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2005年04月06日

● 賢島(三重県)


正確な住所で言えば「三重県志摩市阿児町賢島」




話には 色々と聞いていたし、TVの旅番組で何度も見たが、実際に 現地に行って高台から入り組んだ入り江を見下ろす あご湾の夕陽は まさに絶景である。


義弟が 三重県の明野に勤務していた時に、良い機会だからと無理に時間を作って旅した場所である。


余計な御世話的 個人的な身の上話だが…


青森県の竜飛岬に住んでいた時(竜飛岬(青森県)』という記事参照)に そこは自然環境の厳しいところではあったけど、そのぶんウニ、アワビ、サザエ、ホヤの宝庫と言える場所で 今じゃ 信じて貰えない話だと思うけど、夏の間 子供達は海に潜って それらを取って食べる事が 遊びとオヤツを兼ねた午後の過ごし方だった。


子供の頃に そんな贅沢をしてしまった事が 今になって良かったのか悪かったのかは難しい問題だが、その時に アワビの食べ方で 最も美味しい食べ方は「焼いて食べる」事だと 私は知った。


寿司屋では高級ネタとして有名なアワビだが、生を刺身で食べるとコリコリとした食感がある。


けどね、アワビって焼くと 厚めのモンゴイカを焼いたのと似たような感じぐらいに もの凄く軟らかくなるのである。


竜飛の子供達は 取り立てのアワビを 殻付きのまま焚き火の上にトタン板を載せて その上に置いて焼いて食べる。


海水の塩味と アワビ本来の味が うまくミックスされて それだけで充分に美味しいのだ。


竜飛を離れて以後、私は アワビを丸ごと焼いて食べる機会に恵まれていない。


それは費用的な問題だった時期もあるけれど、新鮮なアワビが手に入る環境にいなかった事もある。


だから、いつしか アワビを焼いて食べる…という醍醐味を忘れていたのだが、三重県の賢島にある とあるホテルが「アワビのステ-キ」で一躍有名になり、TVで ちょくちょく紹介されるようになって 私の忘れていた記憶が蘇ったのだ。


だから、私は いつか伊勢志摩に行って その「アワビのステ-キ」を食べよう… そう心に誓ったのだ。


で、冒頭の話しに戻るが 三重県の明野に義弟が転勤して以来


「今こそチャンス」


と 私は思い続けてきた。


で、ようやく旅に出た。


それまで、三重という場所に縁の無かった私は この際だからと松坂、鈴鹿、四日市などを数日かけて 精力的に見て回り、最後の大トリに 伊勢志摩のホテルに向かったのだが…


「***ホテルまで あと2キロ」


目的のホテルまでの目印看板がある国道沿いで 突然、借りていたレンタカ-の後輪がパンクした。


仕方なく車を路肩に寄せて タイヤ交換をしようと思ったら、何故かスペアタイヤが積んでいない。


レンタカ-会社に電話して 話そうとしたら、繋がった途端に携帯のバッテリ-が切れ、周囲を見回しても公衆電話もガソリンスタンドも見当たらない。


挙げ句の果てには 現金を入れた札入れの入ったクラッチバックと 車のキ-を車内に置いたままドアをロックしてしまい。


ポロシャツに綿パン バッテリ-の切れた携帯電話とタバコとライタ-と小銭入れだけ持った状態となる。


運が良いと思ったのは 小銭入れの中にクレジットカ-ドを1枚入れてあった事。


そこで、私は 


「2キロぐらいなら 歩いてホテルにチェックインし、そこからレンタカ-会社かJAFに連絡してなんとかしよう…」


というプランを思いつく。


で、歩き出して数分後、突然 空模様がおかしくなり、いきなりスコ-ルの様な激しい雨が降りだした。


周囲を見回しても 田舎道で雨宿り出来そうな場所は無い。


車に戻っても キ-が無いから意味が無い。


そのままホテルに行くしかない… そう、腹をくくるしか無かった。


結局、ホテルに辿り着くまで雨は止まず、辿り着いたときには パンツまでグジャグジャのズブ濡れ状態である。


その姿で ホテルの正面玄関から入ろうとした私を ドア・ボ-イが制止して 言った言葉と態度と表情は 今でも私は忘れない。


「お客様、その格好では他のお客様の御迷惑となります。 恐れ入りますが、御用の向きを伺わせてください」


言葉は慇懃だが、表情には「オマエみたいな奴の来るところじゃ無ぇよ」という雰囲気、力一杯 私の肘を掴み、「絶対に入れないよ」という態度。


私は その日、予約を入れている客である事と、自分の名前を告げた。


するとドア・ボ-イは トランシ-バ-で誰かと何か やり取りし、


「お客様の ご予約の際の予約ナンバ-は?」


と、私に聞く。


予約ナンバ-… そうだ、メモした紙は札入れの中、つまり置いてきた車の中だ。


私は、車をロックして放置してきた事を ドア・ボ-イに説明した。


しかし、ドア・ボ-イは 私の話を充分に聞こうとせず、


「予約ナンバ-を 頂きませんと お通しするわけにはまいりません」


と言う。


全く、話にならなかった。


実際の所、もう既に その時点で そのホテルに対する興味を私も失っていた。


私は そういう高級ぶった対応をするホテルが大嫌いなのだ。


東京の帝国ホテルなど 誰もが格を認めるホテルなら そうでなきゃ逆にイケナイ。


しかし、どんなに高級であっても 所詮、観光地の観光ホテルで そんな真似しちゃイケナイ。


私は ドア・ボ-イに「営業部長のAさん 呼んでくれ」と言った。


実は 私は仕事上の付き合いで非常に懇意にしている会社のひとつのB部長との雑談で


「一度 伊勢志摩に行って アワビのステ-キを食べたいんだよねぇ」


と言う私に


「あぁ そのホテルの営業部長なら Aさんて人で 良く知ってる人だから いつでも電話しといてあげるよ」


と言われていたのを思い出したのだ。


怪訝な顔をしているドア・ボ-イに 腹をくくった私は 半ば脅すように


「A部長ってのを とっとと呼び出せ」


と重ねて言った。


雰囲気でマズイと思ったのか ドア・ボ-イは


「でしたら 中に入られて…」


と 今度はホテル内に招き入れようとする


それに対して、


「予約ナンバ-が判らなくて こんな格好だと 他のお客の迷惑になるんだろ? いいよ、ここで待ってやるから、とっとと**部長ってのを呼べよ」


すると ドア・ボ-イは手のひらを返したように「どうぞ中へ…」と さらに言い、私は意地を張って「早く呼べ」と言う。


数分後、A部長が現れた。


私とA部長は初対面である。


その A部長に、何故 こんな格好になってしまったのかを話した上で


「私は 某会社の B部長とは懇意の者で このホテルに関して ~という会話をした関係でもある だから、本日の宿泊及び アワビのステ-キを非常に楽しみしていたのだが、ドア・ボ-イ氏の説明によると 私は入館できない者だと理解したので 残念で心残りだが、この場で失礼して帰る事にする。 ついてはB部長の手前 A部長に何の挨拶もせずに立ち去るのは失礼とお呼び立てした次第、大変失礼申し上げました」


そう言って 私はホテルを後にした。


A部長は慌てて 私に


「いやいや 直ぐ部屋を用意させます。 お車も従業員に行かせて対処させます」


と言う。


「そんな真似は結構です。 二度と ここには参りませんし、御世話になる気はありません」


そう告げて断った。


それなりに知名度の高い高級観光ホテルだからと言って 一流ぶった勘違いをしてはイケナイ。


ホテルマンが三流じゃ 簡単にボロが出る。


ちゃんとしたホテルマンは 簡単に外見だけで判断しない眼力とサ-ビス精神を身につけている。


相手や状況で 簡単に手のひらを返すような対応などせず、ちゃんと確認を怠らないのだ。


ま、たしかに 私は三流の人間だが^^;、それでも、ちゃんとしたホテルマンなら、まずタオルを貸してくれたり、一服させてくれた上で きちんと話を聞いて確認してくれる。


そういう意味で ゲ-ト・キ-パ-であるドア・ボ-イに そんな三流を置いておく様では そのホテルのサ-ビスの質は知れたも同然と言って良い。


客を見抜く以前に 社員を見抜けて無いのだから。


私は そのホテルから歩いて数分のところの民宿に転がり込み 一宿して過ごした。


民宿の親父さんは 面白く良い人で そう言う意味では賢島の想い出は悪い物ばかりでは無かった。


数ヶ月後、某会社の本社ビルに B部長から「暇なら 遊びにおいでよ」と誘われて行ってみると 何故かそこに伊勢志摩の A営業部長がいた。^^;


B部長曰く


「ほら ブタネコさんが 伊勢志摩に行きたい…って言ってたじゃない? こちらが そこのホテルの営業部長のAさん 紹介しておこうと思ってさ…」


B部長は 旅から帰って直ぐに私から 笑い話として一連の話を聞いていた。


しかし、A部長から そんな出来事があったにも関わらず、なんの話しもB部長にしてこない事に非常に腹を立てていた。


だから、あえて しらばっくれてそんな席を仕立て上げたのだ。


A部長は終始 困った表情。


それに対して、B部長は


「いや、ほら Aさん前からウチの社内誌にオタクのホテルの紹介を…って言ってたでしょ? その仕事を ブタネコさんとこに頼もうかと思ってね…」


これが”大人の駆け引き”である。^^;


以上は 今からかなり前の実話であるが、一応 登場人物は 実在する人物及び会社には 一切関係ありません…と言う事にしておく。^^




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コメント

ぶ、ブタネコさんって大物?^^;

ヘ・ヘ・フィクション!! です^^;

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