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2005年12月27日

● 贈り物


「この記事は HAZUKIさんに捧げます」

本来は頂戴したコメントへのレスのはずだったのだが、タイプしているうちに長くなったので ブタネコ的には恒例の「~さんへ捧ぐ」として 記事にさせて頂く事を どうかお許し願います。^^;




12月22日に記した『女王蜂』という このブログ内の記事に…


葉月亭』を主宰されておられる HAZUKIさんより、コメントを頂戴しました。


HAZUKIさんにおかれては 彼女のブログの『備忘録 93 『男たちの大和』』という記事に私がコメントさせて頂いた際に とても、温かいレスを頂戴した事も併せて 深く御礼申し上げたく存じます。


で、今回のレスに対するレスとして 文章をまとめていたところ、レスと言うよりも記事になってしまった事をお詫びします。^^;




さて…


「贈り物」という風習みたいなモノがある。


「結婚」「出産」「入学」「就職」… 人生の節目に「お祝い」として 何かの品を贈るモノもあれば、「誕生日」など 何かの記念日に贈る事もあり、その他に「中元」「歳暮」といった時候の挨拶というモノもある。


そんな、いろんな「贈り物」を贈ったり、貰ったりする時 いずれの場合にも その品物の内容や、贈り方、受け取り方 その後の扱い方などで、係わる人々の内面が判る。


「とりあえず、3000円位の予算で適当に…」


「ま、この程度でいいだろ」


贈る側においては そんな判断基準だったり、逆に 受け取る側も


「あら? こんな安いモノ?」


「なんだよ、こんなモノ貰っても クソの役にも立たないじゃないか」


と、内心思いながらも 互いに作り笑顔で


「つまらないモノですが…」


「あら、結構なモノを…」


そういう やりとりを、まるで義務感に縛られた様に交わす人々が 世の中には多い。


それって、クダラナイと思わないか?


せめて、贈られる身になって


「これなら満足してくれるかな?」


って事を考えないで贈るぐらいなら、贈らない方がマシじゃない?


歳を重ねる毎に そんな思いが強くなり、高校生の時の喫茶「職安」の常連客の一人だった運送屋のN専務を思い出す。


参考記事『N専務の話


N氏は 御中元や御歳暮の季節になると いつも不機嫌だった。


「本当にクダラネェ物を ”つまらない物ですが…”って持って来やがる。

 だったら、最初っから持ってくるんじゃ無ぇ!!ってんだ。

 もうね、喧嘩売られてるような気になるから腹が立つ」


そうも言っていた。^^


当時のN専務と似たような歳になってしまった私には その頃は「贅沢だなぁ^^;」と思っていた その言葉が、今では実によく判る時がある。


誰かにモノを贈る時は「感謝」なり、「御礼」なりの気持ちが入ってなければ意味が無い… それがN専務の持論だった。




ある時の事、バイト少年の一人で 後に「アキバ系研究員を束ねた某国立大学理工学部教授」と呼ばれる様になる友人が


「今週中にどうしても、あと1万円稼ぎたいんですけど

 誰かバイトありませんか?」


と、喫茶「職安」に常連客達が現れる度に聞いており、N専務が それを聞いたところ


「ん? どうした? なんで金が入り用か その理由を言ってみろ、相談にのらん事も無いぞ」


と言い、後の教授が


「来週の月曜日、女の子の誕生日なもんで プレゼントを買いたいんです。」


「ほ? オマエ、彼女なんかいたのか?」


「いえ、つきあってる訳じゃなくて…、そこで告白もしようかと…」


「で? 1万円ったら安くないぞ、何を買うんだ?」


「いいな…と思うネックレスをみつけたんですけど、それ3万するんです。 で、この前のバイトで2万ちょっとあるから、あと1万…」


「アホか? オマエは 高校生ごときが3万のネックレスだと?」

(注記:当時の物価では とてつもなく破格の金額である。^^ 後にバブル期のちょっと前ぐらいに ティファニーのオープンハートのペンダントが大流行したが、それの最初の頃のタイプの銀の物が約3万円ちょっとで それでもその時期では高価な品物と言われたのだ^^)


聞いていた 他の常連客達も呆気にとられ、


「オマエ、高級クラブのホステスさんでも口説こうとしてんのか?」


「え? いや、同級生の…」


「馬鹿じゃねぇのか?」


散々に言われ、その挙げ句に「そこに座れ」と言われて 小一時間の説教となった。^^;


その時に、N専務が言ったのは


「高価なモノは 確かに喜ばれるかもしれないが、

 それを贈るだけの相応しい相手なのか そこのところを よく考えたらどうだ?

 安くたって、相手が本当に素敵な人なら

 そのプレゼントに どれだけオマエの気持ちがこもってるかを

 判ってくれるもんだし、それが判らないような相手なら、

 そりゃ贈るだけの相応しい相手とは 俺には思えんぞ…」


結論から先に言うと、教授は運良くバイトにありつき 当初の予定通りに3万円のネックレスを買って 女の子にプレゼントし、同時に告白した。


交際は成立するかに思えたが、告白の日から数日もせずして


「なんか、アンタつまらない」


というありがたい御言葉を賜り、不成立に終わった。


ちなみに、その女の子が そのネックレスを付けている姿は一度も見た事が無かった。


その結果に 常連客達は笑い、教授に


「よし、その涙が枯れるぐらい 俺のバイトで汗をかかせてやる」


と、凄まじいまでに バイトに駆り立て、こき使ったのだった。


私は 当時、付き合っていた同級生の彼女に その話をし、彼女は女の子にさりげなく


「教授君がアンタに誕生日プレゼントで渡したネックレスって 3万円もするんだって?」


と、わざと金額を強調して伝えさせたところ


「嘘? そんなに高いの? じゃ、着けなきゃ~」


と、その後は これ見よがしに着けて 見せびらかしていたが、教授の想いは伝わる事も叶う事も無かった。^^;


その話を N専務にしたところ、


「だいたいな、高校生ぐらいの女の子が

 オシャレに興味を持つのは悪い事じゃないけれど、

 何にでも分相応ってのがあるんだよ。 

 世の中には けっして高価な貴金属じゃ無くたって

 その人が身につけていれば相当高価な代物でしょ?って

 思わせる人だっている。

 物の価値は値段じゃなくて 思い入れとか愛着とか

 ”気持ち”の方が大切で、

 それを判る人こそ その品物に相応しい人なんだよ。


 例えば、今 俺がはめている

 この腕時計は店で買えば1万5千円ぐらいのモンだぜ、

 でもな 俺ぐらいの稼ぎと立場の奴は

 たいてい10万や20万ぐらいの時計をはめてるのが普通なんだよ、

 ホラ、あそこに座っているK寿司の親方の時計なんか

 150万ぐらいするんだぜ、

 で、もし あの親方が俺に あの親方の時計と、

 俺のこの時計と交換しないか?って言われても

 俺は絶対に交換なんかしないんだよ、何故だか判るか?

 この時計は 俺の死んじまったオフクロが

 最期に俺に買ってくれた品物だからだよ。

 ボケちまって、何十年も前の、

 俺が子供だった頃に”時計買ってくれ~”って言ったのを

 昨日の話の様に思い出してよ、

 少ない年金の中から安物買って

 ”ホレ、そろそろオマエも時計ぐらいしなきゃね”って

 40歳を過ぎた俺にくれたんだぜ。

 ボケのせいと言えば笑い話だけどよ、

 おそらく子供の時は オフクロも

 俺に買ってやりたくても親父の稼ぎが少ないから買えなかったんだろな、

 それが、頭の何処かに記憶がこびり付いてて

 ポロッと剥がれたみたいなもんだったんだろさ。


 その半年後にオフクロがポックリとくたばっちまったから、

 この時計は形見も同然 着けない訳にはいかないんだな… 判るか?」


私は 何も言えなかった。


「時計ついでに もうひとつ言うとよ、

 いつも三時頃にコーヒー飲みに来る 五軒先の蕎麦屋の親父が

 時々、ディズニーのオモチャの時計してるの知ってるだろ?

 ありゃオマエ、親父の孫が

 お爺ちゃんの誕生日のお祝いって

 雑貨屋のくじ引きで当たった奴をくれたんだとさ…


 他人が見りゃオモチャでも、

 あの親父にしたら値が付けられない宝物なんだよ。

 そういう”気持ち”オマエ判るか?」


私は 何も言えなかった。


「物の価値を値段や品物の中味だけで判断する様な

 つまらない人間になるなよ。


 その物には 込められた思いや、

 意味がある場合があるんだって事を忘れちゃいけないし、

 そういう意味がある物の

 その意味を見落としたり、無下にしちゃいけないんだぞ」


そう言われた。


だからなのだと思うけど、同級生達が 彼氏や彼女から貰う誕生日プレゼントを眺める時の私の見方が変わってしまったのだと思う。


「あぁ、あの手袋はデパートで3000円ぐらいだな…」


贈り主が その3000円をバイトして稼いで買ったものだったら、「頑張るなぁアイツ」と微笑ましく思い、どう考えても親から貰った小遣いで買った物と思えば 羨ましいなんて間違っても思わなくなった。


そんな私だったから、手編みの帽子や手袋やマフラーってのは もの凄く憧れたし、そんなのを貰う友人が もの凄く羨ましく思えてならなかった。


編み物の上手な人なら マフラーなら数時間で編み上げる。


でも、たとえ数時間と言えども 自分の時間を費やして編む… そこに金銭的な価値観では計りようもない値打ちがあると思えるのだ。


その上で、編みながら「少しでも温かくなります様に」とか、「似合いますように」なんて想いが込められていれば もう、何にも言えない… 私は そう思うのだ。


だから、学生の時 同級生の彼女に


「誕生日プレゼント、何 欲しい?」


と聞かれた私は どもりながらも


「て・手編みのマフラー」


と 言ったわけだが…


「そんなめんどくさい事、出来ないし、欲しいなら自分で編めば」


と 言い返された時は 本当にガックリきたのだ。(ToT)


けれども…、彼女は 本当に手先が不器用だったのだから、思えば そんな彼女にそんな事を言う方も無謀だったと 実は、その後に私は反省もしたのだ。


その時の誕生日に 彼女が私にくれた誕生プレゼントは「筋子(スジコ)の入ったおにぎり」だった。


実はね 私は今でもそうだけど、「梅干し」とか「おかか」じゃなくて「筋子」のおにぎりが大好物なのだ。


で、試してみれば判るけど「本当に美味しい筋子のおにぎり」って 「おにぎり」の中でも特に難しい「おにぎり」なのだ。


強く握れば「筋子」が潰れて汁が染みだし生臭いモノになる。


だからといって握りが甘ければ、軟らかいおにぎりになって食べてる最中にボロボロと崩れ落ちる。


ちから加減が実に繊細さを要求される分、バランス良く仕上がったら どんな他の具よりも最高の「おにぎり」なのだ。


それを彼女は 朝早めに起きて、自分で握って


「私が生まれて初めて握った”おにぎり”なんだぞ」


そう言ってプレゼントしてくれたのだ。


包みを開けたら、「おはぎ」みたいに巨大で歪な「おにぎり」が2個入っていた。


片方は やや握りすぎ、もう片方は ちと軟らかすぎてボロボロと崩れた。


塩加減もキツく 知らない人が食べたら絶対に褒めないだろう「おにぎり」だったけど…


「どう? 美味しい?」


そう聞く彼女に 間違っても「マズイ」なんて言える訳は無いし、


「へぇ~ コイツが(俺のために)料理したのか…」


そう思うと、泣きはしなかったけど 感極まって返辞なんか出来なかった。^^;


その日の帰り、彼女のオフクロさんに 彼女が普段より2時間も早起きして 何個も不良品を作り出し、それは彼女のオフクロさんや親父さんの朝食として与えられ、中でも出来の良い2個を持って行ったんだけど それでも凄かったでしょ?と 苦笑混じりに言われ、彼女の悪戦苦闘する姿を想像すると妙に笑えるんだけど なんか凄く嬉しくなった。


そんな彼女が 翌日、私が自分で編んで首に巻いていたマフラーを


「だったら、それアタシが編んだ事にしといてよ。

 じゃないと、アナタも恥ずかしくて他人に言えないでしょ?」


と 言い切る姿に、


「コイツ、逞しい奴だなぁ…」


感動すら覚えたモノだ。^^;


その後、彼女は私の嫁となり 今でも私がどこかに遠出する時は 余程の事が無い限り、頼まなくても「筋子のおにぎり」を2個作って持たせてくれる。


20数年の月日の成果は その「おにぎり」の味で判る。


だから、同行者が「美味しそうなおにぎりですねぇ…」なんて 直接・間接に そのおにぎりを食べさせろと言っても絶対にやらない。^^;


これは 彼女の亭主だけが食べられる「特別な料理」なのだと 私が勝手に思い込んでいるからだ。^^




お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

ブタネコさんへ

今日のおのろけ、ご馳走様でした。最後の落ちが秀逸ですよ。
確かに、無意味な贈答のやり取りを習慣でやっていますね、反省多々ありです。
でも中には相手を慮っての贈答選びをしているものもありますから、その点がすこし救いかな。

★ タンク さん

>でも中には相手を慮っての贈答選びをしているものもありますから

そう、ですから 気持ちには気持ちで返したい… そう心がけているんですけどねぇ

いつのまにか、目には目を みたいに 似て非なる気持ちになってる事が多いです(反省
^^;)


ブタネコさん
一瞬、わが目を疑いました。
読み終わってからは心がぽっとあったかくなり、本当に嬉しくなりました。
(拙ブログの紹介までしていただき、恐縮の極みです)

このような心あたたまるお話を、
とっても大切なものが伝わってくるお話を、
私のようなものに捧げて下さるなんて・・・
もったいないことでございます。本当にいいのでしょうか。なんだかもう、うまく言葉にできません、ごめんなさい。

嬉しかったです。
本当に嬉しかったです。
素敵な贈り物を本当に本当にありがとうございます。

N氏は人生の師とでも申すべきかたですね。
このような人の存在を知ると、人間ってなんて素敵なんだろうと思えて嬉しくなります。
(“真珠湾攻撃のニイタカヤマノボレ”のお話にもいたく感じ入りました。かねがねブタネコさんの青春時代は映画にできそうなほどドラマティックだなあと思っておりましたが、このお話もまさにそういったエピソードの一つですね)

プレゼントって、本当に金銭的な値段なんかじゃないです。
ブタネコさんのこの記事だって、決してお金には換えられません。私がどんなにありがたく、嬉しく思っているか、うまく言えないのがもどかしいです。

安かろうが高かろうが、気持ちがこもっているものは必ずわかります。伝わるものです。
だからこそ、嬉しくなるのです。欲しかったものだから嬉しい、ではなく、ああ私のために、というその気持ち、想いに嬉しくなるのです。

それはもらうばかりではなく、贈る側に立っても同じだと思います。高価なものだから喜んでくれるだろう、そんなことを思って買ったり贈ったりするわけじゃありません。

お互いの信頼関係、と言ってもいいかもしれません。
そこに信頼の気持ち、本当に相手を思いやる心と気持ちがあれば小石一つでも宝物になります。

N氏の時計と蕎麦屋の親父さんの時計、本当に、値段のつけられない宝物です。N氏も親父さんも、どんなに嬉しかったことでしょう。

そしてそしてブタネコさん。やっぱり奥様は素敵な女性ではありませんか。ブタネコさんが愛した女性ですね。
マフラー、アタシが編んだことにしといてよ、の前に、「筋子のおにぎり」のエピソードがあったんですね。
手編みのマフラーもいいけれど、このおにぎりのプレゼントの価値ははかりしれません。
私ますますミセス・ブタネコのファンになりましたよ。

最後に、繰り返しになりますが、素敵な贈り物を本当にありがとうございました。

★ HAZUKI さん


御堪能頂けましたようで ホッとしております。^^;


N氏に限らず、喫茶「職安(仮称)」で御世話になった 当時の常連のオッサン達には いろんなモノを有形・無形に関わらず頂きました。


特に、物事に対する見方や視点の持ち方、考え方については いろんな事を教わりました。


そういう方々と出会えた事は 今更ながら、私にとっては とても有り難い事だったと思っております。


オッサン達は 私が喫茶「職安」で 時々、暇潰しに編み物をしていた時に 今回、ブログで述べた様な 私が編み物を始めた経緯を話すと、皆 腹を抱えて笑いながら、


「昔は どこの家のオフクロ達も そうやって子供の服を編んでくれたモンだ…」


とても懐かしそうにしてました。


だから、そんな方々への誕生日プレゼントとして 手編みの毛糸の帽子やマフラー、そして腹巻きをプレゼントしたものですが、皆 喜んで愛用してくれたものです。^^


そういう姿を見て 巧く言えないんですが、私なりに 何かを教わったと思っています。


最近、ふと思うのは どんなに心を込めて贈っても、その込められた”気持ち”を汲み取れない、汲み取ろうともしない人が増えてきている様に思います。
(私の周辺だけかもしれませんが…^^;)


なので、ついつい小生意気な話をしてしまいました。


まったく、赤面の至りです。^^;


追記。


HAZUKIさんが 「葉月亭」で私に下さったレス 私は本当に嬉しい言葉でいっぱいだったんです。^^

ありがとうございます。

【※注意!!】

この記事は『ブタネコのトラウマ』の倉庫に保管されている記事なのでコメントの投稿は出来ません。 2015年2月10日以降 このクソブログは『ブタネコのトラウマ・リニューアル版』に移転しましたので新規記事更新及び、過去記事へのコメントの受付もそちらで行っておりますので お手数ですが、そちらへの移動をお願い申し上げます。