« ブタネコの「後遺症的妄想」その9 | TOPページへ | ブタネコの「後遺症的妄想」その10 »

2006年01月30日

● 容疑者Xの献身


東野圭吾:著『容疑者Xの献身』を読んだ。




容疑者Xの献身


平成17年下半期の第134回直木賞を受賞した作品。


冒頭にて 先に申し上げておくが、我が敬愛する「横溝正史」先生ほどではないけれど、私は東野圭吾ファンを自認し それなりに氏の著作は目を通してきたつもりである。


しかしながら、私は頑固でヘソ曲がりも自認しているから ファンだからと言って何でもかんでも「素晴らしい、素敵、ブラボー」等と 簡単には手放しで褒める事は絶対にしない。


で、今回の『容疑者Xの献身』は 正直に言って、面白い本ではあるけれど「素晴らしい」出来では無い…というのが 率直な私の感想である。


小生意気な物言いで恐縮だが 東野作品は満点が100点だとすると 平均して80から60点といった水準の作品が殆どで それは当たりはずれの多い作家が多い昨今の中では それで充分と言える程の安定度を維持している事を評価すべきと思もうけど、中には90点以上の作品が数点ある程 基本的には素晴らしい作家でありながら 総合的には このところ多作により やや下がり気味の傾向がある様に感じ残念に思っている。


まぁ、今回の直木賞候補となった他の作家と作品


   ・伊坂幸太郎  『死神の精度』

   ・荻原 浩   『あの日にドライブ』

   ・恩田 陸   『蒲公英草紙』

   ・恒川光太郎  『夜市』

   ・姫野カオルコ 『ハルカ・エイティ』


と比べれば遥かに面白い作品ではあったけど、過去に東野自身が直木賞候補となって惜しくも選に漏れた「秘密」や「片想い」等に比べれば「う~ん」と感じる出来で、だからこそ この作品だけでの受賞では無く、過去、今回も含めて6度も候補に挙がった事の総合受賞…と評される所以なのかも?と思う。


願わくば、最近の直木賞受賞者の傾向として 受賞までの作品は面白いのだが、受賞した途端、つまらない駄作ばかりを連発する様になる作家が多い事を考えると 個人的には、少々作数を減らしてでも、1冊の中味の濃さを増す方向になって欲しいものだ。


さて、おそらくネタバレにはならないだろう…という範疇で ちょっとだけ中味に触れると、設定としては湯川「ガリレオ」のシリーズの一冊で 一般的には「推理モノ」のカテゴリーなんだろうと愚考する。^^;


けど、私は基本的に「探偵小説」愛好家なんで 殺人事件が題材でトリックやアリバイ崩しの話ならなんでも「推理モノ」という最近の風潮には辟易している部分があり、この『容疑者Xの献身』も 推理モノの様で私としては ちと違う、どちらかというと心理描写をメインとした人間ドラマと捉えるわけで そういう意味ではラスト近くで「なるほどなぁ…」と思わされたぶん「面白い作品」と評価しているが 厳密に推理モノとして考えた場合 推理モノとしては稚拙と言わざるを得ず、古来より ミステリーには「密室殺人」とか、「代理犯罪」とか、いくつかの推理作家ならば一度は挑戦したいと言われる領域があり、この『容疑者Xの献身』の場合は「顔の無い死体」と呼ばれる領域に属しているかの様に見えるけど 純粋な推理小説愛好家には おそらく、簡単に そのトリックが見抜けてしまったはずである。


本来は その見抜かれた時点で「駄作」と烙印を押されるはずなのだが、この作品が「面白い」と評価されるのは 単に、東野独特の描写の巧さによる、推理小説として部分ではなく、人間ドラマとでも言うべき部分で「へぇ~ そうくるか」とラスト近くで感じさせる妙であろう。


しかしながら、私としては読後の感想として どうせなら、もう少し濃い描写が欲しかったと 少々、物足りなさを感じた次第なのだが、これは この作品に限らず、東野作品のある意味特徴でもある事で、読後「なんか物足りない…」という気分が「寂寥感」になるものは傑作、そのまま「なんだかなぁ…」という気分になってしまうのは 一部のファンから酷評を受けるハメに陥るのが違った意味で面白い。^^


で、結論的に言えば この本を1600円のハードカバーで買うのは ちと「高い」気がする。

数年後に文庫本で せいぜい高くても800円ぐらいの値段であれば わりと「買い得感」を得られるんじゃないか? そう思った次第だ。



お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

 この記事への御駄賃がわりに下のバナ-のいずれかを クリックして頂けると嬉しいです。^^
 (全部、クリックしてくれると もの凄く嬉しいのは事実です。^^)

ブログランキング・にほんブログ村へ Blog Ranking 人気映画・TVBLOG blogram投票ボタン BlogPeople「自分のこと」部門にクリック BlogPeople「テレビ」部門にクリック BlogPeople「映画」部門にクリック

『東野圭吾』関連の記事

コメント

私も昨年、読みました。
「白夜行」が話題になっていたせいか、「白夜行」シリーズ(私の勝手な分類です)の一つという感じがしました。
個人的には、残念ながら
「白夜行」>「幻夜」>「容疑者Xの献身」
という感想です。
後から出たものの方が弱い・・・気がします。
TVドラマにするのなら、「容疑者Xの献身」の方が向いているかもしれないですね。

★ 白い夜行 さん

2時間ドラマとしては 作りやすそうな気がするけど、個人的には たいして面白くもない番組で終わる予感が大です。^^;

【※注意!!】

この記事は『ブタネコのトラウマ』の倉庫に保管されている記事なのでコメントの投稿は出来ません。 2015年2月10日以降 このクソブログは『ブタネコのトラウマ・リニューアル版』に移転しましたので新規記事更新及び、過去記事へのコメントの受付もそちらで行っておりますので お手数ですが、そちらへの移動をお願い申し上げます。