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2005年12月08日

● ブタネコの「クリスマス」


嘘だと笑われるのだが、私は小学校の3年生になるまで サンタクロースが実在すると信じていた。




1年間、良い子で過ごせば12月24日の夜に 寝ている間にサンタさんがやってきて 素敵なプレゼントをくれる… そういうものだと信じていた。


それを今思えば、自分でも可笑しくなるぐらい笑えるのだが、事実なのだから仕方が無い。


12月の初旬、母が何気に私と妹に


「今年は サンタさんに何を御願いするの?」


と聞く。


それに対して、


「え? 12月24日の夜に欲しい物をメモに書いて 靴下に入れて枕元に置いておけば 朝までに それを置いていってくれるんじゃないの?」


純心だった私が(今でも純心だが^^;)そう母に言うと、母は


「それは東京の話、ここは北海道で田舎なんだから 早めに連絡しないと注文が間に合わない事もあるのよ 今晩から靴下を下げて寝なさい」


今思えば、その台詞は 母が漏らした本当の事実だったと判るのだが、^^; 当時の私は


「あ、そっか」


と、全く何も気づかず 言われた通りにそうしたものだ。


そんな私が 何故、サンタが実在しないと判ったのか…


それは 小学校の3年生のクリスマスだった。


当時、私は野球を始めたばかりで どうやったら上手くなるか、特に バッティングの技術を向上するには どうしたらいいか? 日夜、真剣に悩んでいた。


そんな時、任天堂から「ウルトラマシン」(という名前だったと思う^^;)という電動でピンポン玉を投げてくれる 今風に言えば「ピッチングマシン」が売られているのを知り、その年のプレゼントに それが欲しいとメモに書いて靴下に入れておいたのだ。


で、12月25日の朝 目覚めると枕元には念願の「ウルトラマシン」があり、私は 喜び勇んで箱を開け、直ぐにも王や長嶋の様なバッターになるべく バッティング練習に励もうと思ったのだが…


開けてみると、何故か肝心のピンポン玉が入っていない。


機械はあっても玉が無ければ 肝心のバッティング練習が出来ないのである。


直ぐに私は 既に起きていた両親の許に行き、


「サンタさんがプレゼントを置いていってくれたんだけど…」


そういうと 父も母も


「そうか? 今年もサンタさんは来たか? 良かったなぁ…」


と、満面の笑顔。


でも、私は(おそらく)ふくれっ面で


「肝心のボールが入ってないから使えないんだ」


すると、笑顔が凍り付く父と母。


特に父は


「え? そんな筈無いぞ、別売だからって店員に言われて ちゃんと多めに2箱買った… って サンタさんから聞いたぞ」


と狼狽える。


「だって入ってないもん、ちゃんと よく箱の中見たもん」


私が そう言うと


「おかしいなぁ… そんな筈は… じゃ、今度の土曜日に買ってやるから それまで待ってろ」


と言う。


渋々、納得した私であったが それはやはり子供心である。


目の前に機械はあるのに それを使えない…というのは酷な話だった。


妹は 希望通りの「リカちゃんハウス」を手に入れて御満悦なのを見ると 余計、腹立たしさが込み上げる。


そんな時である。


玄関のベルが鳴り、誰かと思って出てみたら 顔馴染みの父の部下のお兄さんが立っていて


「お? ブタネコ君、これ 昨日、お父さんが君の為に買って車の中に置き忘れていった物だから 渡してくれる?」


そういって、包装紙に包まれた軽い小箱を置いて行った。


私の為に買った物なら 開けてもいいだろう… そう思って開けてみたら 包みから出てきたのは「ピンポン玉2箱」である。^^;


私は その品物を前にして もの凄く悩んだ。


悩んだ挙げ句、当時の友人達に その話をしたところ


「オマエ、サンタがいるって まだ信じてたわけ?」


と大笑いされて、真相を知るに至る。^^;




さてさて、時は移り 私は娘を持つ父となり、とある事情で妹夫婦の娘(姪)も預かり、二人の幼児を育てる日々を過ごす身となった。


私は基本的に外国嫌い、宗教嫌いの人間ではあるが クリスマスは子供が楽しみにしている季節、つまりメルヘンでもある。


ゆえに、自他共に認める親バカとしては 娘達のメルヘンの為に他人には鬼とか悪魔と言われようとも サンタになる時だってある。


さて、そんな娘達が 揃って絵本を読むのが好きだと知ると、私は本屋にあしげく通い、好みそうな絵本を購入しては 夜な夜な、娘達が寝る時に その絵本を読む習慣を設けた。


私は 時に常田富士夫のように、またある時は市原悦子の様に


「オラ、餡ころ餅が食いてぇだ~」


と情感タップリに 娘達がすやすやと寝息をたてるまで読み聞かせるのが 毎夜の楽しみとなった。


そんなある日の事である。


季節としては ちょうど今頃で、時期的にも旬かと思い 私はサンタやトナカイやクリスマスの話の絵本を揃えて 勝手に私の脳内で「愛娘達へのクリスマス特集」と銘打って読み聞かせていたのだが…


ちょうど、その日に読んでいた本がお気に召したのか 娘達は一向に眠ろうとする気配が無い。


むしろ、読めば読むほど 目を輝かせて真剣に聞いている。


だが、やがて二人とも怪訝な表情となり、なんか困った様な顔になった。


私の読み方が悪いのか? やはり、クリスマスは常田富士夫風の読み方じゃマッチしないのか? そう、私が悩み始めた矢先、娘が口を開いた。


「ねぇ? おとしゃん(お父さん) ペチカって何?」


「ん? それはね、外国のストーブみたいなものだよ」


「うちには 煙突無いよね?」


そう、その当時 我が家は子供が小さかった事もあって あえてセントラルヒーティング方式を取り入れた家に住んでいたのだ。


最初、娘の言葉が 何を意味するのか判らなかったが、それでも直ぐに理解出来た。


つまり、サンタは煙突から家に入ってくるのに ウチには煙突が無い… と言う事は、我が家にはサンタが入って来れないじゃないか… 娘は そこに気づいたのだ。^^;


「あ~ そっか…、でも、まだクリスマスまでは2週間以上あるから それまでにお父さん考えてあげるよ」


そう言って、その場を誤魔化すのが 私には精一杯だった。


翌日、娘達の目を盗んで 私は嫁にその話を告げ、どうしたものかと相談した。


すると嫁は


「お父さんが考える…って言ったんでしょ? だったら、ちゃんと その言葉の責任を取ってよ。 私は知らないわよ 幼気な娘達の夢を壊すような真似だけはしないでよ」


私は悩んだ。


悩んだ結果、ひとつの答えに至り決断した。


数日後、私は知人である一級建築士の伝手で 塗装屋を経由して看板屋を紹介して貰い、簡単に小さなプラカード(と言っても 縦1m横3mぐらいの大きさだったと思う)を作ってもらい、そこに


「サンタさん ウチには煙突が無いけど 可愛いい二人の娘がいます。 鍵を開けておきますから どうぞ、玄関からお入り下さい」


と書いて貰った。


そのプラカードを 屋根の上に取り付けて、娘達に


「ホラ これで安心だ」


そう言うと、娘達も喜んでいた。


これで一安心… そう思っていたのも束の間だった。


クリスマスの1週間ほど前になり、突然、札幌は大雪に見舞われた。


それまでは たまにパラッと降る事はあっても、全く積もる気配など無かったのだが、一晩で大人の腰ぐらいまでの高さに降り積もる大雪だった。


すると娘達が 最初は雪に興奮して騒いでいたけど、ある事実に気づき 二人で私の処に「大変だぁ~」とやってきた。


「おとしゃん、屋根の看板が雪に埋まっちゃった~ あれじゃ、サンタさんに見えないよぉ~」


雪は屋根の上だけじゃなく 私の心にも降り積もった。^^;


当時の我が家は「無落雪工法」を取り入れ 屋根は雪が滑り落ちる三角屋根では無い。


雪下ろしをするにもハンパな量では無い。


どうしよう… 困り果てて ふと見ると、嫁はそんな私を「ザマァミロ」とでも言わんばかりの悪魔の笑みで見つめてる。


数日、様子を見たが 雪が溶ける気配は無い。


むしろ、天候は崩れ そのまま根雪となるぐらい降り続けそうな気象図だった。


二人の愛娘は つぶらな瞳で私を見つめ、なにかを訴え続ける。


私は そんな視線に耐えきれなくなった。


だから、再び 知人の一級建築士に連絡し、今度は大工を呼び寄せた。


「リビングの壁に穴を開けて 煙突を設置しろ」


「え? 旦那さん、この家 セントラルヒーティングでしょ?」


「いいから、黙って煙突を設置してくれ それも、クリスマスの前日、23日までには工事を終わらせてくれ」


訝しむ大工達に 事の顛末を話すと、


「いやいやいや、サンタの為に煙突つくるなんて 初めてだもな~」


と笑っいながら心の何処かで面白がって作業を引き受けてくれて、約束通り23日までに工事を終えてくれた。


娘達は 


「これで、サンタさんが ちゃんと来てくれるね」


そう言って喜んでいた。


私は そんな娘達の喜ぶ姿を見て、そんな姿を見れただけで苦労した甲斐があったと嬉しかったし、その年のクリスマスは無事に終了し、娘達のメルヘンも順調だった。




だが、嫁は違った。


「なんで、こんな無駄遣いしなくちゃいけないわけ? しかも、セントラルヒーティングなのに なんで、わざわざ煙突造るわけ? もう、信じられない」


と、不機嫌だった。


私はと言えば どうせ、煙突造ったんだから、ついでに買っちゃえ…と大工達に薦められた事もあって 当時でも、既に珍しくなってしまった薪ストーブを購入し、リビングの片隅に設置までした。


そして正月明けのある日、再び 記録的な大雪に見舞われ、その雪害で付近の電柱が倒れたり、電線が断線し 自慢のセントラルヒーティングは停止した。


完全復旧までの1日半、近所は皆、凍えを我慢して過ごしたが、我が家は その薪ストーブのおかげで快適に過ごす事が出来、いつのまにか 嫁の不機嫌は直った。


しかも、その薪ストーブは いつしか嫁のオモチャと化し、嫁は そのストーブで ナンやピザを焼くなど 料理に応用したのだから、サンタの入り口作りも けっして無駄になったわけでは無い。




それから、また月日は流れ…


娘達は高校生になって サンタが実は…なんて事も とっくの昔に理解していたが、クリスマスの夜は 俺はサンタだ… 私のそういう風習は続いていた。


だから、当然の如く 12月24日の深夜に 娘達の部屋に忍び込み、枕元にプレゼントを置き、寝顔にそっと


「メリー・クリスマス」


そう囁き続けたわけだが、昔は25日の朝になると


「お父さん 今年もサンタさんが来てくれたよぉ~」


目を輝かせて そうはしゃいでいたのに…


「お父さん なんで私が寝てる間に 勝手に私の部屋に入るわけ? 変態? ウチの父は変態なの?」


気づけば そう怒鳴られる家庭の親父になっていた。(ToT)


プンプンと怒る娘に


「え? そりゃオマエ、サンタさんだろ? 俺は知らんぞ」


と、私はとぼけるのだが


「サンタなんて空想上の生き物なのよ!! もう、いい加減にして!!」


まったく、とりつくしまが無い。




さてさて、それから、また月日は流れ…


娘も二十歳を過ぎて 世の詫び寂を身につける年頃となると…


この季節になると、何かの拍子に娘が呟く


「お父さん 今年も、ウチにサンタさんは来るわよね?」と。


すると 私は、ビクッと動きが止まり、


「いやぁ… どうかなぁ… この頃、世間は不景気だからなぁ…」


「私、今年は フェンディのポーチをメモに書いて靴下を下げとくつもりなんだ…」


「いやぁ、なんか 今年はサンタさんも嫁さんに財布の紐をキツク締められて来れないような…」


すると娘は嫁に


「ママ? 今年もサンタさんは来るわよね? ウチに…」


聞かれた嫁は


「あら? サンタ来ないって言ってるの? じゃ、ママからキツく言ってあげ…」 


その言葉が終わらぬうちに


「いや、来るでしょ… ウン、きっと来るよ…」


1オクターブ上擦った声で叫ぶ私だった。(ToT)



お駄賃

 気が向いたら…で結構です。^^;

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コメント

いかにぶたねこさんが娘さんのことを溺愛しているか、よくわかりますね。
今でも、おとしゃんといいながらねだってくれば、車の一台くらい買いそうな勢いですねw

★ くま さん

ドンマイです^^; > 俺

こんばんわ(^-^)
雪ふってますね~・・・・・
ぼちぼち根雪ですかね~・・・
ブタネコさんの娘さんがうらやまし~(^・^)
私はサンタをするほうですからね~・・・
今年は娘がプリキュアの服をサンタさんに頼むそうで、明日あたり、トイ○らすでサンタさんに頼んできます・・・・

★ まーたん さん

ええ、昨日から 札幌は雪景色ですね^^;

雪道、気を付けて下さい^^

【※注意!!】

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