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2005年05月18日

● 「世界の中心で愛をさけぶ」 毛蟹


大学生だった時の ある夏の話である。




夏休みとなり、札幌に帰省していた時の事。


高校時代から仲の良い友人達(後に「アキバ系研究員を束ねた某国立大学理工学部教授」、「腕力しか取り柄のない歯科医」、「易者の様な診断しか下さない2代目開業医」、「もの凄く気の弱い弁護士」、「一級建築士の資格を持った詐欺師」と呼ばれる少年達である)が揃って「海に行こう」という話がまとまった。


札幌から車で日本海側、積丹方面に1時間チョット走り、小樽を通り越した先に蘭島という海岸がある。


そこの砂浜に 海水浴に行こう…という話がまとまった。


付き合っている彼女が居る奴は 彼女連れ、中には 妹や弟を連れてくる者もいて 各自バラバラで 現地集合…という 実にいい加減なプランニングだった。


私は 当時、付き合っていた彼女(それが現在の嫁^^;)と 二人で目的地へと車で向かっていた。


実を言うと その時の海水浴には 密かな目的があった。


後に「腕力しか取り柄のない歯科医」と呼ばれる友に 彼女を作ってやろう…キャンペ-ンが 仲間達の間で勝手に盛り上がっていたのだ。


で、後に「アキバ系研究員を束ねた某国立大学理工学部教授」と呼ばれる男が 自分の彼女に依頼し、友達の中で彼氏のいない 素敵な娘を紹介してくれと頼み、その海で 素敵な出会い…になるようセッティングしていたのである。


北海道の夏は短い。


特に 海水浴を楽しめる期間は 非常に短い。


その限られた期間の中では この上なく恵まれた 晴れ上がって 水温も高く、まさに「夏」という日の中で海水浴を満喫するには最高の日だったのだが、体調は最悪の日だった。


というのも、前日の午後から翌朝まで ずっと徹夜で私と「易者の様な診断しか下さない2代目開業医」、「もの凄く気の弱い弁護士」、「腕力しか取り柄のない歯科医」の4人はマ-ジャンしてたのである。


海で ひと泳ぎしただけで もう、疲れ切り 浜辺に立てたビ-チパラソルの日陰に 大きな穴を掘り、自らを 頭だけ出した状態で砂に埋まって「砂風呂」状態で寝る事にした。


そんな我々を尻目に 「一級建築士の資格を持った詐欺師」と「アキバ系研究員を束ねた某国立大学理工学部教授」は 妙に元気で 女の子達とキャアキャア言いながら ビ-チバレ-をしていた。


さて、「腕力しか取り柄のない歯科医」に彼女を作ってやろう…キャンペ-ンを 密かに一番熱心だったのは 私の彼女と「アキバ系研究員を束ねた某国立大学理工学部教授」の彼女の二人である。


事ある毎に 彼女候補として連れてきたJちゃん(仮名)を「腕力しか取り柄のない歯科医」とくっつけようと画策していた。


他の我々は その密かなキャンペ-ンを知っていたから あえて何も言わず、知らんぷりを続けて でも、内心 ワクワクしながら成り行きを眺めていた。


Jちゃんは 実際、いい娘だった。


良く気が付くし、甲斐甲斐しいし、可愛いし、スタイルも良いし…


砂風呂状態で寝てる 我々4人のところにやってきて


「あのぅ? 女の子達で海の家に行くんですけどぉ 何か買って来ましょうか…」


と 誰にも頼まれたり命じられた訳でも無いのに 聞いてくれる 良い娘だった。


けれども、肝心な「腕力しか取り柄のない歯科医」は イビキをかいて爆睡している。


私と「易者の様な診断しか下さない2代目開業医」は


「じゃ 悪いけど焼きソバとイカ焼きとコ-ラ」


なんて頼んだのだが、「もの凄く気の弱い弁護士」は何を考えてんだか


「毛蟹!!」


なんて言ってる。


Jちゃんは そんな つまらないギャグにも ニコッと微笑んで


「あったら 買ってきますねぇ~」


と言って立ち去った。


残された我々は 3人とも 相変わらず砂から頭だけ出した「砂風呂」状態で


私「(弁護士に)つまんねぇギャグ飛ばしてんじゃ無ぇよ」


開業医「(弁護士に)オマエが ウケ狙って どうすんだよ? Jちゃんは歯科医と仲良くなってもらう予定なんだから…」


弁護士「いや、違うんだよ ギャグじゃ無いんだよ…」


私「何が違うんだよ? ホントに こんなとこで毛蟹食いたいってのか?」


弁護士「違うんだよ 毛蟹じゃなくて ”毛”なんだよ 俺が言いたいのは”毛”」 


開業医「なんだよ ”毛”って?」


弁護士「Jちゃんの 水着の股のトコに 毛がはみ出してたんだよ」


私「え?」


開業医「何?」


弁護士「だから、毛がね 一本、紛れもなくハミ出してたの! 俺はそれをね…」


私「それって 間違いなくアソコの毛?」


弁護士「あの縮れ具合は間違い無い」


開業医「海なんだからさ ここ、ワカメとかヒジキが たまたまついていたとか…」


弁護士「いや 水着の脇から しっかりと出てた。 ありゃ絶対 彼女の毛」


そうこうしているウチに 女の子達が 両手にいっぱい持って帰ってきた。


我々は Jちゃんの「ハミ毛」で頭が一杯だった。


確かに 弁護士の言うとおり 紛れもない「ハミ毛」だった。


さて、アナタが 私の置かれた状況だったら どうする?


私は さりげなく、自分が付き合っていた彼女を呼び コソッと


「Jちゃん ハミ毛 とっととなんとかしてやれ…」


と囁いた。


しかし、遅かった。


女の子達が帰ってきた騒ぎで 爆睡していたはずの歯科医が起き、それに気づいたJちゃんが 歯科医の前に行って しゃがみ、


「コ-ラ買ってきたんですけど 飲みます?」


と聞いたのだが、歯科医は それに対して


「あ、ありがとう。 ところで、君 水着から…


毛がハミ出てるよ


まともに 大声で そう言ったのだ。


瞬間的にJちゃんは「嫌だ!! エッチ!!」と叫び 持っていたコ-ラの入った紙コップを投げ、もの凄いスピ-ドで 海に飛び込んで行った。


Jちゃんが投げた紙コップは 砂から頭だけを出している「弁護士」の顔面を直撃し、コ-ラまみれになった顔で


「なんで 俺なの?」


と、弁護士はボヤいていた。


私と開業医は それを「毛蟹の祟り」だと言って笑ったのだが…


世の中というのは もの凄く、不思議なもので そのJちゃんが後に「気の弱い弁護士」と結婚し奥さんになった。


今でも昔と全く変わらず、気さくでニコニコしていて よく気の付く 素敵な奥さんである。


さて、TV版「世界の中心で愛をさけぶ」の第5話は TV版全編を通して大きなタ-ニング・ポイントとなる回なのだが…


もし、亜紀が発病しなくて もし、智世やボウズが参加していたら 彼等にとっては 全く違った想い出になったに違いなく、それは おそらく40半ばを過ぎた歳に至っても 時に フト懐かしく微笑ましい想い出になっていたんではなかろうか?と妄想する。


楽しさが大きかった分、反動で大きな悲しい想い出に変わってしまう事は 残念だが、よくある話でもある。


TV版「世界の中心で愛をさけぶ」のラストのエンドロ-ルの中で 17年後のスケちゃんが おそらく彼の息子であろう子供に


「おまいさん 惚れた女の子と夢島にだけは行くなよ…」


と語る台詞と 船に飾った サクと亜紀の写真が映る。


Jちゃんと「もの凄く気の弱い弁護士」にとって 蘭島の海岸は”聖地”である。


”たら”とか”れば”は禁句だが、その後の運命によっては 聖地では無く ただのなんでも無い平凡な海岸だったかもしれないし、思い出したくも無い 忌まわしい場所になったかもしれない。


そう考えると 人生はとても不思議で面白い。


ちなみに「もの凄く気の弱い弁護士」の「毛蟹の祟り」は今でも続いている。


ひとつは 真面目な話なのだが、彼は「甲殻類アレルギ-」という珍しい体質となり、カニやエビを食べると蕁麻疹が出る。


もうひとつは 30台半ば以降、仲間の中で彼だけが 少しづつ抜け毛の量が増え、しばらく合わないと 額の面積が増え、面長な人に変わっている。




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コメント

サークルの後輩の女のコのズボンのチャックが開いてるのをさりげなく気付かせようとしたことがあります。
ちなみにその子は今、私の妻です(笑)

縁ってなんなでしょうね~。

本当に人生って不思議の連続で、でもそれがあるから生きてるっていいなって思えますね。

毛蟹で爆笑したかと思い気や、最後は感動してしまいました。

これはこれで、ドラマにしたいくらいですw
朔が一番幸せだった頃・夢島・・・
なんかまた切なくなってきました(´;ω;`)ウッ…

今晩は、ブタネコさんおじゃまします。

「もの凄く気の弱い弁護士」さんにとって、これは「毛蟹の祟り」ではなくて、「コーラの祟り」なんじゃないか?などと、又は「毛がねえの祟り。」 (^^)

個人的には、この話題については後悔する事ばかり多くてあまり良い思い出がありません。当たり前ですが、『あの頃に戻る事が出来れば?』などと馬鹿なことしか考えないものです。

おまけです。
奥山田温泉なんてマイナーな所をご存じだったんですね、奇遇を感じます。宿泊当日は5月中旬にも拘らず深夜から早朝にかけて雪が少し積もったりして不思議な天気でした。
お尋ねの高峰温泉、小諸からほど近く標高2000Mの高地にある山小屋風の一軒宿でした、何年か前まで電気が引かれてなくて『ランプの宿』などと呼ばれていた所です。26度の透明な冷泉を沸かしているのですが不思議と白濁したお湯になって、木製の湯船と共にとても楽しめました。澄んだ空気と山々に囲まれた暗さもあって星がとても間近に見える所です。あと、山菜の天麩羅がとても美味でした。

今回、奥山田で行者ニンニクのおひたしを頂いてきました。ニンニクに近いほのかな風味がとても気に入りました。思わずこれが『アイヌネギ』などと思い出しました。

>ぺんざえもん さん

コメントありがとうございます^^


>Wen さん

ま、人生 何が起きるか判らないから楽しいわけで…


>光太郎 さん

「あの頃に戻りたい…」 考えないと言ったら嘘になりますが…
ま、そう思い返すのも 良き事哉…なんてね^^

長野にもアイヌネギありましたか…って 新潟にもあるんだから
そりゃ、ありますよね^^

コレ食べて初めて「春だぁ」って思うのが 道産子なんです^^

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