● 北茨城市磯原(茨城県)
東京から常磐道を北上すると 茨城県と福島県の県境、太平洋に面したところに「北茨城市」がある。
友人から そこに海に飛び出すような地形の場所に旅館があり、そこの露天風呂は海岸縁で
「昼間、波の音を聞きながら太平洋を眺めて過ごすのが最高だ…」
そう聞いていたのだ。
最近、どこの場所の温泉でも 必ず、と言って良いほど「露天風呂」がある。
そのためか「露天風呂」本来の味わいや風情が失われつつあると感じる。
屋根や壁が無くて 空さえ見えれば露天風呂… なんか、そう勘違いしてやしないか?
そんなんだったら温水プ-ルと変わらない。
風景とか、山間とか 自然の中で湯に浸かる… そこに露天風呂の風情がある。
理想は男女混浴、出来れば竹垣で簡単に仕切った程度が望ましいが それは あくまでもオマケの話。
風呂に浸かりながら 夜景を眺めたり、周りの木々でさえずる鳥の声や虫の音を楽しんだり… それこそが「露天風呂」の醍醐味なのである。
「豪華露天風呂完備」と ガイドブックに謳う温泉旅館がホテルが増えてきているが そういうとこに限って大部分をコンクリ-トの建物に囲まれてたりするから嫌になる。
入っていても落ち着かず とっとと出る気になってしまう。
それじゃぁ風情も味気も無い。
たまたま、もっと北にある福島県の浪江町という所で仕事があり、その帰りに立ち寄る事にしたのだ。
その日は台風が駿河湾に上陸した事もあって 時間が経つ毎に天候は崩れ、だんだん風と雨がひどくなってくる。
そのまま常磐道を南下したら 大雨の中を走る事になるわけで、タイミング的には ちょうど良かった。
町中の本屋で 手頃な一冊を買い求め、友人に紹介された旅館にチェック・イン。
夕食は 地元で捕れた海産物で 料理も悪く無い。
のんびり、TVを見たり、本を読んで過ごし、夜半過ぎに 露天風呂に行った。
さすがに友人が奨めるだけの事はある。
その友人の言葉に間違いは無かった。
海に張りだした岩場の上に建った旅館の 一番、海に近いところに 露天風呂があった。
脱衣場から、通常の浴室を通り抜け 露天風呂へのガラス戸を開けると 目に入ってきた光景は 東映映画のオ-プニングに出てくる岩場にうち寄せる波の画 そのもの。
台風で波が荒れ、岩場に大波が寄せて 露天風呂は その波をまともにかぶっている。
まさに 自然と一体化した露天風呂だった。
ウキウキしながら 入ってみると、お湯ではなく、ただの海水になっていた。
旅館の人が 慌てたようにやってきて
「お客さん 危険ですから 中に入ってください」
と叫ぶ。
何を言ってるんだろう…
私は 真冬の北海道の十勝岳の山の中に湧いた湯に浸かった男である
(ドラマ「北の国から」で 田中邦衛と宮沢りえが入ったとこ)
自然と一体化してこその 露天風呂じゃないか…
しかし、頭の上を トタンの看板が吹き飛んで行くのを見て 慌てて中に戻った。
翌朝、起きたら身体が怠く 熱を計ったら38度を超えていた。
違う意味で、身体の芯から熱が出る温泉だった^^;


