● タイガー&ドラゴン
2005年4月~6月期にTBS系で放映された「タイガー&ドラゴン」について書き綴った記事を1本にまとめました。^^
●「タイガ-&ドラゴン」 2005年4月16日 記述
今年の正月明けに「タイガ-&ドラゴン」のスペシャル版が放送されたのを観たのだが、実に 面白かったので続編を期待していたら 連続物で新番組だという… これは嬉しい。^^
東京に住んでいた頃 私は暇な時間が出来ると 浅草や上野の寄せに足を運び、古典落語を聞く事が 一つの趣味 というか楽しみだった時期がある。
それは 今は亡き六代目三遊亭円生の古典落語に魅せられたからだ。
古典落語の人情話の多くは 江戸時代の庶民の暮らしの話である。
でも、その多くは現代にも通じる風刺が効いた話でもある。
噺家は 語りの中で客に状景をイメ-ジさせる為に 扇子を 時にはハシに 時にはタバコに見立てて うまく口で擬音を発する。
名人芸の落語の中で 蕎麦をすする場面に遭遇すると、無性に自分も蕎麦を食べたくなる。
それほど引き込まれるぐらいに巧かった。
札幌に居を移して 落語に触れる機会が極端に減ったのは残念だが、今の落語家に 正直言って魅力を感じる人が少ない…と個人的に感じる部分もあるので 残念と言っても深い物では無い。
昨今の噺家(特に若手)は 食べていく為…というのもあるだろうし、現代の噺家は こうなんだ…と言われれば それまでなんだけど 高座の喋りよりも、TVのト-ク番組での喋りの方に意識が働き過ぎのようで ~亭とか ~家と芸名を名乗っても まともに落語を演ずる事が出来るのか?と 問いたくなる様な輩が多い。
古典をじっくりと味合わせてくれる後継者の登場が なかなか見られないのが非常に残念に思う。
今回の「タイガ-&ドラゴン」の様に 古典落語の世界を現代版のドラマに置き換えて…という趣向は 今までにも いくつもあった。
しかし、その殆どは 単発の二時間物であって 連続物としては多くない。
しかも、長瀬智也と岡田准一という配役も さることながら 阿部サダヲ、春風亭昇太、そして西田敏行という布陣は 実に絶妙と感じる。
やっぱ西田敏行は こうじゃないと… と、思える師匠役はハマっていると思う。
全十話なのか全十一話なのかは判らないが 今後、どんな題目が出てくるのかが 非常に楽しみで仕方が無い。
●「タイガ-&ドラゴン」第2話 2005年4月23日 記述
今週、月曜日の「エンジン」と火曜日の「離婚弁護士」の第1回の放送を見た。
これで、4月からの新ドラマの第1話を 一通り見た事になる。
で、個人的感想を言えば 一番、まったりと楽しんで観れそうなのは この「タイガ-&ドラゴン」だな… という考えに至る。
「セカチュ-症候群」再発による…という理由が一番大きいのだが、どうも「悲しいドラマ」とでも言う 泣かせる系の物語に対して 敷居の高くなった私がいる。
以前だったら 素直に泣けたであろう場面でも なんとなく演出や脚本に「無理に泣かせようとする」かの如き あざとさを感じてしまい、素直に泣く事が出来ない。
前ク-ルの「H2」などは 何事も無く、自然に泣ける場面が沢山あり、結構、ジ-ンときたシ-ンは沢山あった。
しかし、何故か 今ク-ルの数多なドラマで「これは泣けるかも…」と思うのは「瑠璃の島」ぐらいにしか いまのところ思えない。
まぁ、以前 別の記事で述べた事だが、今ク-ルのドラマは なぜか「家族の絆(愛)と子供」が物語のメインとなっている物が乱立しており、比較という部分に大きな興味は抱くが、個別に 楽しめるか?という部分は まだ未知数ではあるが どうも馴染めきれずにいる^^;
さて、この「タイガ-&ドラゴン」 今回の お題目は「饅頭怖い」
古典落語の中でも わりあい初歩的な題目であるから、話としては判りやすい。
前回の「芝浜」同様 今回の「饅頭怖い」も 現代劇風にアレンジして それも虎児と竜二の話のエピソ-ドに絡める手法は とても面白いと感じたが、出来れば 判りやすい初歩的な題目よりも もっと玄人ウケする渋い題目を扱って欲しいと思うのは 私の個人的なワガママではある。
ゆえに 次週の予告編から 次の題目が「茶の湯」と判り、
「よっ! 旦那さん いいネタ 持ってきやしたねえっ!」
と、落語に出てくる 熊さんの様な合いの手を打つ私である。
それにしても 「尾美としのり」は いいオヤジ役を演じる俳優になったねぇ…
「大林宣彦」の映画で 好青年を演じていた頃から 大好きな俳優なのだが、歳を重ねて 良い役者になったなぁ…と 人の良さそうな 間抜けなオッサン役が ハマっていて 本当に嬉しい。
それと… 伊東美咲は 主役で「すましたいい女」役より この「タイガ-&ドラゴン」での役のように ちょっと外れた脇役の方が 素直に可愛らしく見えて好ましく感じる。
昨日まで 札幌では「ランチの女王」を夕方に再放送していたのだが、売れ出しかかった当時の頃の伊東美咲と似ていて そういう気楽さが調度良いんじゃないの?と 勝手ながら思った次第だ。
いずれにしろ、来週の第三話が これで また楽しみに思う次第だ。
●「タイガ-&ドラゴン」第3話 2005年4月29日 記述
本日の お題は「茶の湯」
放送も3話目ともなると 役者達の台詞回しもさることながら、見ている方も いろんなところに馴染む部分があり、それは巧く言う自信が無いんだけど、買ったばかりの野球のグロ-ブに保革油が馴染みだして 少しづつ掌と一体感が出てくるような そんな安定が出てきたようだ。
明日の「瑠璃の島」を観た後次第だが、私にとって 今ク-ルで一番 楽しめるドラマは この「タイガ-&ドラゴン」だなぁ…という思いは また今夜、深まった。
バイトの女の子役の「蒼井優」も かつての「裕木奈江」や「持田真希」のデビュ-したての頃の様な雰囲気、初々しさがあって可愛い。
そして、なによりも 蕎麦屋の「尾美としのり」と おでん屋の「半海一晃」が良い。
ドラゴンナイトに乗り込んだ虎児の台詞回しに ちょっとジ-ンと痺れつつ、毎回、お馴染みになったラストの喫茶店での授業料と借金のやり取りが どんどん楽しみとなってくる。
「俺は こんな新鮮さが欲しかったんだ…」
そう感じて楽しめる 今夜の第3話だった。
さて、一般的には どうでも良い話とは思うけど…
北海道地区だけかも知れないが 今夜の第3話の放送中、途中に入ったCMの中に「綾瀬はるか」のパンテ-ンのCMが流れた。
個人的には もの凄く嬉しかった。
どういう意図かは判らないけど、こういうのこそ 私にとっては
「スポンサ-さんの御厚意」
と、素直に受け止める。
だから、明日 御厚意には御厚意で応えようと思うので パンテ-ンのシャンプ-を買ってくる事にする。
●「タイガ-&ドラゴン」第4話 2005年5月7日 記述
本日のお題は「権助提灯」
やっぱ、今ク-ルで一番 笑えるドラマは この「タイガ-&ドラゴン」、シットリと観て過ごせるのは「瑠璃の島」 もう、これは私の中では結論だ。
「あいくるしい」は 綾瀬はるかのPVとしてのみ楽しめるし、「エンジン」は上野樹里のPV的要素が増せば ブタネコ的好感度が上がる… そんな感じに受け止めた。
「離婚弁護士2」と「恋におちたら」も悪くは無いが、「離婚弁護士2」は 前作からの新鮮味が ちょっと足りず、個人的には 昔の「正義は勝つ」(主演:織田裕二)の様に法律的などんでん返し感が もう少し味わえると個人的に嬉しい。
「恋におちたら」も 見続けてはいるが、毎回の1話完結型エピソ-ドには 過去のドラマの 例えば「美女と野獣」(主演:福山雅治、松嶋奈々子)や 「お水の花道」(主演:財前直美)等で観たエピソ-ドを微妙にアレンジしただけじゃないか…と感じるシ-ンが多々あって ちょっと入り込めずにいる。
まぁ、他番組はさておいて、ますます 虎児が師匠にツッコム間や 蕎麦屋やおでん屋のボケの間がこなれて絶妙になってきた。
「権助提灯」と言えば 4代目三遊亭円遊が演じたテ-プ(CD)が有名だが、立川談志がアレンジしたものを ラジオで聴いた事があるが、私は談志の方が大好きだ。
今回は 毎回お馴染みのラスト近くの小虎の高座による 現代劇にアレンジした「権助提灯」は 良い出来だったんだけど「夜が明けた」のオチは ちょっと弱いと感じ、不満が残りそうになったのだが、本編のラスト 車の後部座席から組長が小春に打ち明けるシ-ンで 一気に色恋物のせつないオチへと変化させた脚本に脱帽した。
このドラマは掛け値無しに楽しめる。
さてさて、今回も 北海道地区だけなのかもしれないが、今夜の第4話の放送中、途中に入ったCMの中に「綾瀬はるか」のパンテ-ンのCMが流れた。
不思議に思ったので スポンサ-である『P&Gのホ-ムペ-ジ』を覗いてみたら 新CMなのだという。
P&Gって 良い会社だなぁ…と思い始める。
ホリプロ、大塚製薬に引き続き P&Gの株を買おうかと真剣に考え始める今日この頃だ。
(株主優待で なんか良いオマケが貰えるならば^^)
先日来から 私もパンテ-ンを使用しているが まだ1週間経っていないせいかもしれないが白髪のキュ-テクルに変化は感じられない。
しかし、先日 車を運転していて ほのかに良い香りがするなぁ…と思ったら、それがパンテ-ンの香りだと その晩、風呂でシャンプ-した時に気づいた。
ゆえに、ひとつだけ実感したのは パンテ-ンは車の芳香剤として秀逸…ということである。
●「タイガ-&ドラゴン」第5話 2005年5月13日 記述
本日のお題は「厩火事」
前回の『「タイガ-&ドラゴン」第4話』という記事の中で 私は
やっぱ、今ク-ルで一番 笑えるドラマは この「タイガ-&ドラゴン」、シットリと観て過ごせるのは「瑠璃の島」 もう、これは私の中では結論だ。
と述べたが、いやぁ… 今回は不意を突かれた。
古田新太は 予想通り、この手のドラマでは最高の役者だった。
酒を我慢するところや 泣きながら漫才をしたシ-ンは 文句のつけようが無いほど最高だった。
でもなぁ…、それを 遥かに上回ったのは 清水ミチコで、大変申し訳無いけど 完全に良い意味で予想を裏切られた。
ラストの漫才シ-ンは 圧巻だった。
まるでBGMに 都はるみの「浪速恋しぐれ」が流れているようだった。
それだけにラストのオチへと一気に話を持っていった演出・構成は 落ち着いて考えればベタなんだけど 落ち着いて考えるゆとりを持たされぬまま、一気に持っていかれて泣かされた。
毎週、笑ってすごせるドラマのはずが、今週 一番 泣かされる羽目になるとは…
このドラマ 本当に最高だ。
●「タイガ-&ドラゴン」第6話 2005年5月20日 記述
本日のお題は「明烏」
今回の第5話は 先週の第6話の出来が良すぎただけに、ほんのちょっと寂しい出来に感じた人も多いかとは思うが、私は個人的に充分楽しめた。
古典落語と言われる世界の中でも「廓噺(くるわばなし)」と呼ばれるジャンルは 花魁を初めとする 昔の吉原のような遊郭の知識が無いと なかなか楽しむ事、理解する事が難しい。
だから、近年では「廓噺」を持ちネタにする落語家も減ったし、理解出来る客は それ以上に減った。
そういう意味では 時代を考えると存続が難しい「廓噺」の基本を押さえて現代風にアレンジする…という試みは 頑固に古典に拘り続ける事の大切さと 時に相反する問題でもあるが、私は「アリ」だと思う。
「古今亭志ん朝」が とても「廓噺」の上手い噺家だったが、惜しくも数年前に他界した。
それ以来、なかなか「廓噺」の名演に出会う事が少なく、下手すれば廃れていくのかもしれない…という危惧すら覚えているので、今回の様な試みは 非常に良い事だとも感じている。
さて、前回の古田新太に引き続き 今回も「木更津キャッツアイ」キャラから 薬師丸ひろ子の登場だったが…
私の世代から 少し下ぐらいの年代の方々にとって 薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子といった いわゆる角川3人娘は とてつもなくノスタルジィを感じさせる女優である事は言うまでも無い。
特に、そのトップバッタ-だった 薬師丸ひろ子は かの「高倉健」と共演で「野生の証明」という映画での
「お父さん、誰か来るよ 大勢で、お父さんを殺しに来るよ!」
という台詞は今でも記憶に焼き付いている。
それが 今じゃ すっかりオバサンになってしまって…
ウチの嫁などに言わせると「TVで観たくない 女優ベスト3」の一人だという^^;
「なんで?」と聞いたら、
「同年代の女性で 老けた事が判るから…」なのだそうだ。
そう言われてみれば 違った哀愁が漂うから不思議である。
いずれにしろ、いろんな意味で楽しめた回だった。
【5/21日 追記】
尾美としのり関連で「さびしんぼう」を持って来たのには唸った。^^
尾美としのりファンとしては 「転校生」ではなく「さびしんぼう」をチョイスしたところに 深みを感じウンウンと激しく同意する。
「さびしんぼう」は ホント、隠れた名作だもん。
●「タイガ-&ドラゴン」第7話 2005年5月27日 記述
本日のお題は「猫の皿」
いきなり、照明… あ、失礼 小日向文世さんの高座で始まり…
それだけで、もの凄く嬉しくなる。
しかし、それだけじゃ無かった。
結論から先に言う…
今夜の第7話を最初から最後まで見終えて 2回泣いた。
まず、小虎が
「家族でもない自分が家を出ていく」
そういう意味の発言をした時の どん平のリアクションと台詞。
小虎「やっぱ親子なんだよなぁ… なにより、俺が見てぇしよ あいつの高座」
どん平「みんなは どう思うんだい? 小辰に戻ってきて欲しいかい?」
(中略)
小虎「俺が出ていく! もともと他人なんだよ出てくのは構わない だから師匠、あいつ呼び戻してやってくれないかな…」
どん平「元々、他人だぁ? 何言ってんだよ そんな 寂しいこと言ってんじゃ無いよ、 どこの誰がな? 他人に、しかも 俺にとっちゃ おっかない借金取りに こんな美味しい御飯食べさせるんだよ、オマエさんはね ウチの敷居を跨いだところから もう、家族の一員なんだよ 寂しいこと言ってんじゃ無いよ」
『絆』だよ… 今、TVドラマじゃ大流行の『絆』が 凄ぇ巧く表現されているよ。
いやぁ、泣いた… ここが1発目に泣いたトコだった。
そして、ラストのオチ
小しん師匠に「”子別れ”教えてやるよ」と言われ、いつもの借金返済シ-ンに行く
私は それで、本日は終了… の、つもりだった。
もう、充分 腹一杯 満足してたんだ、そこまででも。
でもね、どん平が
「何故、ジ-ンズが賞品だったのか…」を
『猫の皿』のオチにもっていくとは…
思わず、画面に向かって
巧い!!!
思わず、叫びました。
(客席の蕎麦屋の様に…)
すると、なんでだろ? ドッと目頭が熱くなったんです。
感動の涙なんです。
「猫の皿」で 泣かされるとは思わなかった…
ホント、今夜も 良いモノ 見させてもらいました。
●「タイガ-&ドラゴン」第8話 2005年6月3日 記述
本日のお題は「出来心」
スペシャル版だった正月の「三枚起請」の時から 西田敏行が演じる 師匠の「どん平」は 見事なまでのハマり役だと思っていた。
今までの放送の中でも 何度も いろんな落語を噺すシ-ンはあり、見事と思ってきたけれど、今夜の第8話の中で 「出来心」の二つのさげを演じ分けるシ-ンは 本当に「巧い」と唸った。
「漫才ブ-ム」、「お笑いブ-ム」と呼ばれる流行は 今始まった事では無く、過去にも何度かあった事。
特に「ザ・マンザイ」と称したフジ系の番組から始まり、「おれたちひょうきん族」が全盛だった頃が 一番、想い出深い。
しかし、そんな中にあって 落語は 今ひとつパッとしなかった。
けど、私は 前にも語った事があるが、寄席で落語を観るのが大好きで 浅草や上野にはあしげく通ったのである。
そんな中で 特に大好きだったのは 古今亭志ん駒と2代目桂枝雀
古今亭志ん駒師匠が 元自衛官で私の親父と交遊があった(あった…というのは 我が父が過去形の為)関係で 寄席に通うようになり、たまたま「時そば」を演じている2代目桂枝雀を目にしたのが初めてだった。
「時そば」は 古典の中でも わりとポピュラ-なものである。
けど、2代目桂枝雀師匠のは ド肝を抜かれて、爆笑した。
仕草や語り口も巧いけど、その中に 独特の「顔芸」と言っていい技術を織り込んでいたのである。
それ以来、2代目桂枝雀のファンとなり 落語に親しむようになっていたのだが、90年代後半頃から極端に2代目桂枝雀を目にする機会が減り、99年他界されたのを知って以来、志ん駒師匠の出が絡まない限り 見に行く気にならなくなったのと、私自身が居を移したのもあって、寄席からは足が遠のいていた。
しかし、今夜の西田敏行を観ていたら また、寄席に行きたくなった。
そういう気にさせてくれるぐらい 本当に巧かった。
●「タイガ-&ドラゴン」第9話 2005年6月10日 記述
本日のお題は「粗忽長屋」
「タイガ-&ドラゴン」も終盤にむけて 落語で言えば「さげ」へと入った様だ。
一般的なドラマのスト-リ-としては 単純で、中には陳腐なものに受け止めるかもしれないが、今まで、そして今夜の9話を見続けて ドラマとして そして古典落語として同時に味わえている貴重な作品だと感じている。
今夜の作品の中の どん平の台詞にもあったが、古典落語には さげが非常に難解なものがあり、こんやの「粗忽長屋」も その難解なもののひとつであるが、実は その難解な作品の味が理解出来るようになると 古典落語の本来の面白さが 非常に良く味わえるからこそ 今日まで語り継がれてきた事を理解すべきであろう。
その為には、以前、廓噺でも触れた事だが、江戸時代の民間情緒や風物などに 最低限の知識が求められる事が重要となる。
これは、落語に限らず 歌舞伎や浄瑠璃などを味わうためにも必須と言えるのだが、そこを持ち合わせると 古典芸能全般が 真の意味で楽しめるようになるわけで、せっかく日本人と生まれ育ったのだから、ちょっとだけでも触れる事を薦めたいと思うし、そのキッカケとして この「タイガ-&ドラゴン」は秀逸だと思う次第だ。
●「タイガ-&ドラゴン」第10話 2005年6月17日 記述
本日のお題は「品川心中」
何故?って聞かれても うまく応えられる自信が無いが…、
今夜の第10話を観ていて 自然と泣いてしまった私がいた。
組長が 虎次に「半端な10万ぶん ワシが短いのを教えたるわ」と言ったシ-ン。
そして殴り込みに行き 虎次が「ウチのぼっちゃんは 気が短けぇんだよ」と啖呵をきるシ-ン。
そして ラストのニュ-ス速報を観ながら 涙を流す どん平。
落語も ただ、客を笑わせるだけでは無く、心に染みいる人情話で 客を大泣きさせてくれる噺がある。
最近は すっかり、人情というものが薄らいでしまった自分がいる。
今夜の第10話を観て それを、痛感し、つくづく反省する。
昔、私の母親は 作ってくれた料理を食べていて
「今日の このおかず 美味しいね」
と言うと、
「そりゃ オマエに その栄養が足りてない証拠だよ」
と、よく言われたものである。
「ほうれん草のお浸し」
普通に ほうれん草をゆがいて 鰹節と醤油をかけただけのもの。
なのに、それが妙に美味く感じる時があり、
「今日の この「ほうれん草のお浸し」 美味しいね」
と、私が言えば
「そりゃ、鉄分が足りてない証拠だね。 寝不足ばかりしてるからだよ」
そう言って、笑った。
ふと、そんな幼い頃の情景と 今は亡き母を思い出した。
巧い噺家の語りを聞くと いつしか、語る噺の情景が目の前に広がる。
蕎麦をたぐっている クマさんや八つぁん、与太郎や御隠居… そういった登場人物が それぞれを個性を持った異なる人物として情景が浮かぶ。
面白いモノで それは、自分自身が過去に出会った いろんな人物達の中で、その時々のクマさんや八つぁん、与太郎や御隠居に 一番、近いイメ-ジの人が まるで、当て嵌まったかの如く目の前に浮かぶ。
「タイガ-&ドラゴン」では 古典落語の物語と 現代劇をコラボレ-トして そんな疑似風景を醸し出すが、それは 実際に名人と呼ばれる噺家さんの落語を聞くと まさに、そんな疑似体験が出来ることの応用なのである。
だから、先に述べた3つのシ-ンは 私の 私自身の想い出の中にあるシ-ンとコラボレ-トして 忘れていた記憶が蘇ると共に、忘れていた心をも取り戻させようとし、だから 自然と涙が流れる。
いやぁ、なんだか ちょっと考えてしまったなぁ… いろんな事を。
私にとって 良いドラマとは こういうドラマなんだよね。
今夜のような気分を味合わせて貰えるドラマは とてもありがたく感謝する。
明日の「瑠璃の島」と合わせて 日曜日の夕方までは 少し、心地よい気分に浸りつつ、自己反省に努めるとしよう。
どうせ、日曜日の夜になったら そんなありがたい気分が吹っ飛ぶような事になるのだから。
●「タイガ-&ドラゴン」第11話(最終回)2005年6月24日 記述
本日のお題は「子は鎹(かすがい)」
とうとう「タイガ-&ドラゴン」も最終回を迎える。
今年の3月 ドラマ系のブログやHPを眺めて廻り、4月から始まる新ドラマの事前の前評判を見て回った時、「あいくるしい」への(期待を込めた)前評判ばかりが目立つだけで それ以外のドラマは あまり触れられる事は少なかった。
そんな中、この「タイガ-&ドラゴン」は 今年の正月にスペシャル版として「三枚起請の回」が放送され、マニアの間では ささやかながら期待された作品だった。
私も そのスペシャル版で大いに期待した1人だったのだが、全編の放送を観るに至り、その期待に充分以上応えてくれた作品だったと 制作者や出演者には深く感謝申し上げたい。
全編を通じて 西田敏行の師匠ぶり、阿部サダヲのはじけぶり、尾美としのりのオヤジぶり…は 全くもってお見事でした。
毎週、金曜の夜が楽しく過ごせた番組だった。


