をかけた。


少年は わたしの方を見ると「コクン」と頷いた。


パンドラの話しによれば この少年も一人旅だったはず。


「なぁ、缶ジュースぐらいなら奢ってやるから こっちにきてお喋りでもしないか?」


さらに私は 声をかけた。


私は娘と娘同様の姪の二人と共に生活をしている。

(もちろん、嫁もいる)


が、私には息子がいないから 「娘の父」という感覚はあっても「息子の父」という感覚が欠けていると自覚する。


なので、友人の息子達と私が接する姿を 嫁や友人達が なんか「オマエ、変だ」と評す。


私は 息子を育てた経験が無い代わりに、自分が育った子供の時の記憶がある。


だから、小学校の高学年ぐらいの時に 大人達から「オマエは子供なんだから…」と言われるのが 時々、理不尽に感じ反発する気持ちがあったので、それぐらいの年齢以上の子供は大人同様に扱おうと思っている。


なので、出来るだけ見下すのでは無く 対等の喋りを心がけるのだが…


少年は 私の傍に歩み寄ると横のソファに座った。


なので、私は 自動販売機に行き


「オレンジ・ジュース、缶コーヒー、コーラ どれがいい?」


と聞くと


「缶コーヒー」


と、少年は応えた。


「なんだよ、コーヒーなんか飲んだら 尚、眠れなくなるぞ」


ガコンと音を立てて出てきた缶を取り出して 少年に渡しながら 茶化して言うと


「だって、飲んだ事無いんだもん。 飲んでみたかったんだ」


そうか… 少し、大人ぶって 背伸びしてみたいのか…


勝手にそう解釈した私は なんか微笑ましく思った。


そりゃそうだ、今のガキは知らないが、私が この少年の歳ぐらいの時には 夏休みに一人で特急に乗って4時間離れた 母方の実家に行ったのが「大冒険」だったのだ。


それを この少年は4倍の16時間揺られて 津軽海峡をすら越えようとしているのだから、「大冒険」どころか チョー冒険、いや、マジ冒険…


少年は 缶コーヒーを開けて クピッと飲み、


「へぇ~ けっこう甘いんだね」


なんて言い、また クピッと飲んだ。


「なんだ、オマエ ちゃんと喋れるんじゃねぇか…

 この野郎、さっきは 俺を無視してたろ」


笑いながら私が言うと


「だって、オバァチャンが 女の人には御世辞を言え…って」


「成る程、そりゃ、良い作戦だな

 で? 東京まで親父の見舞いに行くんだって?」


「うん」


「そっか… なかなか感心だなぁ… 良い息子だな」


「オジサンも 東京に行くの?」


「そうだよ」


「なんで、飛行機じゃなくて寝台車に乗ったの?」


「別に 急いで行く必要は無いし、寝台車に乗る理由があったからさ」


「どういう理由?」


「この寝台車の中で 乗客だけが買えるキーホルダーってのが売っててな

 それを買うために乗った…ってのが一番の理由だな」


「え? そんな理由なの?」


「そう、たかが、それだけの理由」


「暇なんだね、というか、物好きなんだね」


「そうだな、物好きだよな…

 でもな、たとえば…だよ

 札幌のオジサン(私)の家から東京まで飛行機で行くとすると…

 家から車に乗って千歳空港に行って、飛行機に乗って、羽田から

 目的地に移動するのに全部で最低でも4時間、

 それぞれでゆとりを持つためには5・6時間は必要なんだな


 で、都内に昼までに行きたい…とすると 千歳を8時~9時ぐらいに

 離陸する飛行機に乗らなきゃならないから

 家を6~7時には出なきゃならない…

 その為には 5時には早起きしなきゃならない…


 オジサンは この早起き…ってのが実に苦手でさ

 寝ないで起きてろ…って言われたら全然平気で5時迄起きてるんだけど、

 その代わり、スゲェ疲れるんだよな

 だから、早起きしないで済む方法…って考えると

 飛行機なら前の日のに乗って 東京で一泊すれば…って事になるんだけど

 それだとホテル代なんかが余計にかかる。


 でも、ここで 物は考えようなんだけど、この寝台車は 黙ってても

 明日の11時過ぎには上野に着く… 

 ホテル代はかからない上に、飛行機には無い「旅」が味わえる…


 どうだ? 素敵だろ? この考え… って、アレ?」


気づくと いつの間にか少年がいなくなっていた。(ToT)


たった一人 ロビー・カーの中で 独り語りしていた私。


実にマヌケな姿だった…




現在 22時半過ぎ(東京までの 残り 約13時間弱)



      To be continued …  ( … )


お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

 この記事への御駄賃がわりに下のバナ-のいずれかを クリックして頂けると嬉しいです。^^
 (全部、クリックしてくれると もの凄く嬉しいのは事実です。^^)

ブログランキング・にほんブログ村へ Blog Ranking 人気映画・TVBLOG blogram投票ボタン BlogPeople「自分のこと」部門にクリック BlogPeople「テレビ」部門にクリック BlogPeople「映画」部門にクリック

『短小説「北斗星」』関連の記事

コメント

カニ・・・・あまり、というかほとんどご縁がありません。
どのカニ食べてもおいしいのですが、ミソだけは、だめです。。
やはりおいしいのを食べたことがないからでしょうか。。
一度でいいので、もーいりません、てくらいカニ食べてみたいです~。

★ nov さん

カニミソが嫌い…というのは けっして珍しい話ではありません。

正直言うと 私もミソは有り難がって食べる物とは思っていないし、よく瓶詰めのものを高級品扱いで売ってますけど あんなもの美味いと思った事はありません。^^

例外的に 茹でたカニの中に まれに、凄まじいほど美味い物はたしかにありますが、その時だけです、私が食べるのは(狡いですね^^)

ホヤとかイクラもそうですが 初めて食べた時に運良く美味いのにあたるか否かで その後の嗜好が決まりやすいのは海産物の特徴かもしれません。

なので、「子供には美味い物を食べさせてやるべきだ」と申したところ 嫁はそのぶん私のオカズの質を下げやがりました((ToT))

なんだか今回はウンチクの方が長かったような(^^;。
カニを船の上で食べるお話、よだれが出そうです。TVでは見たことあります。いいですねえ。

寝台での旅、思い出します。いいですよねえ。
そう、通路側には引き出し式の簡易椅子があって灰皿があって、私もたびたびプカプかやっとりました。時々聞こえるドップラー効果の踏切音も旅情をかき立てます。

★ roadrace さん

お褒め頂き感謝です^^

これで 少なくとも あともう1話は書く勇気が湧きました(ToT)

【※注意!!】

この記事は『ブタネコのトラウマ』の倉庫に保管されている記事なのでコメントの投稿は出来ません。 2015年2月10日以降 このクソブログは『ブタネコのトラウマ・リニューアル版』に移転しましたので新規記事更新及び、過去記事へのコメントの受付もそちらで行っておりますので お手数ですが、そちらへの移動をお願い申し上げます。