● 片想い
東野圭吾:著「片想い」について語ってみる。
先日、『東野圭吾が直木賞』という記事の中で ほんの少しだが「片想い」について触れ、その中で
3回目は 平成13年上半期で 候補作は「片想い」で その時の受賞作は 藤田宜永『愛の領分』、私は ここで東野圭吾が受賞していてもおかしくないと思っている。
「片想い」という本は 東野圭吾の作品の中でも 私は個人的に特にお気に入りの作品であり、この時の他の候補作は受賞作も含めて 全然面白いモノが無かったからだ。
と述べた。
ジャンル別で分類すると 東野圭吾は「推理作家」だとする向きがある。
確かに、東野作品の中には正統な「推理小説」が何冊もあるから それは決して、間違いでは無いと思う。
けれども、では、東野作品は全て推理小説か?と言えば、そうでは無い。
実を言うと、私が東野圭吾の小説が好きな理由の主は
「推理小説ではあるのだが、青春小説でもある…」
そういう作風の作品が とても気に入ってるからであり、「謎解き」というものが 犯人が捕まらない為に施したトリックを解明する…という本来の推理小説としての趣だけではなく 謎が解明されていくのと同時に 友情や人間関係が様々に変化していく… その様の描写がツボにはまるのである。
『東野圭吾』
という、やはり以前に記した記事の中でも述べたが 私は私にとっての東野圭吾のベストは「放課後」や「卒業――雪月花殺人ゲーム」の様に「学園推理物」「青春推理」と分類される作品群で 今回の「片想い」も そのカテゴリーに含まれると感じ、同様に面白い作品だと感じている。
ただ、この「片想い」に関して 内容に少し触れると この作品のベースには「性同一性障害」がある。
この事に関して読む側に 偏見や、興味本位や、無関心の度が酷いと 純粋に作品を理解出来ず 単なるつまらない作品と感じる人も多かろう。
実際に、そういう事で悩んでいる人にとっては こういう小説の描き方は不愉快に感じる人もいるだろう…
ゆえに、そういう点でコメントは非常に難しい作品ではあるが、私が この作品に対して「面白い」と感じて評価してるのは ベースとなっている「性同一性障害」がどうしたこうしたでは無く、ラストの描写にある。
そこに東野ならではの「青春モノ」の雰囲気がたっぷりと溢れて寂寥感に包まれるからなのだ。
とかく、近頃はTVドラマの影響で「白夜行」こそ東野圭吾の傑作…なんて 簡単に口にする輩が増えたが、「白夜行」が傑作か否かの問題より、他の東野作品をどれだけ読んで そう言ってるのか? 私は そこを問い詰めたいと思う事が この頃、よくある。
私とは違って、「秘密」こそ傑作だ… そう言う人を知ってるが、私は 私とは意見が異なるけれども その意見にも一理あると思っている。
「回廊亭殺人事件」がベストだ…という興味深い意見の持ち主も知っているが その意見も一理あると思っている。
もちろん「白夜行」も面白い作品だと思っているが、「白夜行」だけを読んで「ベストだ」と言ってるような底の浅い意見が気に入らないのである。
