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2005年01月16日

● 世界の中心で愛をさけぶ 第6話


とうとう アキが病に倒れる… 避けて通れぬシ-ンとはいえ、何度 観ても辛い。




「世界の中心で愛をさけぶ」


原作や映画より、私がTV版を高く評価する大きな理由のひとつには この6話以降のスト-リ-展開で描かれる 三浦友和と手塚理美が演じた アキの両親の設定がある。


若い二人、恋人同士の純愛物語… だから、そこにわざわざ親を絡ませる必要があるのか?


娘が白血病に倒れたら その親はどうなるか(どうするか)… 実際に娘を持つ父として、それと 現実における過去の記憶の中で 白血病で無くなった同級生の事を思うと、けっして無視して欲しくない部分だからだ。


TV版で描かれる アキの両親は まさに、私の過去の記憶とオ-バ-・ラップする。


厳格な父親と優しい母… 私の同級生の家庭も そうだった。


ウチの嫁さんと その同級生は 親友と言っていい仲だった。


だから、事ある毎に見舞いに行って慰めたり励ましたものだ。


ただ、ドラマと違って 私達の現実は20年以上前の事だから、「お嬢さんの病気は”白血病”です」と 医者が宣告した瞬間、「お嬢さんは 間もなく死にます」と宣告するのと同意語になってしまっていた時代でもある。


同級生の父親は 札幌でも屈指の印刷会社の社長だったが、その人が「会社なんか潰したっていい。 金は なんぼかかっても構わないから、なんとか娘を助けられないか?」と 目を真っ赤にして呟いた姿を今でもハッキリと覚えている。


死期の迫った娘を 少しでも楽しませる為に 娘の同級生達に 何度も頭を下げて懇願し、礼を言っていたのも覚えている。


それが、親というものなのだ。


しかし、医者から「白血病です」と宣告された瞬間に 即座に その様に振る舞える親などいない。


「誤診じゃないか?」


「他に治療法は無いのか?」


「どうすればいいんだ?…」


どんな親でも葛藤の日々をおくり、そんな中で 治療法が ほとんど無いとされた時代だったから、大きな絶望を ぐっと飲み込み、最終的には 少しでも娘を幸せに送ってやろうと気づく。


死を前にして 彼女がオ-ストラリアに行きたいと望む。


彼氏が その願いを叶えてやろうと必死になる。


その流れの中に 若い二人の純粋な直向きさを描くのはいいが、親の存在や気持ちを無視する事は安易である。


そこを TV版では きちんと描いている。



アキ「お父さん、あの… サクのことを誤解してると思うんだ

   本当に凄くいいやつで お父さんだったら

   絶対、気に入る…」

 父「そうなんだろうな…」




「ほぉ そうか 良い奴なのか…、うん わかった」


と、即座に受け入れる父など そんなにいない…と 私は思う。


以前、我が家の前で 娘と同級生と思しき男の子が会話しているのを 外出しようと玄関を出たところで見かけた事がある。


けっして褒められた事ではないが、つい、どんな会話をしているのか聞いてみたくなり、その会話を盗み聞きした。


男の子は娘を どこか(公園? カラオケボックス?)に誘い出したいらしく それを娘は拒んでいるようだった。


そして、娘は


「ウチ、お父さんが厳しいから そういうとこ行けないの ゴメンネ」


と言ったのだが、それに対して 男の子が


「いいじゃん オマエんとこのオヤジが何と言おうとさ… ほっときゃ いいじゃん」


と言った。


そのセリフを聞いて 私は前後の事などお構いなしに 物陰から飛び出して その男の子を羽交い締めにし、


「ボウズ、上等じゃねぇか?ほっとけるかどうか試してみるか?」


と 脅かしたものだ。


それ以降、娘は友達から「アンタのお父さん 相当、ヤバイらしいね」と言われ、その為に 私は 嫁から「余計な真似するな」と怒られ続けた。


でもね、私は それでいいと 今でも思っている。


もしも、これを読んでいる貴方が女の子で 貴女の彼氏が


「いいじゃん オマエんとこのオヤジが何と言おうとさ… ほっときゃ いいじゃん」


なんて事を 平気で語るバカタレなら、悪い事言わないから、とっとと別れてしまう事をお奨めします。


大人になる…というのは ただ、歳の数が増える、とか、社会に出て一人前に稼ぐ様になる…だけでは無い。


歳の数の年数ぶん いろんな出来事を経験して 沢山の想い出等と共に心が成長してこそ成り立つものなんじゃないかと思う。


そういう意味では 40年生きてても 薄っぺらな経験しかしてない奴より、20年しか生きてなくても分厚い経験をしている者の方が大人なのである…とすら 私は思う。


それなりの厚さを持つ人なら 間違っても


「いいじゃん オマエんとこのオヤジが何と言おうとさ… ほっときゃ いいじゃん」


なんて事は言わない。(というか、言えない)


如何に その男が未熟なガキかを物語る証拠だと思っていい。


ドラマでは アキの治療や 両親の葛藤が治まらない事もあって 若い二人は約1ヶ月間 逢えない日々を過ごす。


その間に アキ父はサクに厳しくあたるが… 最終的に 娘に笑顔をもたらすのはサクという彼氏の存在だけ…と アキ父は悟り、その娘の幸せのためには 全てを受け入れる。



 (サク)「あのぅ…、ひとつだけ見つけたんです
      アキさんのためにできることを…
      会わせてくださいお願いします」

(アキ父)「勝手に行きなさい」

 (サク)「認めてほしいんです アキのお父さんだから…」

(アキ父)「いいやつなんだろうな君は…
      なぜ亜紀があんな目に遭わなければいけない?
      俺のせいか? 綾子(アキ母)のせいか?
      君のせいじゃないな…。
      だからこそ君を憎む事でしか 俺は立ってられないんだ」

          (間)

(アキ母)「この間はごめんね 私たちも余裕なくて」

 (サク)「そうですよね きっと俺の何百倍も 自分のこと責めて…」

(アキ母)「会ってやってくれない?」

 (サク)「元気ですか? アキ」

(アキ母)「うん」

 (サク)「今日は、やめときます。 ちゃんと会えるようになりたいから…」




この流れを観て 私は涙する。


「ちゃんとスジを通そうとする良い奴じゃないか…」と。


同時に そういう男であれば、娘の彼氏として 私なら認める。


それにしても、三浦友和(アキ父)は シブイ役者になったなぁ…。



(アキ父)「俺の娘は あんな顔で笑うんだな… 
       こんな知らされ方は不愉快だよ」

 (サク)「すいません」

(アキ父)「さてと…、これから仕事なんだ
      俺にできるのは入院費払うことぐらいだからな。
      4階の一番はじの部屋だ」




とっても、いいよ シブくて最高だよ。


「俺に出来るのは入院費を払う事」


そうなんだよ、ウチも パパの役目は金稼ぎ…だもん。


もの凄くリアルで身に染みる 一言だ。


そして、ラストの盛り上がりシ-ン 1ヶ月ぶりに再会し アキを抱き締めながらのサクのセリフ。



「泣きそうになった… だけど、泣いてはいけないと思った。

 この声のためなら何でもしようと思った。

 もしも、アキが笑えるなら、僕は、一生笑えなくていい。

 もしも、アキが泣きたいなら 僕は、一生我慢する。

 もしも、アキの代わりに死ねと言われたら  喜んで死んでやろうと

 僕は本気で そう思っていた。」




そうなんだよ、娘が産まれた時、私も 本当にそう思ったんだ。


それが愛しい人を想う時の 素直な気持ちなんだ。


でもね、それから20年近く過ぎて 何故か嫁と娘は笑顔なのに 私は泣いてばかりいるんだ。





何故だ?



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