« トラ・トラ・トラ 追記 | TOPページへ | 氷の世界 »

2006年02月05日

● 太陽の帝国


『EMPIRE OF THE SUN』(邦題:太陽の帝国)

1987年にスピルバーグが監督として制作された作品。



画像


あらすじを簡単に述べれば 太平洋戦争開戦前、上海租界で繊維会社を営む社長の息子として裕福に育っていた少年(ジェイミー)が 開戦と同時に租界を接収した日本軍から逃れようとして、両親とはぐれ ジェイミーだけが収容所での生活を送る。

そんな少年の 戦後までの数年間の収容所暮らしの前後を通して、身体の成長というより精神の成長を描こうとした映画… って感じだろうか。^^;


この映画を私が初めて見たのは封切り時の直後なのだが、正直に言うが、初見の時は 細かい部分のいろんなところが気に障り、「つまんねぇ」と思った。


当時、スピルバーグと言えば「未知との遭遇(1977年)」「レイダース 失われた聖櫃〈アーク〉(1981年)」「グレムリン(1984年)」「バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985年)」といった感じで SFファンタジーの色合いが濃かったので、余計に期待をはぐらかされた様な思いがあったのも事実である。


その後、8・9年ぐらい前にW○W○Wだったんじゃないか?と思うけど 再見した時に、当初は「あぁ… 昔見た”つまんねぇ”やつな…」と、思いつつ そのうち、どんどん引き込まれ最後まで見て あらためてDVDを借りて来て見直す事になる。


その大きな理由は スピルバーグが1993年に公開した「シンドラーのリスト」にある。


スピルバーグに関しては巷間、色々と評され 特に「シンドラーのリスト」や「プライベート・ライアン」等 高く評価する人がいる反面、彼がユダヤ系である事から 思想的に偏っている…と、批判的に語る人も多い。


先に申し上げておくと 私は「シンドラーのリスト」は傑作であると同時に 注目すべき作品であると感じている。


それは 「シンドラーのリスト」より前の アウシュビッツ等を描いた作品のほぼ全てが「ドイツは悪」と言う前提で 特にナチス絡みは何もかもが醜悪…という表現をする。


けれども、私が知る限りだが「シンドラーのリスト」によって「ドイツの全部が悪だったんじゃない」「中には 良いドイツ人もいたんだ」という表現がなされ、しかも その表現をしたのが ユダヤ系のスピルバーグだった事に注目すべきだと思ったのだ。


後年、スピルバーグは「バンド・オブ・ブラザース」においても


「ドイツ兵とは戦争が無ければ素敵な友人になれただろう」


と、イギリスやフランスを悪し様に罵るアメリカ兵達が口にしたのを 見事に映像化してみせ ユダヤ人収容施設の側に住む街の人々と虐待とは別個のものという表現すら見せた。


これは、第三者的に見て けっして、偏った表現や思想には出来得ない表現だと私は思う。


で、そんな彼が「太陽の帝国」では 日本軍による「英米民間人の収容施設」を表現して見せているのだ。




さて、私は軍事オタクでもあり 戦争映画大好き人間でもある。


だから、「太陽の帝国」にも「なんじゃそりゃ」とツッコミたくなるシーンはけっこうある。


ジェイミーが 両親とはぐれた後、自宅に戻ってみると

画像

家の窓に明かりがあり、中には人影が…


画像

てっきり、ネグリジェ姿のママかと思ったら


画像

実は日本兵で


画像

それも一人じゃなく 大勢が次々と現れて…


画像

画像

知らない人が見たら


「日本兵が みんなでネグリジェ・パーティーしてたんですか?」


ってな解釈になるのだろうけど…


これは、思うに昔の「寝間着(ねまき))」 判りやすく言えば温泉旅館で着る「浴衣」みたいな物を 欧米人が誤解して表現したに過ぎないのだが…^^;


けどね、この「太陽の帝国」のそんな場面は 私は笑って許せるのだ。


それは、所々に日本兵が屯っているシーンにおいて


画像

画像

ちゃんとした台詞では無く、雑踏の何気ない会話の言葉が ちゃんと日本語なのである。


「ウィンド・トーカーズ」とか「シン・レッドライン」とか日米戦を題材にした映画は多いが、ハリウッド系の その手の映画は 大抵、中国系や韓国系のエキストラを使うので同じ様な場面でも ちゃんとした日本語を使っているのを見た事が無い。


けれども この「太陽の帝国」は 日本語に関して「え?」って思う場面は ほんの僅かしか無く、あってもそれは充分に許せる範疇なのである。


私は、細かい事で、どうでもいいと思われがちかもしれないが、その点を高く評価する。 

それと、後半に


画像

画像

画像


特攻隊の出撃を思わせるシーンがある。


この場所がどこか?とか 色々と地理的考証に不満を抱く方も多いと思うが、私は 外国人スタッフが制作した作品で こんなに叙情的に特攻隊の出撃風景を描いた作品を他に知らない。


これは、日本の東映や松竹や東宝の 芸術家気取りのアホ監督共達こそ 目を新にして 
よ~く観ておけと言っておきたい。




でね、私は思うのだ。


スピルバーグは確かにユダヤ系として いかにもユダヤ系らしい思想の持ち主かもしれない。


だから、「シンドラーのリスト」や「プライベート・ライアン」を観て ナチス・ドイツへの憎悪を現代にも踏襲させ… なんて嫌悪感的批評を行う人も多いけど、その手の意見に 私は完全同意出来ないのは 上述の様に 特攻隊のシーンをこの様に撮れる程の視点を持っている人物なんだと 私はスピルバーグを確認したからなのだ。


何に対しても批判的意見を述べるのは簡単な事である。


同じ様に 肯定的意見を言うのも簡単な事である。


けれども、ただ感情論的な批判や おべんちゃらの様な肯定なんぞは 意見とは呼べず、雑音よりも醜悪であると思う。


ゆえに、私は この映画を観ておいて本当に良かったと今では思う。


画像

画像

画像

画像

名のある日本人として「ガッツ石松」「山田隆夫」「伊武雅刀」の3人が 実に良く好演しているのも良かった。




画像

「風と共に去りぬ」を 見つけたので ついでに貼っておく。^^;




お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

 この記事への御駄賃がわりに下のバナ-のいずれかを クリックして頂けると嬉しいです。^^
 (全部、クリックしてくれると もの凄く嬉しいのは事実です。^^)

ブログランキング・にほんブログ村へ Blog Ranking 人気映画・TVBLOG blogram投票ボタン BlogPeople「自分のこと」部門にクリック BlogPeople「テレビ」部門にクリック BlogPeople「映画」部門にクリック

『洋画』関連の記事

コメント

戦闘機に憧れる少年が、零戦とそのパイロットに初めて遭遇するシーンが良い。
夕日をバックに、敬礼する少年に日本人パイロット3人も敬礼で返す。何故か目頭が熱い。

★ UKYOU さん

たしかに良いシーンでしたね^^

その子供が ラストでP-51を見て

「空飛ぶキャデラックだ」

と はしゃぐ姿を見て、

「このクソガキ…」

と、私は思いました^^;

【※注意!!】

この記事は『ブタネコのトラウマ』の倉庫に保管されている記事なのでコメントの投稿は出来ません。 2015年2月10日以降 このクソブログは『ブタネコのトラウマ・リニューアル版』に移転しましたので新規記事更新及び、過去記事へのコメントの受付もそちらで行っておりますので お手数ですが、そちらへの移動をお願い申し上げます。