● トラ・トラ・トラ
「トラ・トラ・トラ」という映画が私は大好きだ。
今から36年前の1970年 小学生だった私は父に連れられて映画館に行き この映画を観た時の事を昨日の事の様に覚えている。
全身に鳥肌が立つほど感動し、次々と破壊されていく真珠湾の米艦船やヒッカムやホイラー等の飛行場… その映像を目の当たりにして血潮が騒ぐ自分を感じた。
色々と言う人はいるけれど、私は「トラ・トラ・トラ」という映画は 単にハワイの米軍施設が日本軍に破壊されるシーンだけの映画だと思っている。
「宣戦布告より、攻撃が先に行われたというアンフェア」
「日本軍による真珠湾攻撃は奇襲にあらず、ルーズベルト達による陰謀である」
なんて話は私にとって 後付で知った話であって、この映画を最初に観た時には そんな歴史的背景や政治的事実など 全く知らない白紙の状態。
(だって、小学生だったんだもん^^)
なのに、私は米国施設や艦艇を破壊しまくる日本軍機の姿に感動して涙した。
そりゃ何故か?
とかく、戦争映画には女が出てきて 愛だの恋だのの話が盛り込まれ「戦争映画」と称していながら三流の「恋愛ドラマ」にしてしまうのは邦画のだらけ切った様ではあるが、36年前の この「トラ・トラ・トラ」の製作陣の半分が日本人で「舛田利雄」や「深作欣二」の名があるのを見つけて
「なんだオマエ等 やりゃあ出来るんじゃねぇか」
と思ったのも 遠い昔の話である。
一説によると、本当は日本側の監督は「黒澤明」のはずだった…という逸話もあるそうだが、私に言わせると この作品はストーリーを見るモノでは無く、魂を感じるための映画だと思っているから むしろ「黒澤」じゃなくて正解とすら思っている。
何故なら、私が学校教育では教えてくれない本当の歴史、特に 明治維新以降から今日までの近代史を 自分で知ろうと思ったキッカケのひとつが この「トラ・トラ・トラ」との出会いだったと言っても過言では無いからだ。
・何故、日本は太平洋戦争に巻き込まれたのか?
・その時の世界情勢は?
・戦後、どんな事が起き、何がどういう風に変わったのか?
・毎年、12月8日になるとアメリカ人が口にする「リメンバー・パールハーバー」
という言葉の本当の意味や背景は?
そんな事を考えるキッカケをくれたのが この「トラ・トラ・トラ」なのである。
思うに、こういうのが映画の効力でもあり、ひとつのあるべき姿なんじゃないか?とすら思う。
「歴史の中に隠された真実を映像化」
なんて大げさなキャッチを付けながら 3流メロ・ドラマに終始する戦争映画なんて意味無いのだ。
昨年(2005年)は 終戦60周年という区切り(?)の年とか称されて TV・映画 共にいろんな作品が放映(上映)されたが、どれもこれも陳腐な物ばかりで 魂を揺さぶられる様な力作は数える程も無い。
特に秋以降の作品は 個人的事情があって、まだ未見のものばかりだが、周囲から聞く評判は芳しくない物ばかりである。^^;
そんな中で「男たちの大和」という作品に 私は興味大だったのだが、残念にもまだ未見で おそらくDVD化されるまでは見る事は叶わないであろう…
で、何故「男たちの大和」に興味大なのか? その最大の理由が
この「トラ・トラ・トラ」にある。
上の画は 開戦前、戦艦「大和」が就役する前の 当時の連合艦隊旗艦である戦艦「長門」であると思われ、映画のラストでは
長門の前甲板上、主砲の横を歩く山本五十六の遠景があるが…
これらのシーンはCGでも特撮でも無い。
実物大セットなのである。
この作品の制作のために福岡県芦屋町に戦艦「長門」と航空母艦「赤城」の実物大セットが組まれ それを利用したもので…
航空母艦「赤城」の飛行甲板上で整列する乗組員と 頭上を飛ぶ飛行機
赤城の乗組員越しに見る 遠景の長門
これらのシーンは 全て「実物大」の実写なのである。
ちなみに、
上の画は映画「亡国のイージス」から取ったキャプだが、これが現在の海上自衛隊の主力艦艇だとすれば 上の「長門」と人間の大きさで比較すれば一目瞭然、いかに巨大な船だったのかが判り、後に就役する戦艦「大和」や「武蔵」は この「長門」よりも二まわり程大きかったと言われてるのを聞けば…
あくまでも、私の個人的考えなのだけれども 予算をかけて実物大、とか 当時のままの姿を復元する…というのは 映画ならではのロマンだと思う。
近年ではCGが発達し、普通じゃ見る事の出来ない映像を見る事が出来る様になったのは ある意味嬉しい事ではあるけれども、この様に戦艦などの艦上は実物大セットの迫力というのも捨てがたい魅力あるカットだと思うし、整列した乗組員が整然と並ぶ姿は壮観とさえ言える。
実際の「長門」は太平洋戦後 アメリカに接収され、ビキニ環礁での核実験の標的艦に利用され、同型艦の「陸奥」は大戦中に「原因不明の爆発」により広島県の柱島沖に没している。
まぁ、「長門」については
阿川弘之:著『軍艦長門の生涯』
という名作に詳しく いずれ、この本にも触れたいと思うのでおいておく。
私が ここで述べたいのは、かつて大海原に かくも巨大な戦艦が他国の物では無く、日本の艦船として浮かんでいた… そこに大いなるロマンを感じるという事だ。
とかく、「戦争反対」が高じて いろんな物にアレルギーのような感情を剥き出しにする輩達のおかげで 純粋に「艦船」として愛でる事すら否定され気味の時代を過ごしたせいか、私は そのロマンを声を大にして叫びたいのである。
しかも、この「トラ・トラ・トラ」は そんな長門や赤城だけでは無く、実に嬉しい映像が満載なのである。
実際に飛んでいるのは 当時の日本軍機にシルエットが似ているという理由で 当時の海軍色に塗装された「AT6テキサン」と呼ばれる米製の練習機だが、私には 充分に真珠湾攻撃に見立てた訓練飛行を行う97式艦上攻撃機に見える(ToT)
これが編隊を組んで民家の上や河口を低空で実際に飛び抜けている様は 身震いするほど感動する。
この作品での上の画のシーンより 後にも先にも艦上攻撃機による魚雷投下のリアルなシーンを私は観た事が無い。
実際に飛んでいるB-17や…
P-40や…
爆発するカタリナ飛行艇や…
もうね、何度観ても 嬉しくなる映像ばかりなわけで その上で
次々と米艦艇が爆発炎上していく様を眺めていると 何故かどんどん スッキリ爽快になっていく私がいる。
現在、小泉の言い方を用いれば
「アメリカは日本の最大で、最重要な友好関係にある同盟国で…」
という事らしいが、私は中国や韓国が大嫌いだが、それほどまででは無いけれど 米国も両手をあげて好きな国だと言う気は無い。
殊に、最近のBSE牛肉の問題における米国側の言い分や 特に来日した時の米農水長官の「交通事故…」云々の発言を耳にすると 相変わらず、どこかに我が国を小馬鹿にした考えが見え隠れし、不愉快感が増幅する。
そんな時、私は この「トラ・トラ・トラ」を観る。
そして、
リメンバ-・パ-ル・ハ-バ-!!
と、逆に叫び返してやる。
「てめぇら ナメてっと、また 奇襲してやるぞ!!」
という意味でだ。^^;
同時に、
「ニイタカヤマノボレ1208」を受信した司令官が 配下の隊員達に訓辞を行い
それを直立不動で聞いた後、
「万歳」を連呼する兵達の姿に 私は涙する。
真珠湾攻撃に従軍した艦艇の殆どは 終戦時には没している。
艦載機の搭乗員や艦艇の乗組員の大半が機体や船と共に没しているからだ。
そんなこんなで、私は この「トラ・トラ・トラ」という映画は 屈指の傑作映画だと思っているし大好きなのだ。
【追記】
タンクさんへの サービス画像です。^^
尚、この記事には
という記事がありますので ついでに御参照願います。^^;
