● 映画版「亡国のイ-ジス」
映画版「亡国のイ-ジス」を見てきた。
久しぶりに 長期休暇で我が家に滞在中の義弟と共に
「ちょうどいいね…」
と見てきた。
先日
『映像を観てから語るか、観る前に語るか しばし、悩んだが 今回はあえて観る前に語ってみたい。』
と称して
『亡国のイ-ジス』
という記事を掲示したが、そこで述べた心配が現実になってしまった。
スピルバ-グとハンクスは「バンド・オブ・ブラザ-ス」の原作を映像化する際、2時間前後の放映時間の枠の中に詰め込むのは 珠玉のエピソ-ドばかりで 無理矢理カットするにはもったいない… みたいに考えて あえて10時間のTVドラマ化を選んだと聞く。
その結果、生まれた映像は かつて無いほどの素晴らしい作品となった。
仮に、素晴らしい原作があったとして、それを映像化する…のは その作品のファンにとっても とても嬉しい事だと思う。
けどね、いくら 日本の映画が 商業的な問題から2時間弱の枠の中で ひとつの作品として完成させなければならないからといって その為に、原作の主要なエピソ-ドや そのエピソ-ドを 読者(視聴者)に理解させるための解説部分を カットしまくってしまったら その結果は
「このシ-ン どういう意味?」
「え? なんで こうなっちゃうの?」
「これ 何がしたいの(言いたいの)?」
と 疑問ばかり生じるだけで 感動とか、感銘とか そんなもん得られる訳が無い。
もし、「亡国のイ-ジス」の原作は未読で 映画は見ました… と言う方がおられるならば 私は試しに聞いてみたい。
・「GUSOH(グソ-)」って何か 判りましたか?
・「ホ・ヨンファ」の目的って何か 判りました?
・「亡国の盾」という論文の意味 判りました?
・ 女工作員は何者?
・ なんで 女工作員は如月とキスするの?
・「ヨンファ」が「GUSOH」を持ってマストに登る直前
何故、艦は火災が生じ 機関長が血まみれだったんでしょう?
・ 宮津と如月の会話の意味 判りました?
映画のパンフレットを買って読めば 上記、疑問は ある程度、解決するかも知れない。
しかし、なんの予備知識も無しに映画を それも1回だけ見て 理解出来る人がいるならば 凄い人だと賞賛する。
これって 言い方を換えると、予備知識を持った上でじゃないと 見ても楽しめない映画…って事なわけです。
要するに、これまでに邦画が なんで、つまらいのかを言われる時に指摘され続けてきた事。
「原作の人気に オンブ・ダッコし過ぎ」
であると同時に
「映画としての脚本が 全く成立していない」
と言う点。
つまり、原作のある映画の場合
「最初から客は 原作を読んだ上で来るもの…」
みたいな固定概念にとらわれているとしか 考えられない構成や編集を乱発してるから 映画単体では 全然、楽しめないのだ。
天下の松竹が110周年記念とか ヘラルドの何周年記念とかで そこそこ予算をかけたんだろうなぁ…というのは理解するが、記念作品ならば もう少し、観客に優しく判りやすい様に配慮してもいいんじゃないの?
結果的に「ザ・ロック」と「沈黙の戦艦」を足して3で(あくまでも2じゃ無い)割った作品になってしまっている。
これは 元々、脚本時点で2時間枠じゃ表現できない分量だったにも関わらず、撮影して無理矢理2時間枠に納めるために バサバサとカットしていった結果としか思えず、素人がハサミをもって床屋の真似をした結果、ザンギリ頭の 出来損ないになった様なモノ。
その最大の結果が 女工作員の必然性も 必要性も全く無くなってしまってるのに、如月とキスしちゃってる不可思議シ-ンだけが残る羽目になったと言える。
もうね、ホント、ガッカリだ。
海上自衛隊や航空自衛隊は いい協力してるよ。
昔だったら 絶対に防衛機密扱いでアップの映像なんかさせて貰えなかったはずの イ-ジス艦や 潜水艦や F-2の映像があったのは マニアとして もの凄く嬉しかった。
「亡国の盾」という論文だって 原作の記述通りであるならば 非常に興味深い内容で、端折った訳の判らない表現にはして欲しくなかったし、ヨンファの映像には無いシ-ンでの発言も とても興味深い言葉なのだ。
そんなものを 全部、尻切れトンボの細切れシ-ンにしてしまって ただ、予算を ~だけかけました、良い役者を揃えました、自衛隊も協力的で 原作は話題作なんです… そんな営業や制作しか出来ない松竹なら 頼むから、二度と戦争(軍事)映画に手を出さないでくれ。
時代劇とか、「釣りバカ」とか そっちの方に予算を充分にかけて 今まで以上に面白い作品を作ってくれ。
それが お互いのためだから…
心の底から そう思った。
ちなみに、
中井貴一の演技、良かったよ(壬生義士伝してたけど)
真田広之も悪くは無かった(たそがれ清兵衛見てません(見る気無し))
寺尾聰も悪くは無かった(「半落ち」よりは「優しい時間」ぽかったけど)
