● 盗っ人たけだけしいのは小嶋だけ?
かねてより、不思議に思っている事がある。
日テレ系の番組に「行列のできる法律相談所」という法律相談なのかバラエティなのか判らない番組がある。
4人の弁護士が登場し、いろんなケ-スに関して 訴える事が「できる」「できない」を判定し、見解を述べるのだが…
4人の弁護士の見解が全員一致する事が殆ど無い。
明解であるべき法解釈が如何に入り乱れているかが顕著に現れている証拠である。
解釈が統一されていないと言う事は その法律に基づいて裁かれる結果にも反映する。
たとえば、私の友人に「もの凄く気の弱い弁護士」という 法律上はちゃんとした「弁護士」がいる。
彼に言わせれば 弁護士にも医者と同じ様に 得意な分野というものがあると言う。
例えば「労働法」が得意とか 「医事紛争」「遺産相続」「金銭貸借に纏わる案件」等々 挙げていけば様々である。
私の友人の場合、最も得意な分野は「金銭貸借に纏わる案件」で 要するに、「債権処理」に絡む差し押さえや、管財人として倒産整理や、賠償請求といった分野であるが、彼に言わせれば「個人的な趣味」として「離婚調停」を好んで引き受ける事もよくある…との事。
考えてみると 弁護士の場合も、医者と同じで「歯科」とか「眼科」とか「耳鼻科」と言う風に「商法の分野が得意」とか「労働法が専門」等があるわけだが、弁護士事務所の看板に それらを表示したものを見た事は無い。
個人的な経験で言えば 例えば簡単な遺産相続の手続きですら、一般事例すら知らず ちょっと複雑な相続になった途端、届け出の一部が抜けていたり、分割協議書の文言を間違える弁護士を何人も見たものだ。^^;
ところが、最近は「行列のできる法律相談所」みたいな番組や 昼の「みのもんたの電話相談」みたいな番組の影響を受けて 民事の相談件数が増えてるそうだが、それらに対して全部の弁護士が 即座に対応できるのか?と言うと 先に述べた「得意分野」か否かで対応が全然、違ってしまう。
極論を言えば
ある夫が 妻との離婚を相談した際に「妻が 私が”世界の中心で愛をさけぶ”に夢中になると怒るんです だから、あんな妻とは離婚したい」と言ったならば 大抵の弁護士は「そりゃ旦那さんの度が過ぎるからじゃないですか? もう少し、よく話し合った方がいいですね」と 取りあわないだろうけど、「世界の…」で壊れ、その結果、愛車を壊した経験を持つ私の友人「物凄く気の弱い弁護士」氏だと 「そりゃイカン、私が代理人となって 直ちに離婚の手続きをしましょう」みたいな事を言い出しかねなかったりする…という事でもある。(極論ですよ^^;)
で、今回 何を言いたいか…
それは「耐震強度偽装問題」の昨今の様である。
ヒューザーの小嶋氏は
「建築確認した自治体が、偽造された構造計算書を見過ごした結果、偽装物件を販売し損害を受けたとして、東京都など18の自治体に約139億円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。」
それに対して 訴えられた自治体のひとつでもある横浜市の中田宏市長は記者会見で
「盗っ人たけだけしい。裁判を起こすこと自体コペルニクス的ばか者だ」
「訴訟を闘うだけの費用ももったいない」
と語った。
第三者的に無責任な事を言わせて貰えば こういう場合、被害者の救済及び財産の保全が まず第一なんじゃないのか?と 私は思う。
要するに、
・危険な物件を購入して住んでいる住民を 早急に安全な物件に移してあげる事
・この物件を購入するにあたって結ばれた売買契約を白紙に戻してあげる事
・上記売買契約に銀行等のローン契約が付随しているならば それらの白紙をする事。
で、この場合 そういった作業に関する費用は 過失割合が確定するまでの間、国や自治体が一時的に仮払う事なんじゃないか?と思う。
にも関わらず、今現在 遅々として事態が進展しないのは 国や自治体が高見の見物を決め込むように動かず、それは上記過失割合に関しての責任の所在が明確化されてないからで、当事者の誰もが責任転嫁を図りあってっているからではあるが、現在の法制度や裁判制度などの問題、行政の存在意義の欠如などが複雑に絡み合った良い例だと思う。
例えば、被害者と加害者という見地に立った場合
瑕疵の有る物件を説明無しに購入した住人は被害者で 販売会社は詐害行為を行った加害者となる。
しかし、販売会社自身が知らないところで行われた「耐震強度偽装」なのであれば、販売会社が100%の過失割合の加害者とは言えず、構造計算を偽装した者こそ加害者となる。
けれども、販売会社と構造計算をした者が共謀して偽装したのであれば連帯責任。
販売会社であるヒューザー、構造計算をした姉歯、マンションを建てた木村建設など建設会社… この三者間で「共謀か否か?」の 責任の所在のキャッチボールが繰り広げられたわけだが…
それだけだったら、言い方は悪いけど 単純な賠償請求及び権利保全の紛争のはず。
問題を複雑化させるのは
「構造計算が正しいか否かを 一度は監督行政による確認申請を受けた」
言い方を変えれば
「偽装したデータを見抜けずに 確認申請を自治体が受理してしまった」
その為、実際に建物は建ってしまい、それを買ってしまった住人が発生した…という事実の部分の責任の所在である。
今回、小嶋氏が自治体に対して行った訴訟は まさにその部分を利用しての責任転嫁でもある。
「オマエ達(自治体)が 偽装を見抜いてれば こんな大事にはならなかったんだよ」
と言ってるのと同じ…という解釈も出来るのだ。
でね、私が まず、この問題を報じるマスコミに問いたいのは「小嶋が悪人面」とか「姉歯がヅラ」なんて事はどうでも良いの 住民救済の為に どのような事が行われているのか?という部分であって「住人達の不安はつのる一方です」なんて決まり文句で同情人面ばかりしていても 何の役にも立たないよ…と。
例えば、現状では 住人は買ってしまった物件を転売する事など出来ない。
契約を白紙に戻すにしても 詐害行為が明確になるまでは動けないし、動いたとしても結果が出るまでには相当の時間や費用がかかる。
頭金として支払ってしまった現金、ローン契約で既に支払った金銭、そういったものを取り戻すのにも 契約した相手先の対応によっては裁判が必要となるのだ。
で、販売会社に対して返還請求を行う…というのが 通例では手順だが、販売会社が倒産したら?
これも通例で言えば 販売会社倒産では、被害者の泣き寝入り…の可能性が高い。
しかしながら、今回の過失割合には偽装を見抜けなかった自治体の責任も含まれるのは自明の理である。
だとすると、最終的には 自治体側にも全体の何%かの賠償義務が生じるのは必然なのだからこそ、その責任負担を考えて 自治体こそがまず、住人救済に協力的に動くべきなのだが、「事態の推移を見てから」等と言ってるだけにも見える事が私は問題だと思うのだが、そこを指摘するマスコミは少ない。
これは「刑が確定するまでは犯罪者とか加害者とは断定されない」という道義的な考え方の 言ってみれば悪用とも言える。
問題となる建築物の周辺住人の不安を取り除くために…と称して 早期解体、もしくは補強工事…と あたかも役人然とした事だけ一生懸命やったり、言ったりしてるけど 現時点では何もしてないのと変わらない。
感情的に考えれば 小嶋氏に対して横浜市長が怒るのも理解出来なくは無いが、訴訟したのが横浜市内の物件の住人達だったら同じ態度や 同じ事が言えるのか?
第三者的に見て、ヒューザーの行った訴訟と同様の訴訟を横浜市内の物件の住人達は横浜市に対して出来ると私は思う。
その事にも もっと真摯に受け止めるべきなんじゃなかろうか?
「自治体や行政の存在意義って何ですか?」
ヒューザーや姉歯だけを追いかけ回すマスコミを含めて 私は疑問に感じてる。
で、最後に誤解を招くと嫌なので付記しておくが…
この小嶋って奴は 必死に法律や裁判制度の矛盾を悪用して逃げ回っているだけに過ぎない。
彼の「最後の切り札」は「倒産しちゃえば 全てチャラ」という様なもので この際だから逃げ回るだけ逃げ、転嫁できる責任は全て誰かにおっかぶせちゃえ…というもの以外の何物でも無い。
私は過去に 数え切れない程、債権の整理や回収を生業としてきたが その際に、逃げ回る業者の社長達と 今回の小嶋氏は言ってる事や、やってる事がまったく同じなのである。^^;
しかし、そんな真似が場合によっては通用してしまい いつの間にかウヤムヤに終わらせた強者も実際に何人か知っているし、今回のヒューザーの提訴が認められ、賠償を認める判決が出る可能性だって 実は充分にあるのだ。
何故、ウヤムヤになるのか? 私の個人的経験で言えば 行政官庁や銀行などが自身の責任回避や存在意義の欠如によるものと 法制度の矛盾を改善しようとしない行政のおかげなのである。
そこを毅然と追求するマスコミがいないものか?と思うのだが なかなか、そんな立派な記者に巡り会った事も無い。


