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2006年04月01日

● 短小説「北斗星」 6


21時06分、ほぼ定刻通りに 北斗星4号は東室蘭駅を出発した。

(東京までの 残り時間 約14時間ちょい)




【冒頭にあたり、管理人注記】


この物語は1話完結の様に見えて そうでは無い部分があります。

(たぶん…、きっと… あ・あるハズです。^^;)


なので、途中から読み始めた方は どうか


   ・第1話『短小説「北斗星」


   ・前 回『短小説「北斗星」 5


上記URLを御参考に、御一読願います。




「ほっきめし」を 私が食べ終え、目的のキー・ホルダーを買いに車掌室へと向かうのと、北斗星が室蘭駅を出発するのとが同時だった。


画像

(キーホルダーのイメージ画像です。 
 尚、制作された時期により 微妙にデザインが変わり、
 異なるタイプがいくつかあるようです。)


車体が加速につられて軋む中 私は通路を歩いて行ったわけだが、車掌室は そんなに遠い場所では無く、直ぐに辿り着いた私は ドアを開けっ放しの車内で発車時のドタバタの直後を一服していたのであろう 思ったよりも若い車掌に


「スイマセン 車内販売限定のキー・ホルダーが欲しいんですけど…」


と、話しかけた。


車掌は実に気さくな青年で、


「あ、キーホルダーですか? なかなか好評なんですよねぇ…

 えっと、本当は何種類かあるんですけど、今月は会社の方針で

 この1500円の北斗星のエンブレムを誂えたタイプと…

 あと、革製の特製のやつが2500円でして…」


「あれ? 革のって2500円?」


「ええ、そうなんです。  高いけど、良い革を使って高級感があるんで コッチの方が人気で…」


「あ、じゃぁ ちょっと待ってくださいね…」と私


いったん、車掌室を出て、デッキでポケットから携帯電話を取り出して 二代目の携帯に電話をした。


「あ、おれブタネコだけど…」

「お? なんだよ、この時間って事は北斗星の中から?」

「そうそう、いや、実はさ キーホルダーなんだけど、革の特製のやつって2500円なんだって、で、ホラ 1500円ぐらいって事で計算しちゃったから とりあえず、オマエから10万与って 切符代や飯…あ、諸々の経費で4万ぐらい使うから 残り6万なんだけど そうすると残金で買えるだけって事になると24個なんだけど、数、それで良いか?」


「ありゃ、困ったなぁ 32個は欲しいんだけど…」


「あ、そか判った じゃぁ、俺、立て替えとくから 立て替え分の8個は 1個辺り3000円って事で 帰ってからで良いからくれよ」


「へ? なんで500円高いの?」


「当たり前じゃやないか立て替えるんだから金利だよ」


「オマエ、そりゃいくらなんでもボッタクリだろ」


「文句、言ってんじゃ無ぇよ その代わり、

 帰ったらオマエの病院に たぶん、旅行の疲れが出た俺は たぶん…

 具合が悪くなって見て貰いに行くから それで帳尻合わせろよ」


「あ、それなら了解 いいよ」


電話を切って振り返ると 車掌室から若い車掌が


「あのぅ…」


と困った顔で言う。


「何?」


「いや、実は 車内に在庫3個しか無いんですよ

 いきなり、24個って言われましても…」


「24個じゃ無いよ 友達からは32個買って来いって言われてるし、俺は俺で3個は欲しいんから 最低35個だよ」


「いや、ですから そんなに積んで無いんですよ…」


「あぁ? 無いって言ったって 会社には在庫あるんでしょ?」


「そりゃそうですけど…」


「だったらさ、別に 今ここで35個貰っても

 俺だって荷物になるだけだから、なんだったら、

 今、ここで支払いだけして行くから、JRから俺の自宅に直送してよ」


「宜しいですか? それで」


「いいよ、その方が ある意味、こっちも助かるから」


「では、車掌長に相談して 後ほど御席の方に伺いますので 切符を拝見できますか?」


私はポケットから切符を取り出し、自宅の住所と電話番号も記載されている名刺を一枚 名刺入れから抜き出して 車掌に渡した。


車掌は座席番号をメモして後、

「今、車掌長はどこかの車両で検札してますので ちょっと時間がかかるかもしれませんが…」

それに対して

「あぁ、どうせ私も上野まで乗ってるから 何時でも良いよ」


そう言って 自分の席に戻ったのだった。




さて、自席の目の前まで歩いて来たところ…


パンドラの声が聞こえてきた。


「へぇ~ 遭難…」


つい、足を停めて(「ん? パンドラ、誰かと喋ってるのか?」)と心の中で私。


「でもさ… 非行…」


「…」


「死んだ… 良いよねぇ…」


なんだか縁起でも無い話の様だが…


コンパートメントには 私とパンドラが二人きりのはず。


誰と喋ってるんだ? > パンドラ


何気ないフリを装いコンパートメントに入ると さっきまで私が座っていた場所に見た事もない男の子が座っている。


パッと見たところ 小学生の高学年であろうか… 利発そうな顔をした子供だった。


画像

(イメージ画像です。 

 もうちょっと年上で 銀縁眼鏡をかけていると想像してください。^^;)


「あれ? 君、東室蘭から乗ってきたの?」と私。


「 … 」応えない子供。


「珍しいよね、子供一人で寝台車なんて 飛行機で行けば早いのに」とパンドラ。


「おばぁちゃんが 汽車で行けって…」とパンドラには応える子供。


「へぇ… そうなんだ… 偉いね」とパンドラ。


「夏休みの時期でもないのに 小学生が一人旅かい?」と子供に尋ねる私。


「 … 」応えない子供。

(イラッ! とくる私。 でも、我慢…)


「そういえば 買ったんですか? キーホルダー」とパンドラ


「いや、後で車掌が ここに来るんで その時に…」と私。


「君は どこまで行くの?」と 私の返辞なんか そっちのけで子供に聞くパンドラ。


「東京」と パンドラにはちゃんと応える子供。


「そっか… じゃ、仲良くしようね」とパンドラ。


「ハイ」と明るく元気良く応える子供。


「おう、じゃ、よろしくね」会話に混ざろうとする私。


「 … 」私には応えない子供。

(イラッ!イラッ! とくる私。 でも、我慢・我慢…)


「オネェさん 美人ですね」と 私を無視したまま、パンドラに言う子供。


「あら、まぁ、そう?…」その気になるパンドラ。


「君も 大人になったらいい男になりそうね」と応えるパンドラ。


(「なんだ? このアメリカ映画みたいなシチュエーションは…」)

(心の中で呟く私)


そんな私の心の叫びを慰める様に、再び、人を小馬鹿にした様なオルゴール音が響き 間の抜けた車掌のアナウンスが聞こえる。


「後5分で 伊達紋別に到着です。

 お降りのお客様はお忘れ物の無い様に…

 伊達紋別には1分間の停車です」




現在 21時20分(東京までの 残り 約14時間)



      To be continued …  ( 続けば … 良いなぁ ^^;)


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