● バトルロワイアル
とかく 色々と物議を醸した作品ではある。



原作著者:高見広春 映画監督:深作欣二
まず、原作について触れておくと…
最初は角川ホラ-大賞に応募された作品であったが、荒俣宏、高橋克彦、林真理子、という選考委員から 悉く酷評され落選したが、後日、他の雑誌で取り上げられ 陽の目を浴びたのは有名な話。
その時の選考委員の落選のコメントが
「スト-リ-的に ホラ-とは思えない…」
ってな感想だったら まだマシだったのだが、
『小説としてはできているが、読んでいて気分が悪くなる。 こういう事を考える人が嫌い』(林真理子)
という意見だった事が 後に、物議を醸した理由となる。
応募作品の内容について どうこう寸評を述べるのならともかく、
「こういう事を考える人が嫌い」
という理由が落選評として述べられるのは如何なものか?と。
以来、私は「林真理子」の言に従い、「林真理子」の薦めたり関わったりしている本やテレビは絶対に見ない。
だって 私は「林真理子」が嫌いだからだ。^^
基本的に原作においても 今時の小説にしてはエッチなシーンは けっして多くは無い。
映画化においては スケベなシ-ンと思われる部分は編集でカットされている事から、私は内容的には年齢制限をかける必要は無いと思ったのだが、「中学生が武器を持って同級生と殺し合う…」という内容が「教育上、好ましくない」という理由での上映中止を求める意見やR指定とか 国会で論議を呼ぶ等、上映前にも 色々と取り沙汰され、結果

となる。
ありがたい事に 上映時、私は とっくに15歳以上だったから 臆せず鑑賞させて貰ったが… たしかにバイオレンス色の強い作品ではあったけど、何て言うのかな… 殺し合いがどうこうよりも、中学生ぐらいの年代での友情とか、人間関係みたいなものを 自分の記憶と重ねた上でも あらためて考える作品に充分なっており、むしろ 中学生にこそ見せた方がいいんじゃないか?とさえ思った。
原作では 坂本金八やたのきんトリオなどをパロディ化した部分があり、そこだけは 個人的には馴染めなかったが、映画において そこを

「北野武」に置き換えた点は お見事だったと思う。
スト-リ-の根幹を成す「BR法」に関しては 説得力の有無を含めて賛否両論があると思われ、私も個人的には 正直言って、若干の無理を感じるけど、
「クラスメイトに殺し合いをさせる…」
という着眼は実に興味深く、仲良しグル-プが 疑心暗鬼にかられて 人間関係が崩壊していく様は 奇妙に上辺だけの「仲良しごっこ」みたいな人間関係の多い昨今において スパイスの効いた風刺に感じた。
何が理由なのか、原因なのかは私にも よく判らないが、昨今は「友情」というものが上辺だけだったり、タテマエばかりの人間関係という風に 大人以上に子供同士の方が 人と人の付き合い方に希薄さを感じる事がある。
どんなに強固な友情関係であっても、極限状況に追い込まれた時にどうなるか? この「バトルロワイアル」で描かれた世界はマンガチックなフィクションではあるが、状況描写には凄まじいものを感じ、本当に 原作を読んだ後、そして映画を見終えた後、いろいろと考えさせられた。
たとえば、

映画冒頭に映る 一枚の学級写真。
これだけを見れば ごく普通の何気ないクラス…という風に見える。
物語の設定上も ごく普通と言って良いぐらい いくつかの仲良しグループや 不良グループ、親友同士、孤独な者…
どのクラスにもいそうな典型的なパターンの子供達で構成されている。
そこにBR法という フィクションではあるけれど 突拍子も無い法律を持ち込み、クラス全員で 最後の一人になるまで殺し合いをさせる。


(宮村優子のマニュアルビデオ^^;)
映画冒頭に登場する 前回優勝者は

いたいけな少女なのだが、殺し合いの影響か 薄ら笑いを浮かべる表情には狂気すら漂い、この少女が抱き締めている人形は「呪いの人形」という武器なのだそうだ^^;
やがて、


(この娘の死にっぷりは見事^^)


BR法の説明の最中に二人の生徒が 教師:キタノに殺され 生徒達は置かれた状況を受け入れるしか無くなってしまい…







戦闘開始と共に 一人、また一人… と倒れていく。
さて、ここで問題です。

この女優は 誰でしょう?(正解は後で…)
映画「バトルロワイアル」においては キャスティングが非常に良く、若干 それまでに幾つかの作品で注目を浴びていた役者もいるけれど、40数名という生徒を演じた殆どは無名に近い役者ばかりだったが、この後、それなりの役者へと成長した者が少なくない。







主役の

藤原竜也と前田亜季は ともかくとして…


安藤政信は 北野映画「キッズ・リターン」で注目を浴びた個性派で この作品でも 結局、一言の台詞が無い 冷血な殺人者を演じきる。
(最近では”亡国のイージス”で工作員役)


栗山千明は 「死国」や「六番目の小夜子」で注目を浴び 最近では「キルビル」の女子高生の殺し屋役など やはり個性派^^;
(最近では資生堂等 CMにもよく出てる)

塚本高史は 最近だと「タイガー&ドラゴン」が記憶に新しい。


石井里弥は このブログにお越し下さる方の多くが観たと思われる「ロング・ラブレター~漂流教室」(山田孝之クン関連で^^)


三村恭代は 「六番目の小夜子」や 昼ドラ「母の告白」 そして、最近では「リンダ・リンダ・リンダ」と 舞台版「世界の中心で、愛をさけぶ」
他にも 私が個人的に成長を見守っている順に挙げると…^^;


永田 杏奈


神谷 涼

石川絵里

木下統耶子(左の子 ちなみに右の子は 関口まい(桂ざこばの娘))


美波
今後の成長と活躍を期待します^^

で、特に群を抜いて映っていたのは 柴咲コウである。

当初は鎌を武器に戦い、

時には 妖しい笑みを浮かべて銃を向け…
圧巻だったのは このシーンでの


「死ねよ ブス」という台詞の言い回し。
そして、安藤政信相手に大立ち回りを演じて


壮絶な最期。
世間的に どうだったのかは知らないが、私にとっては まったく無名の時に この演技を観て「この娘スゲェ…」と ビックリさせられた。
で、当初の予想を遥かに超えた興行収入を稼ぎ出し、深作欣二は クランクアップ後、半年以上を経ていながら 数シーンの再撮影を行い いくつかのシーンを足して「完全版」として再編集を行った。
その 付加されたシーンの中で 特に秀逸なのは


まだ平和な頃の クラス対抗球技大会のバスケットの試合で 勝利に喜ぶクラスメイト達
そんな中、クラスメイト達からは ポツンと一人離れた位置で


勝利の瞬間に喜びながらも、


喜びの輪の中には馴染めず

一人、その場を立ち去っていく…

でもね、時々 振り返る表情には クラスメートへの羨望のような表情や、孤独の寂しさや、打ち解けていけない テレとかプライドとか そんな複雑に絡んだいろんな想いを 実に巧く醸し出している。
この追加シーンの 柴咲コウは 実に良い演技だったと 本当に感じたものだ。
同時に、このシーンを追加撮影したかったという 深作欣二の思いも充分に理解出来た。
こういうシーンがあってこそ、BR法で追い込まれて 友達を信じ切れず、裏切ったりしていく人間関係の 陽と陰の対比みたいなものが如実に現れる。
私は 不覚にも このシーンで思わず涙ぐんだほどなのだ。
巧く言えないんだけど… 冒頭でも述べたように この映画の主役達と同世代の子供達にこそ この映画は見せるべきだと思う。
殺し合うシーンが残虐だ…と言っても この映画はホラーでも無ければアクション映画でも無い。
冷静に眺めれば 毛色の変わった 青春映画であり、友情とか信頼とか 人間関係を考える いいキッカケになる材料になれる映画なのである。
ただ、単に殺し合うから… 血が飛び散るから… そんなところにだけ目を向けて中味を吟味せずに 有害な映画だ…と罵る大人達こそ モノの上辺しか観ず、本質を理解出来ない大馬鹿野郎の典型だ… と、私には思えて仕方が無い。
尚、この映画の続編「BR2」は「大人に対して…」とか「世の中の不条理に対して…」とか 戦争に対して…等々、余計なイデオロギ-を中途半端に持ち込みすぎで 竹内力がラガ-マンで登場したところで もう完全に興醒めである。
BR2が語る必要の無い駄作になってしまったのは クランクインから そんなに時を置かずして深作欣二氏が他界した事も大きな理由であろうし、「遺作」として形にしようとしたスタッフ達の努力も察するが、せっかく前作で上手く表現した原作の世界を 無理矢理にねじ曲げた感が強く
「これが本当に深作欣二が表現したかった事なのか?」
という点に 大いに疑問を抱く。
ゆえに、深作欣二氏自身が「最後の作品に…」と望んだ 続編の「BR2」ではあるけれども、生意気な意見で申し訳ないが、駄作と言い切らせて頂く。
従って、最初の「バトルロワイアル(特別編)」こそが 私は個人的に「深作欣二の遺作」だと思っている。
