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2005年02月26日

● 霧積温泉(群馬県)


本当は 横溝正史の「仮面舞踏会」という本の舞台になった地を訪れるつもりで行った軽井沢だったが…、行く時期を間違えたのか 軽井沢が原宿のように小洒落たガキばかりが ウロウロしている光景にウンザリし、ちょっと移動したのが霧積温泉だった。



群馬県碓氷郡松井田町坂本

そこの古い宿屋に部屋を取り、近場を散策しようとガイドブックを読んで「あ?」と思った。


そこには 紛れもなく、記憶にある一編の詩が書かれていたのだ。


西条八十 作 「帽子」


母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?
ええ、夏 碓井から霧積へ行くみちで、
渓谷へ落としたあの麦稈帽子ですよ。

母さん、あれは好きな帽子でしたよ。
僕はあのとき、ずいぶんくやしかった。
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。

母さん、あのとき、向うから若い薬売が来ましたっけね。
紺の脚絆に手甲をした・・・。
そして拾はうとしてずいぶん骨折ってくれましたっけね。
だけどとうとう駄目だった。
なにしろ深い渓谷で、それに草が
背丈ぐらい伸びていたんですもの。

母さん、本当にあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍に咲いていた車百合の花は、
もうとうに枯れちゃつたでせうね。そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが鳴いたかも知れませんよ。

母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの渓間に、静かに雪が降りつもっているでせう。
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y・Sという頭叉字を
埋めるように、静かに、寂しく・・・。


これを角川春樹が英訳し ジョ-山中が


「mama, Do You Remember? …」


と、歌ったのが「人間の証明のテ-マ」 角川映画「人間の証明」(原作:森村誠一 主演:松田勇作)の主題歌である。


何故か、この曲が 脳裏に こびり付いている。


トラウマとなる特別な理由や背景があった訳じゃないのだけど 奇妙に この曲の詞は暗記していた。


だから、ごく希にカラオケを歌うハメになった際は 歌詞テロップ無しでも歌える曲の一つでもある。


渓谷を眺めながら 繰り返し、この曲を口ずさんでいたら


渓流釣りをしていた 見知らぬ老人に

「五月蠅いぞ 魚が逃げるじゃないか!」

そう怒鳴られた^^;


今では それが、この曲のトラウマである。



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