● ぼくらの時代
栗本薫の作品に初めて触れたのは 昭和53年に「ぼくらの時代」(講談社)が 江戸川乱歩賞を受賞したと聞き、早速 買い求めたのがキッカケである。
「江戸川乱歩賞」とは 昭和29年に江古川乱歩氏が 自らの還暦を祝ってもらった会で、当時の金額で100万円を探偵作家クラブに寄付し、それを基金にその年度の探偵小説の諸分野において顕著なる業績を示した人に、過去の実績をも考慮して賞す」という目的で制定した賞だが、いつ頃からか(私は知らない)新人推理作家の登竜門となり今日に至るが、私は 個人的に この賞を高く評している。
というのは この賞を受賞した作品は とても面白い物が多く、受賞者も 受賞をキッカケに その後、良作を発表する作家が多いからである。
さて、「ぼくらの時代」は 卒業を目前に控えた大学生達が主人公の設定だが、その世代の若者が「大人になる」という事を含めて 文章から汲み取れる「大人感」は 当時、読んでいて胸に響く物があった。
数年の後に、「ぼくらの気持ち」「ぼくらの世界」と続編が出筆されたが、その2冊も 最初の「ぼくらの時代」を きちんと踏襲していて秀逸な作品だ。
栗本薫は 大変、多芸な方で 推理物に限らず、SFも書くし、中島 梓という 別のペンネ-ムで評論や脚本を書いたりもするが、個人的な感想を率直に申し上げると 私は それらの他の作品には あまり魅力を感じなかった。
が、この「ぼくら~」3冊は 大変、面白い作品として 大好きな本である。
