● 世界の中心で愛をさけぶ 第4話
「世界の中心で愛をさけぶ」の第4話のラストにおいて とても良いセリフがある。
すれ違いながら走る人生の中で 思いが一つになる瞬間なんて本当は ごくたまにしかなくて…
だとしたらこんな顔を見られる僕は なんて幸せなんだろう…
こんな風に喜べる僕は なんて幸せなんだろう…
と、思った
愛する相手と共に喜び その喜んでる顔を見るだけで得られる さらなる喜び。
いいなぁ… 実に 良いセリフである。
こんな私でも 嫁や娘が 喜ぶ笑顔を見ただけで とても幸せな気分になれる。
よぉし! パパ 明日も頑張るぞ!
そう 思えるのである。
どうも 最近、見聞きする話では 物質的な喜び…という方向にしか 思考できない人々の多さに辟易する。
「え? ブタネコさん ハワイ行くんですか? それならば 大変、申し訳ないんですが御願いしたい事がありまして…」
「え? どんな事?」
「いや ハワイのティファニ-で ○×△なネックレスを買ってきて欲しいんですよ」
「それ 日本じゃ買えないの?」
「えぇ だから価値があるんです。 頼みますよぉ…」
「いいけどさ、それ 奥さんへのプレゼント?」
「いやぁ ウチのには ティファニ-なんて似合いません。 実は キャバクラにいい娘がいましてね…」
まったく マヌケな話である。
高価なモノのプレゼントで喜ばそう…なんてのは 実にクダラナイ話だと断言する。
贈る方も 受け取る方も 分相応というものを考えてみて欲しい。
私の友人に 親の跡を継いで質屋を経営している奴がいる。
こいつは学生時代から 商才に長けた奴だと かねがね思っていたが、こいつの唯一の道楽はクラブやキャバクラで飲み歩く事、それも商売を兼ねてだ。
彼は ススキノでも高級系のクラブのホステスさん達なら その殆どが知り合いで 売れっ子であればある程 仲良しである。
質屋だからといって羽振りが良いわけでも 男前でも無い。
何故ならば 彼は ホステスさんが客から貰うプレゼントを高価で買い取る男だからである。
彼は 誕生日が近いホステスさんに こう囁く。
「今なら ヴィトンの~のバックを 店頭価格の7.5掛け(7割5分の値段)で買い取るよ」
すると、そのホステスさんは 自分に言い寄る客達に
「あたし ヴィトンの~のバックが誕生日プレゼントで欲しい」
と、ねだる。
客達は 彼女の気を引くために 皆が それを買い求めて 誕生日に差し出す。
ホステスさんは ひとつだけ自分の手許に残し、あとは全部 質屋の友人に売り、手許に残したひとつを プレゼントしてくれた客達に
「貴方から貰ったバッグ…」と言う。
だから、誕生日が近づいたホステスさん達は 質屋の友人に事前に電話して
「社長、今なら 何、高く買ってくれるの?」
と、電話してきたりするのである。
私は そのシステムを知っているから 時々、娘や嫁が欲しがっているモノを その質屋に囁く。
すると、質屋は友人価格として 仕入れ値のまま、7割5分で 私に売ってくれる。
だから、「あのバッグ 10万円するのよねぇ…」という話を聞いても「7万5千円」にしか感じない。
さて、高校生の時の事。
ある女の子が つき合っていた同級生の彼氏に 誕生プレゼントに手編みのマフラ-をプレゼントした。
その直後、別の女の子が つき合っていた同級生の彼氏に 誕生プレゼントとして 高価なバ-バリ-のマフラ-をプレゼントした。
前者は 普通の家庭の女の子、後者は 社長令嬢の女の子。
僕は その二つのプレゼントを見比べて 前者の「手編み」という部分に もの凄く心が引かれ羨望の眼差しでそれを眺めた。
「値段」じゃ無いのである、「気持ち」の問題なのだ。
間もなく 僕の誕生日が近づき 僕の彼女が「何 欲しい?」と さりげなく聞いてきた。
僕は 迷わず、「て・手編みのマフラ-」と応えた。
しかし、返ってきた応えは「そんな めんどくさい事、出来ないわよ。 欲しいなら自分で編めば?」だった。
悔しくてね… その言葉が。
編みましたよ 自分で。
洋裁店に行って 好みの色の毛糸と「編み方教室」本や 編み棒セットまで買い込んで…。
そして 首に巻きましたよ、自分の誕生日の次の日から。
それ見て 彼女が聞きました。
「何それ? 誰かからのプレゼント? アンタ、他の…」
私は 応えました。
「自分で編んだんだよ!」
彼女は 一瞬ポカンとした表情の後、腹を抱えて笑い、しばらくして、笑いが収まると
「だったらさ、それ アタシが編んだ事にしといてよ。 じゃないと アナタも恥ずかしくて他人に言えないでしょ?」
間もなく、同級生達は
「へぇ~ オマエも手編みのマフラ-貰ったのか? いいなぁ…」
と、口々に言ってくれましたが 確かに情けなくて「俺が自分で編んだ」とは言えませんでした。
その彼女が 今の僕の奥さんです。
