● 小野田少尉・遅すぎた帰還
フジ系で放送された「小野田少尉・遅すぎた帰還」を観た。
おぼろげな記憶だが、1972年に
「ルバング島で 地元民が山賊と戦闘になり、その際に射殺された山賊を調べたところ 元、日本兵の「コヅカ」なる人物で 「オノダ」という、仲間が その場から逃げ、未だ山中に潜伏中…」
そういう内容の報道に触れビックリした事を記憶している。
その少し前に、元日本兵「横井」氏がグアム島から帰還し 戦後28年経って尚、戦争を継続していた日本兵がいた事に驚いたのだ。
その頃、ニュースを見ていて 実に不思議だったのが、何故 大々的に捜索隊を送らないのか? 子供心なりに 不思議でならなかった。
というのは 当時の報道では 何故か、「小野田寛郎少尉」と 人物が特定されて報道していたから、当時の戦友達や上官などは 何を見かねているのだろう?
勝手に、そう、想像していたのと 戦後28年間、生きながらえていながら亡くなった「コヅカ」氏に対し もの凄く、可哀相に思ったからでもある。
その後、日本に帰還した小野田さんの記者会見の放送も 当時、テレビで見た。
で、正直に申し上げるが その時の記者達の質問に対し、小野田氏が応える内容が あまりにもチグハグで 本当に申し訳無いが 私は 小野田氏が精神的に狂ってしまわれているんじゃないか? そう思ってしまっていた。
当時、横井さんが帰還した際に述べた
「横井庄一、恥ずかしながら帰って参りました。」
という台詞が 今で言えば 流行語大賞を間違いなく受賞できる程流行っていた時期で、無責任な聴衆は 小野田さんからも そんな一言が発せられるんじゃないか?と期待していたフシがあり、だから 余計に、小野田さんの発する一言はチグハグ感が強かったのだ。
しかし、一緒にTVを見ていた 私の実父は その姿を見て
「コイツは大したモンだ…」
と 呟いていたのも印象的だったから覚えている。
その後、だいぶ経ってから 何かの雑誌で 小野田さんが対談で語れている内容を目にした時の事である。
それは もう、今から何年も前のことなので どんな雑誌だったかすら覚えていないのだが、ルバング島で どんな風に過ごし、どんな事を考えていたか… それらの事について小野田さんが語られていたのだが、それを読んで これまた大変失礼な話だが、
「あれ? この人 狂ってる訳じゃ無かったんだ…」
と、感じたのであるが、なにせ 紙面の関係で充分な会話を掲載していたわけじゃないから コヅカ氏の事とか 私の知りたいと思った大部分が その紙面には無かった。
しかし、今回の放送で 大部分が補完され ようやくスッキリした気持ちになれたのと同時に 帰還直後のインタビュー場面で
「この人 狂ってる…」
そう感じたのが 実は大きな誤りで誤解であった事を知り、ただ恥じ入るばかりである。
小野田さんは 単に命令に忠実なだけだったんだ。
周囲から、特に現代社会から(私が最初の報道に触れた1972ですら) そんなバカな…と思われるほど 命令に忠実なだけだったんだ。
でも、それが 太平洋戦争中の風潮だったとすれば いろんな事が 違う解釈で成立する事の証ともなる。
「軍では 部下は上官の命令に絶対服従」
これは 今では一般社会では ナンセンスとして受け入れられない方が多い考え方となってしまっている。
我々の父親の世代は「戦後、日本は大きく変わった」と言いながらも「会社・仕事 優先で組織に準ずる」その風潮は未だ拭い去れてないと思われる。
その考え方を思えば コロコロと転職していく現代の若者の姿を納得するのは難しい。
逆に 現代の若者感情から言えば「上司の馬鹿な命令に どうして抗わないの?」という感情に至り、そもそもが滑稽に映ってしまって理解の範疇を越えるのであろう。
ただ、なんとなくなのだが 最近の子供達は 心のどこかに「このままじゃマズイぞ」といった危機感みたいなものを感じている子が多いのか 今までにないぐらい真剣に聞こう(知ろう)とする姿勢を見せる子が増えてきた感もする。
個人的には それはとても奨励したい事なのだが、重要な事は そういう子供達に 正しく教えてあげる事の出来る大人が 現代には とても少ないと思える事である。


