● 短小説「北斗星」 7
21時25分、順調に定刻通り、北斗星4号は伊達紋別駅を出発した。
(東京までの 残り時間 約14時間弱)
【冒頭にあたり、管理人注記】
この物語は1話完結の様に見えて そうでは無い部分があります。
(たぶん…、きっと… あ・あるハズです。^^;)
なので、途中から読み始めた方は どうか
・第1話『短小説「北斗星」』
・前 回『短小説「北斗星」 6』
上記URLを御参考に、御一読願います。
【今日のウンチク】
伊達市とは その名の通り、伊達政宗縁の伊達藩の名前に由来する。
仙台伊達藩の一門、亘理領主・伊達邦成が 3000名弱の家臣や家族と共に開拓使となり拓いた街と言う事で その名前がついた街。
旧「幌別」町(市町村合併により「登別」市に編入された)という街に入植し切り拓いたのは 伊達藩の家臣・白石領主だった「片倉家」の一門であったり、北海道の胆振管内の苫小牧、登別、室蘭などの各市は 伊達藩縁の人が多い。
(江戸時代初期に 仙台伊達藩から分家して、四国に移った伊達藩縁の人も多い。^^)
ちなみに、北海道内には そういった開拓の歴史から 本州の各地と各個に縁で結ばれた街が多く、札幌南部の広島県出身者が拓いた「北広島市」などは 伊達市と並んで その代表的な例なのだ。
我が故郷札幌は あまり知られていないが、石川県関係者が開拓使に多かった事が記録に残っており、これは小樽も同じ。
この伊達という街は 道内でも雪がとても少ない地域で春の訪れが早く、この伊達か、室蘭か 日高の平取にあるゴルフ場が 道内でも早々にオープンする地域なのだ。
で、個人的に 私は伊達近辺に住む友人が少なくないが、彼らは決まって
「伊達は 北海道のハワイだから」
と、温暖な地域だって事を 殊更、強調する。
しかし、所詮は北海道なのにである。^^;
しかも、こいつ達の中に 本当のハワイに行った事のある奴は一人もおらず、如何に自分達が怖れ多いことを口走っているか判らないまま 数十年後には冥土に旅立つ予定である。
伊達紋別を過ぎると 車窓から見える景色には一段と街の灯りが減る。
ゆえに、夜汽車では
ただ、真っ暗です。 … orz
(これが”世界の車窓から”って番組だったら画面真っ暗で放送事故状態です。)
パンドラは子供と 楽しそうに会話を続けていた。
「そっか… お父さんと、お母さん 離婚しちゃったんだ…」
「ふぅん… お父さんが病気で入院しちゃったら、その御見舞に行くんだ」
「じゃぁ、君は お母さんと一緒に暮らしてるの?」
「え? お母さんは横浜に住んでるの?」
「じゃぁ、何? 君はお父さんとも、そして、お母さんとも別々に暮らしてるの?」
「そっか… お母さんの実家のおばあちゃんとこにいるんだ…」
「じゃぁ、寂しいねぇ…」
「えぇ? 寂しくないの? 強いなぁ…」
パンドラの話す声はハッキリと聞こえるのだが、子供の声はボソボソとして聞こえない。
でも、パンドラの言葉を聞けば どういう話なのかは想像がつく。
まぁ、子供でも のんべんだらりと暮らしている子もいれば、この子の様に ちょっと違った経験を重ねている子もいるのが世の中と言うモノだ。
私は二人の会話を邪魔しないように 本来の私の場所である二段ベットの上段に上がって 鞄から読みかけの文庫本を出した。
すると、通路の遠くの方で
「毎度御乗車ありがとうございます。
御手数ではございますが、乗車券と寝台券の確認をさせて頂きます」
という 車掌の検札の声が聞こえたのと
「あら、そう? うん、じゃぁ また後でね…」
というパンドラの声
ふと見ると、子供がコンパートメントから出て行き パンドラは相変わらず缶ビールを飲んでいる。
空き缶が3個転がっており、右手には また別のを持っているところをみると アッという間に4缶めか… やるな、パンドラ^^;
そこへ、スッと さっきとは違う年配の車掌が現れて、
「おくつろぎの所をスイマセン。
乗車券と寝台券を拝見させて下さい」
と言う。
私とパンドラは それぞれ自分の切符を車掌に渡すと
「ねぇ、車掌さん
このコンパートメントの残り二つの席は 上野まで空いてるんですか?」
それに対し 車掌は持っているクリップボードの書類をめくりながら、
「札幌を発車するまでの時点では空席ですね。
ただ、発車した後に 途中の駅で乗る方が買っておられる可能性はありますが…」
「そうですか… もし、空いてるのなら 席を変えて欲しいんですけど」
「え?お客様(パンドラ)が 別の席に移りたいのですか?」
「いえ、そうじゃなくて 一人で乗っている小学生の男の子と
つい、さっき仲良くなったので こっちに一緒になれないかと…」
「あぁ、成る程… その子の席は判りますか?」
「あら、ゴメンナサイ。 聞いておくのを忘れちゃった」
「今日は個室以外は わりと空席がありますので
もし、後で 本当の切符を持った方が現れた場合は
私の方で調整させて頂きますので、もし、移動させてあげたい場合は
御手数でも車掌室の方へお越し下さいますか?」
「はい、スイマセン」と パンドラ
そして、車掌は 私に
「お客様ですよね キーホルダーをお求めの方は…」
「ええ、そうです」
「先程、別の乗務員が承った御住所に配送で宜しければ
早速、手配させて頂きますが…」
「あぁ、結構です。 その方が私も助かる。^^」
「承知しました。」
私とパンドラに切符を戻すと 年配の車掌は次のコンパートメントへと移動して行った。
さて…、二人だけ残った パンドラと私。
ほんのりと赤らいだ顔のパンドラ。
さすがに缶ビールを4本飲めば 誰だって、そんな感じになるのだろう…
千歳の辺りを通過する頃のマシンガン・トークはなりを潜め、まったりと列車の揺れに身を任せ 真っ暗で何も見えない窓に視線をおくっている。
「やっぱ、旅っていいですね…」
窓ガラスの反射越しに私と目が合うと 呟くようにパンドラは そう言った。
そうなんだよパンドラ…、君は まったりと、そんなペースで喋っていると 実に絵になる良い女なんだ。
憂いが漂うというか… 軽々しく口説こうとは出来ない気高さがある。
踏切を通過する際に カンカンカンという警報音と赤色の左右の点滅が ドップラー効果を伴って窓を横切っていった。
北斗星は なかなか速いスピードで走っているのだな…
「プピーーーーーーー」
列車ならではの汽笛の音が聞こえる。
これだよ、汽車の旅はこれでこそ旅情が沸くのだ…
あれ?
何か変だぞ?
そう思った その時だ。
「プピーーーーーーー プペ 」
再び、汽笛が聞こえた。(それも 車内の方から???)
振り返ると、パンドラが
「
あ--- スッキリした。
よし、スッキリついでに トイレ行ってこよ~」
思わず、私は心の中で絶叫した
屁か? 貴様の”屁(へ)”だったのか?
> パンドラぁ … orz
軽やかにコンパートメントを出ていくパンドラ。
その動きにコンパートメント内の空気が掻き混ぜられたのか、異臭が私の臭覚を刺激した。(ToT)
やるせなさに放心状態の私の聴覚に、再び、人を小馬鹿にした様なオルゴール音が響き 間の抜けた車掌のアナウンスが聞こえる。
「後5分で 洞爺に到着です。
お降りのお客様はお忘れ物の無い様に…
洞爺には1分間の停車です」
現在 21時30分ちょい過ぎ(東京までの 残り 約13時間半と、ちょっと)
To be continued … ( 続いても 良いですか? ^^;)
