● 女王蜂(古谷版)
古谷一行が金田一耕助を演じた78年版「女王蜂」を語ってみる。
主な出演者:
金田一耕助(古谷一行)
日和警部(長門勇)
大道寺智子(片平なぎさ)
速水欣造(神山繁)
神尾秀子(岡田茉莉子)
大道寺槇(南美江)
多門連太郎(夏夕介)など々…
この作品は全三話で 物語の半分までは非常に良く出来ている。
しかし、後半は 前半部の健闘も空しく、唾棄すべき駄作となっている。
そりゃ何故か?
今回はネタバレを どうかお許し願いたい。^^;
常々、私は 横溝作品を映像化する際に 横溝正史の記した原作のストーリーに手を加えられるのを極力、嫌だと申し上げている。
しかしながら、その映像制作者達のアレンジが それなりの説得力を持ったものであれば許容もするし評価もする。
例えば、私が個人的に高い評価をしている市川崑監督の石坂浩二版金田一の映画作品も 色々とアレンジが加えられており、中には犯人が原作とは微妙に代えられた物もある。
しかしながら、それは私としては充分に許容範囲の物であり、横溝作品の原作が醸した世界を決して破壊していないと思えたのは 脚本家の久里子亭によるところが大。
ところで、この脚本家の「久里子亭(クリスティ)」って 市川崑のペンネームだって知ってました?
で、クリスティと聞けば ミステリー好きにはピンとくるでしょ?
そう、市川崑氏も大のミステリー・ファンであり、だからこそ、他の監督達と違って原作の持つ雰囲気を大事にしてくれる訳だ。^^
例えば、ある原作を映像化する際に原作通りにしようとすると その舞台装置などに どうしても多額な予算が必要となり、その資金が捻出出来ないからと言って 予算内での映像化を図る為に 原作の設定を大きく変える…という事は 制作者側の言い分としては映像作品も商品であるから 費用対効果の原則を考えた場合に「当たり前」だと考える。
けどね、我々視聴者(観客) 特に、原作のファンとしては 予算を理由に原作をブチ壊すのなんて本末転倒、原作をグチャグチャに映像化するぐらいなら ハッキリ言って 映像化する資格なんか無い…のではないか?と思う。
でね、古谷一行が金田一耕助を演じた78年版「女王蜂」の後半部を「唾棄すべき駄作」と私がコキおろす理由はいくつもあるが ひとつだけ重要な事を申し上げると
多門連太郎が 毒入りチョコレートを食べさせられて殺されるのである
原作を愛読された方なら これがどういう意味かお判りだと思う。^^;
こんなもの許せる範疇なんかじゃ絶対に無い。(激怒)
この「女王蜂」という作品を 私は横溝の傑作のひとつだと考えているのだが、何故か この作品を映像化するのは難しいらしい。
色々と調べてみると…
1990年にテレ朝系で
『横溝正史傑作サスペンス 女王蜂』
名探偵金田一耕助が怪奇連続殺人の謎に挑む!「浴室の美女の妖しい痣と消えた婚約指輪の秘密…」美しい名門母娘が招く怪奇連続殺人!
というサブタイトルで…
金田一耕助:役所広司
等々力警部:石立鉄男
神尾 秀子:小川知子
多門連太郎:川崎麻世
大道寺智子:井森美幸
なんて配役で… 大道寺智子に井森美幸 もう、それだけで噴飯物である。
また、
1994年にはTBS系で
『金田一耕助の傑作推理(19)女王蜂』
古都に響く月琴の音色・鬼面が踊ると人が死ぬ
というサブタイトルで 古谷一行が再び金田一耕助として登場するが、伊豆の名家だったはずの大道寺家が 奈良の大財閥・大道寺家となっており…
1998年にも 今度はフジ系で
『女王蜂 近づく男は必ず死ぬ…男の命を糧に生き残る女系一族の悲劇!月琴の里で再び女王蜂と呼ばれる女が婿を選びはじめた…』
というタイトルで金田一耕助に片岡鶴太郎
他の出演者は 池上季実子、川越美和、加藤武、牧瀬里穂、細川俊之、伊集院光、二宮さよ子、筒井真理子など
この作品を私は未見なので とあるHPで「あらすじ」を見たところ…
『耕助(片岡鶴太郎)は、岡山県の旧家の女主人・琴絵(筒井真理子)の首吊り自殺の取材を依頼された。恋人が墜落死して以来、記憶をなくしていた琴絵は、突然記憶がよみがえり、墜落事件の手記を書いて出版社に送った直後、自殺したという。家には琴絵の夫・欣造(細川俊之)と娘の智子(川越美和)、琴絵の幼なじみの秀子(池上季実子)らがいた。』
岡山県で 琴絵が首吊り自殺ですか… orz
もうね、「そこまでして映像化しなくちゃ駄目なんですか?」と、泣きながら駄々をこねる他無い。(ToT)
だから、先日 フジ系で放映された 金田一耕助:稲垣吾郎 大道寺智子に栗山千明の『女王蜂(稲垣版)』は 非常に真摯な作品と もっと褒め称えなければならないのだな…と思うばかりなのである。^^;
さて、古谷一行が金田一耕助を演じた78年版「女王蜂」に話を戻す。
この作品の前半部は 非常に良い出来なのである。
「月琴島 遠景」
雰囲気も 決して悪く無い。
ヒロイン大道寺智子役の
「片平なぎさ」は 78年当時19歳で、

こんな感じでグラビアに出たり…
(注:上記画像が78年当時の物かは確認してません)
「純愛」など いくつもシングル・レコード発表するアイドル歌手だったのだが、この作品の中で 既に今日の「サスペンスの女王」の片鱗を見せている。
それは この作品のラストを御覧頂くと判る。
如何であろう、断崖絶壁の上に立つ 探偵役とヒロイン 今では立ち位置こそ違えども構図は今日のそれである。^^;
で、ふと 気になって この作品の監督は?と見れば
「富本壮吉」氏
なので、この人を調べてみたら その後、1980年~89年の10年間に50本近くの「月曜ワイド」「火曜ワイド」「土曜ワイド」などの2時間ドラマでサスペンス物を撮った人でした。^^;
だから、最後にハッキリと言っておきたい。
山村美沙とか、西村京太郎とか、内田康夫の様な連中が書いた ひと山ナンボの原作であれば 好きなだけ2時間ドラマの原作で使い捨てにすればいい。
しかし、そんなお手軽作品ばかりを撮ってるような連中に 横溝作品を弄らせるのは
100年早い!!!
