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2005年02月11日

● 郡山(福島県)


学生だった時、親からは小遣いを貰わずバイトで稼いだお金で いろんな(広く浅くだったけど)趣味の費用を賄っていた。




ある時、私は どうしても何度も 札幌と東京を往復しなければならなくなった時期があり、その交通費たるや 簡単に捻出出来る金額では無かったのだが、その時に 私の窮状を救ってくれたのは 知り合いの運送会社の専務である。


その運送会社では 当時、東京と札幌を往復する長距離トラックを運行しており、たまたま 助手が必要なほど 沢山の荷物を積んでいた事もあって 私を助手で乗せてくれたのだ。


その頃の首都圏の高速は まだ外環道は完成しておらず、首都高も今の姿とは違って ところどころが未完成だったから、東北道を南下したトラックは いずこかのサ-ビスエリアから高速から降りて 国道4号線を向かうケ-スが多かった。


記憶に間違いが無ければ…だが、郡山から 少し南に下がった仁井田という場所だったと思うのだが、国道4号沿いに 大型トラック専門のガソリンスタンドと 深夜だけ営業のドライブインがあり、そのトラックは いつもそこに停車して給油と食事、時には仮眠を取っていた。


札幌から早朝に出発すると午後に青森か八戸にフェリ-が着き そこから走り始めると 郡山周辺に着くのは深夜である。


東京から夕方出発しても やはり、到着するのは同じ頃だったりする。


会社は違えども 同じ路線を走る運転手同士の交流の輪があり、時には そこで互いに荷物を積み替えて引き返したり、上りと下りで 道路や船の情報交換をしあっていた。


当時、東映でヒットしていた映画 菅原文太が主役の「トラック野郎」シリ-ズを観れば判る通り、率直に言って 当時の長距離運転手という人達は とてもガラの悪い人が多かったが、見た目とは別で 話せば とても親身で温かい人が多かった。


そんな運転手達から「オカァチャン」と呼ばれ、そのドライブインの名物女将だったオバチャンの「豚汁定食」は まさに絶品で それを食べたいばかりに わざわざ高速から降りて国道を走る運転手もいたほどである。


ほんの数ヶ月間だったけど そのバイトをしている間に、私は そこで沢山の運転手達と親しくなり、フェリ-の中や、高速のパ-キングエリア等で ひょっこりと出会すと


「これから どこ?」


「俺、苫小牧 そっちは?」


「大宮経由で川崎」


「浦和に 積載超過狙ったパトカ-が出てたから気をつけて」


「おう、そっちも 海がシケ気味だったから 飯を加減しとけよ」


なんて会話を交わしたものだ。


その後、十数年ぶりに 仕事で郡山に出張する際、私は東京から車で東北道を北上していたんだけど ふと その時の記憶が蘇り、時間の余裕もあったから 途中で国道4号に降り、記憶を辿りながら走ってみた。


全く と言って良いほど風景は変わっていなかった。


ただ、ドライブインと広大な駐車場は 跡形も無くなっていて 換わりに派手な外観の 恐ろしく場違いなパチンコ屋が そこにあった。


すっぽりと そこだけ画像を差し替えたようにだ。


その光景を目の当たりにして ふとした気まぐれで立ち寄ってしまった事を ひどく後悔した。


美味かった豚汁定食が 無性に食べたくなったけど、その店は 既に無い。


バイトでそこに行ってた頃、名物女将は 相当、年配のオバチャンだった。


その後の十数年の間に 寿命が尽きてても不思議ではない… 勝手に、そう解釈もした。


ここに限らず、一度 何かで訪れた場所が懐かしくなり、数年後に再訪してみたら すっかり様変わりしていた…なんてケ-スは枚挙にいとまがない。


しかし、呆然とたたずんでしまうぐらい (しつこいけど^^;)美味い豚汁定食だったのだ。



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